男たるものいくつになっても、女性には弱いものです。
今朝午前1時過ぎに突然携帯が鳴りました。(私の場合、携帯の電源は常にON状態)
「なんだよ、こんな夜中に、失礼なヤツだな」と怒りながら画面を見ると、行きつけのバーのママ
「ごめんね、こんな遅く、今、お店に電話しなかった?」
話によると、12時半頃、ママが小用中に電話がかかってきたとか、この電話を常連さんが取ってしまい、あわてて換わろうとしたときには電話が切れていたそうであります。
「誰からだった?」
「ビーだか、ブーだかいう人」
ママにすると、ビーかブーといえば、私しか頭に浮かばなかったらしく、電話をよこしたということでした。当然、私が電話をかけたわけではないのですが
「本当にごめんね、もう寝てたの?」
ママぁ、勘弁してよぉ、と思いつつ、
「ぜんぜん、大丈夫だけど、誰だろうね?」なんて、明るい声で答えてしまいました。
じつは、このママ、飛び抜けて美人でも、もちろん若くもないのですが、へんに色っぽいところがあって....『中年おやじ』は、ほんとダメですね、すぐ鼻の下を伸ばしてしまう。
♪ 粋な黒塀 見越しの松に あだな姿の洗い髪 ♪
♪ 死んだはずだよ お富さん ♪
♪ 生きていたとは お釈迦さまでも 知らぬ仏の お富さん ♪
♪ エーッサエー 玄冶店(げんやだな)♪
若い方は、知らないかもしれませんが、春日八郎のヒット曲「お富さん」であります。
歌舞伎「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)」の源氏店(げんやだな)の場を、そのまんま歌詞にしてしまったという歌であります。
鏡に向かって化粧をするお富からは、中年増の色気がたっぷりと発散される場面。
与三郎の体には全部で34ケ所の切り傷があるのですが、この傷ももとはと言えば、3年前、当時やくざの親分の妾だったお富と、人目を盗んで契りを結んだことがバレて切り刻まれたことによるもの、
死んだものだと思っていたお富が、こんどは別な男の妾となって生きていました。そこで与三郎が啖呵を切ります、
「しがねえ恋の情けが仇、命の綱の切れたのを、どう取りとめてか木更津から、めぐる月日も三年(みとせ)越し、江戸の親にゃァ勘当受け、よんどころなく鎌倉の、谷七郷(やつしちごう)は食い詰めても、面(つら)に受けたる看板の、疵(きず)がもっけの幸いに、切られ与三(よそう)と異名(いみょう)を取り、押し借り強請(ゆすり)も習おうより、慣れた時代の源氏店(げんやだな)、その白化(しらばけ)か黒塀の、格子作りの囲いもの、死んだと思ったお富たァ、お釈迦様でも気が付くめえ。よくまァおぬしは達者でいたなァ----。」というくだりです。
「あだな姿」これですね、小娘にはまねのできない、男を惑わす女の色香であります。
バレンタインデイを迎えるにあたり、奥様諸氏、ボロボロの旦那にも責任は当然ありますが、ときには「あだな姿」で、旦那を惑わしてみてはいかがでしょうか?
(まぁ、他人様だから、私も言える話ですがね)
あれ? どうしてバーのママの電話話から、こんな話になったのだろうか?
今日の一枚は、完全にジャケット・デザインだけで、選びました。
「私でも、2001年録音のCDだって持ってるんだぞう!」みたいな、
ハミルトンは、4回ほど生で聴かせていただいたことがあります。すいません、1回は途中で眠ってしまいました。(だって、会場が大きいうえに、トリオでバーラードぱっかだったから.....)
SMOKE GETS IN YOUR EYES
2001年10月2, 3録音
EDDIE HIGGINS(p) SCOTT HAMILTON(ts) STEVE GILMORE(b) BILL GOODWIN(ds)
1.MELANCHOLY RHAPSODY
2.IT'S A LONESOME OLD TOWN
3.YPU DON'T KNOW WHAT LOVE IS
4.BY MYSELF
5.SMOKE GETS IN YOUR EYES
6.LULLABY OF THE LEAVES
7.WHEN THE SUM COMES OUT
8.LOVE LETTERS
9.WHEN YOU WISH UPON A STAR
10.ALL THIS AND HAVEN TOO
11.YOU'RE MY EVERYTHING
追伸、
どうして、歌舞伎では「源氏店」で、歌では「玄冶店」なのか?
これは、江戸の地名だそうで、「玄冶店」が本来の書き方だそうであります。歌舞伎ではあえて実在の場所の名を、避けたのかもしれません。