A Challenge To Fate

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【来日記念】動画で観るクリス・ピッツィオコス Part1:2016年11月NY ザ・ストーン・レジデンシー

2017年07月23日 10時39分11秒 | 素晴らしき変態音楽


2012年にコロンビア大学を卒業しブルックリンに移りNY即興シーンに登場したクリス・ピッツィオコスがニューヨークだけでなくアメリカ各地、日本やヨーロッパで知られるようになった要因のひとつはYouTubeに投稿された動画だった。前衛ジャズやフリー・インプロヴィゼーションの動画を毎日のように投稿する発信者がいる。 再生数は3桁の前半程度であるが、何かのきっかけでその動画を見た者は予想もしなかった先鋭的で唯一無二の演奏者の数々に驚くしか無いだろう。特に凄まじいプレイでベテラン・ミュージシャンと渡り合う見るからに若いサックス奏者の姿に目が釘付けになったものも多かったろう。ヨーロッパではピッツィオコスに驚愕したミュージシャンが共演を申し出てツアーやCDリリースが実現した。日本でもネットで話題になったり、輸入盤ショップでCDが売り切れたり、じわじわと注目度が高まり、9月の初来日ツアーでは日本の前衛音楽界の猛者たちとのコラボが実現する。そんなクリス・ピッツィオコスの現在の姿をYouTube動画で紹介しよう。



昨年11月にブルックリンにあるジョン・ゾーンが経営するライヴスペース「ザ・ストーン The Stone」でピッツィオコスの5日間のレジデンシー公演が開催された。ソロをはじめ、現在のリーダー・ユニット、自ら選んだミュージシャンとのコラボが展開された。その実際のライヴ動画が一公演を除いてYouTubeに投稿されている。これらを観ればピッツィオコスの現在の活動の一端がわかるだろう。



The Stone Residencies: Chris Pitsiokos
2016年11月22日~2016年11月27日
The Stone
E 2nd St & Avenue C, ニューヨーク 10009

クリス・ピッツィオコス Chris Pitsiokos
1990年生まれ。ニューヨークを拠点に活動をするサクソフォン奏者、作曲家、即興演奏家。彼の音楽はノー・ウェイヴとノイズの強度と即時性、ジャズの抒情性と推進力、現代音楽の抽象性とを結び付けている。共演者には、Lydia Lunch, Tyshawn Sorey, Peter Evans, Kevin Shea, Brian Chase, Henry Kaiser, Mick Barr, Marc Edwards, Brandon Seabrook, Paul Lytton, Tim Dahl, Philip White, Guerilla Toss, C. Spencer Yeh, Nate Wooley, Weasel Walterなど。これまでにヨーロッパ、日本、オーストラリア、アメリカ合衆国にて演奏活動を行う。Clean Feed, New Atlantis, One Hand Records, Carrier Records, Ug Explode, そして自己のレーベルEleatic Recordsから作品をリリースしている。演奏、作曲以外に、WKCR-FMのラジオ番組の選曲家としても長年活動し、ブルックリンやマンハッタンで4年に渡り、ライヴのプロデュースも行っている。

- プログラム -
2017
11/22 Tuesday
8 pm
Cutout Lover
Paige Johnson-Brown (voice) Chris Pitsiokos (alto sax, electronics) Andrew Smiley (guitar) Henry Fraser (bass) Connor Baker (drums)

Filmed at Don Pedro in Brooklyn, NY 03/11/2017

女性ヴォーカリストを擁するユニット。楽器メンバーはChris Pitsiokos Quartetと同じ。NYアンダーグランド・シーンの女王リディア・ランチともコラボしているピッツィオコスのルーツにはパンクやNO WAVEがある。ポエトリーリーディングとシャウトとシャンソンをごちゃ混ぜにしたペイジ・ジョンソン=ブラウンの歌唱が文字通り「カットアウト」演奏と相乗効果で意識を覚醒する。(これのみ2017年3月ブルックリンのクラブでの動画)


11/23 Wednesday
8 pm
Chris Pitsiokos/Philip White/Weasel Walter
Chris Pitsiokos (alto sax) Philip Whit (electronics) Weasel Walter (drums)


ピッツィオコスの恩師的ミュージシャン二人との共演。ピッツィオコスがNY即興シーンに参入するきっかけとなったウィーゼル・ウォルターとは、2012年7月28日NYのフリーダム・ガーデンでのデビュー・ライヴが処女作『Unplanned Obsolescence』となり、現在に至るまでドラマーとしてだけではなくオーガナイザー、プロデューサーとしてもNYシーンの中核で活躍するウォルターとの恊働を続ける。一方エレクトロニクス奏者のフリップ・ホワイトとは2013年デュオ作『Paroxysm』をリリースし、現在もコラボしている。エレクトロ・ノイズとサックスの類似性に驚かされる。


11/25 Friday
8 pm
Chris Pitsiokos Solo
Chris Pitsiokos (saxophone, piano)






デビュー当時のソロ演奏の凄まじいノンブレス奏法がピッツィオコスヘの注目度を一気に高めたと言えるだろう。超絶テクニックと、その真逆の破壊衝動が同レベルで共存している。最近は完全即興だったソロ演奏に作曲性を加え、より静謐でアトモスフェリックな演奏を展開している。ザ・ストーンでの演奏の後半で聴ける。


11/26 Saturday
8 pm
CP Unit
Chris Pitsiokos (alto saxophone) Brandon Seabrook (guitar) Tim Dahl (bass) Weasel Walter (drums)


ピッツィオコスの最新ユニット。前衛ジャズの即時性にファンクの要素を取り入れた脱臼するようなビート感は、オーネット・コールマンのハーモロディック理論の進化形とも考えられるが、間違いなく「ジャズのその先(Far Beyond)」を見据えた意志に貫かれた実践である。


10 pm
Chris Pitsiokos/Joe Morris/Tyshawn Sorey
Chris Pitsiokos (alto saxophone) Joe Morris (guitar) Tyshawn Sorey (drums, percussion, piano, trombone)


NY即興シーンに軸足を置きつつ、より幅広い活動でメジャーシーンでも注目を集めるドラマーのタイショーン・ソーリーと80年代から即興シーンで活躍するベテラン・ギタリスト、ジョー・モリスという、ピッツィオコスが信頼を寄せるミュージシャン二人とのコラボ。ソーリーのトロンボーンがユニーク。


11/27 Sunday

8 pm
Chris Pitsiokos Quartet
Chris Pitsiokos (alto saxophone) Andrew Smiley (guitar) Henry Fraser (bass) Connor Baker (drums)


編成はCP Unitと同じだが、より若いメンバーを擁する自己のカルテットは、ピッツィオコスが最も自分の志向を発揮できるグループかもしれない。実験性は勿論のこと、ロック的なストイシズム、叙情的なロマンティシズム、ストーリー性のあるメロディセンスを兼ね備えた演奏は来るべき音楽の形と言えるだろう。

【日程発表!】NYハードコア・ジャズの彗星〜クリス・ピッツィオコス CHRIS PITSIOKOS JAPAN TOUR 2017

サックスの
来るべきもの
進化形

Damon Smith / Chris Pitsiokos / Matt Nelson / Weasel Walter - live Brooklyn 1.10.17

Damon Smith (bass)
Chris Pitsiokos (alto saxophone)
Matt Nelson (tenor saxophone)
Weasel Walter (drums)

The Flats, Brooklyn, NY
January 10, 2017
コメント (2)
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