JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

愛しきピアニスト

2006年02月17日 | m-o


今日、2月17日は、我が愛するピアニスト、セロニアス・モンクの命日であります。
このブログでも、モンクのアルバムをずいぶんと紹介してきました。
モンクに対する評価というか、好みは、私のまわりを見渡すかぎり特に極端であるようなきがします。かくゆう私は「とことん好き」という部類でしょうか。
ソロで奏でる、風変わりでありながら、何とも柔らかい音、
個性をとやかく言われがちなモンクですが、サイドメンに対する細部までの気遣い、
かくも優しさに満ちたジャズメンはいないと、私は思っています。

ニューポート・ジャズ・フェス、ストリービルなどで知られる、ジョージ・ウィーンは、1971年に、自己のグループの維持が難しくなりつつあったジャズの大御所、ディジー・ガレスピー、ソニー・スティット、カイ・ウィンディング、セロニアス・モンク、アル・マッキボン、アート・ブレーキーを集め、「ジャイアンツ・オブ・ジャズ」というグループに仕立あげ、ヨーロッパや日本へツアーに出掛けました。(日本には、ソニー・スティットが入国できず、松本英彦が代役を務めました)
このグループが、ロンドンへやってきたときです。ブラック・ライオンのプロデューサーだったアラン・ベイツが
「モンクさん、モンクさん、ガレスピーのとっさぁんはほっといて、あなたのリーダー作をレコーディングしてみませんか?」みたいな話を持ちかけました。
こうしてレコーディングされたのが、今日の一枚であります。

1972年の「ジャイアンツ・オブ・ジャズ」2度目のツアーのあと、鬱病と診断されたモンクの精神の病がますます悪化、人前にはほとんど姿を現さなくなります。
1973年以降、生涯最大の理解者ニカ夫人が所有していた、ウィーホーケンの館の最上階で愛妻ネリーと共に日々を過ごしたモンク。
以降、レコーディングはもちろんしていませんし、ステージも75年7月のフィルハーモニック・ホールへの出演、76年7月のカーネギー・ホールへの出演、だけてはないかと思います。
ほとんど、家に閉じこもるようになり、友人達が電話で何を言っても、こたえは「No」というだけだったそうです。
そして、1982年2月17日、脳出血で64年の生涯に幕を閉じました。
ブログ仲間の swing a-go-goさんは、葬儀が行われた教会に、実際に行かれたそうであります。

さて、前記のように、今日の一枚は、第1回「ジャイアンツ・オブ・ジャズ」ツアーの最中、ロンドンでレコーディングされたものです。
スタジオに早々とやってきたモンク、ピアノの前に座ると、1人で黙々と弾き始めました。
「CHORDIALLY」から始まったソロ演奏は3時間近く続き、そこへウォッカを手にしたブレーキーと水を持ったマッキボンがやってきます。
その後、3時間はモンクを前面に押し出した、トリオでのレコーディングが行われました。これが、モンクの最後のレコーディングです。


私が所有するのは、CD3枚組のボックスですが、Vol.1からVol.3までの一枚単位のもの、それにCD2枚組のものも出ていますので、参考までに。

THE LONDON COLLECTION / THELONIOUS MONK
1971年11月15日録音 *ソロ **トリオ
THELONIOUS MONK(p) AL McKIBBON(b) ART BLAKEY(ds)
DISC1
*1  TRINKLE TRINKLE (Take 3)
*2  CREPUSCULE WITH NELIE (Take 2) 
*3  DAM THAT DREAM
*4  LITTLE ROUTIE TOOTIE
*5  MEET ME TONIGHT IN DREAMLAND
*6  NICE WORK IF YOU CAN GET IT
*7  MY MELANCHOLY BABY
*8  JACKIEING
*9  LOVERMAN
*10  BLUE SPHERE
DISC 2
**1  EVIDENCE(Take 2)
**2  MISTERIOSO
**3  CREPUSCULE WITH NELLIE(Take 4)
**4  I MEAN YOU
**5  CRISS CROSS
**6  RUDY MY DEAR
**7  NUTTY (Take 2)
**8  HACKENSACK (Take 2)
DISC 3
*1  TRINKLE TRINKLE (Take 2)
*2  THE MAN I LOVE
*3  SOMETHING IN BLUE
*4  INTROSPECTION (Take 1)
*5  TRINKLE TRINKLE (Take 1)
**6  CREPUSCULE WITH NELLIE (Take 3)
**7  NUTTY (Take 1)
**8  INTROSPECTION (Take 3)
**9  HACKENSACK (Take 1)
**10  EVIDENCE (Take 1)
*11  CHORDIALLY

おまけ、
じつに個人的なことですが、私が同棲を始めたのが、ちょうどモンクの亡くなった頃でありました。別にモンクの死に挑発されての行動ではありませんでしたが、半年後に両親に発覚、その年の暮れに結婚しております。
それはともかく、今晩はモンクを偲んで、飲みに行ってまいります。(?)