A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

中原昌也x湯浅学トーク&サイン会@渋谷タワーレコード 2008.5.6(tue)

2008年05月06日 23時02分06秒 | 書物について
「中原昌也 作業日誌 2004→2007」発売記念イベント。実は「スタジオボイス」連載<月刊 中原昌也>の公開インタビュー。中原氏と音楽評論家の湯浅学氏の対談。渋谷タワレコ7Fタワーブックスに100人近い観客が集まった。
「スタジオボイス」誌では今まで中原氏が音楽ライターに会う企画や各界の社長に会う企画を行なっている。
中原氏はボロボロのフレアジーンズに青地にオレンジのラインが3本入ったジャージ姿。昔見た時よりも痩せて精悍な顔つきになっている。
湯浅氏も相当の音楽&雑学マニアで中原氏とは旧知の間柄。話は本やCDのことを超えていろんなところへ飛ぶ。
毎月CDをリリースするMonthly Hair Stylisticsの企画は、文章を書くのが嫌だから毎月音楽を作ることでステップアップを図ろうと中原氏のアイデアで始まったという。録って出しによる新鮮さを大切にしたいという。といいながらもう第4弾まで出来ていると。強烈なリリースラッシュで知られるMerzbowに影響も大きいようだ。
湯浅氏も湯浅湾というバンドで活動しているので、音楽の制作にも話が及ぶ。中原氏は5歳までエレクトーンを習っていたそうだが、その後はエレクトーンでノイズを出すことに興味が移り、演奏法を忘れてしまったそうだ。その後ギターにも挑戦するが未だにコードが判らないという。またギターの良い音悪い音が判らない。
音楽は機材運びからすべて自分一人で行なう。一生自分の奴隷だ、という言葉が印象的だった。人を使うことが出来ないのだという。今は一人暮らしのマンションで音作りを行なっているが、周囲に気を使って思い切り轟音を出せないのが悩みの種。昔実家にいた頃は犬が鳴いても姉にはうるさい!と怒鳴り込まれても平気で自室で絶叫していたので、暴力温泉芸者時代の方が音が良かったと湯浅氏。最近中原氏の部屋の外に"騒音注意"の張り紙が貼られたそうだ。
最近ジム・オルークとSuicide 10ccというバンドを結成したのだが飲み会ばかりで練習してない。中原氏はスラッシュ・メタルをやりたいのだが、なかなかジムに言い出せない。音楽的なバンドにしたいらしい。
Hair Stylisticsで目標とするサウンドは何も作為のない音、鳴っているけど鳴っていないような音。
「作業日誌」については、日記をつけるようになって明るくなったという。自らの活動史を記す充実感。曽我部恵一氏も読んでいたよと湯浅氏。 
他にも猫アレルギーの話、中原氏が小学校の頃スキーの達人だった話、DVD「TVパーティー」の話、ツェッペリンやビートルズの話(中原氏はオノ・ヨーコの作品はすべて持っているのだがビートルズは一枚も持っていないそうだ)、クラス会の話、葬式の音楽の話、音楽ライター論など興味の尽きない1時間強のトークだった。
Monthly Hair Stylisticsではそれを音源にした3分間の動画を募集するそうだ。
その後50人くらいに名前入りのサインをする中原氏の飾らない正直な生き様を感じられるイベントだった。

日記付け
癒されるのは
私も同じ

GW最後に相応しい肩肘の張らない楽しいイベントだった。終わってからタワレコでヘアスタの持っていなかった2枚組CD、山下洋輔&佐藤允彦デュオCDを買った。
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山下洋輔ニュー・カルテット@新宿ピットイン 2008.5.5(mon)

2008年05月06日 01時34分35秒 | 素晴らしき変態音楽
灰野さんのライヴで知り合った大学生の青年がセシル・テイラーを好きだというので、それじゃ山下洋輔も好きでしょ、と訊いたところ、洋輔さんはテレビに出たりしているのでメジャーなジャズマンだと思っていたという。最近はともかく6~70年代の山下洋輔トリオは凄いフリージャズだから是非聴くように勧めておいた。
確かに年を経てかつてのフリージャズの闘士というイメージから遠ざかっている紫綬褒章受章の文化人だから、かつて"日本のセシル・テイラー"と呼ばれていたことなど信じられないかもしれない。しかし現在の活動を追ってみれば、決してメジャーに魂を売ったり転身した訳ではなくかつての反骨精神が幅を広げた結果だ、ということが判る筈だ。
今回は古巣のピットイン(10年くらい前にエヴァン・パーカーを観て以来久々)で、平均年齢25歳のメンバーからなるニュー・カルテットに、ゲストでフルート奏者のMiyaさんが参加してのライヴだった。Miyaさんは洋輔さんがMCで「宝塚星組出身の」と冗談を言うくらい長身で美人のお嬢さんだ。イギリス人とのハーフとのこと。それでいて超絶テクニックのフルートを聴かせるから凄い。Miyaさんの2ndアルバム「Miya's Book; Music For Seven Days」に洋輔さんが参加している縁での共演だ。
まずはデュエットで一曲「対話」。この曲からしてモードから逸脱していく洋輔流のプレイが炸裂する。そしてカルテットのメンバーが登場。柳原旭(el-b)、小笠原拓海(ds)、米田裕也(as)。今年で3年目になるそうだ。第1部はMiyaさんの曲を演奏。女性らしい繊細なメロディーの曲が多いが。演奏するのは洋輔カルテット、ただ美しいだけじゃすまない。特にdsのアタックの強いプレイが印象的。最後の「祭り」という曲ではMiyaさんが洋輔さんを意識したという"爆発セッション"もあり強烈なプレイを展開。
第2部はMiyaさんも加えて洋輔さんの曲とカヴァー曲を。流石に洋輔さんが鍛えただけあってカルテットの演奏は鉄壁だ。ニューヨーク・トリオの曲もあの円熟味がこのカルテットでやると溌剌とした活きの良さが光る。Jive風の曲もやんちゃに遊びまくる。最後はお馴染み「クルディッシュ・ダンス」で再び爆発。一番弾けているのがメンバーのお父さんの世代の洋輔さんというのも凄い。アンコールにスタンダードを一曲演奏して2時間のライヴは終了。
ホールも良いが洋輔さんのよりパーソナルな面を体験するにはライヴハウスが良い。
Miya HP

ジャズ闘士
枯れることなど
ありゃしない

現在3作出ている初期のアルバムの紙ジャケ再発は日本のジャズを知るためには必聴である。
映像は2年前のニュー・カルテット。



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