ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

アズキ(シマアズキ)

2019年07月22日 | 草木:野菜

 元気に畑仕事をやっている頃、豆の類はよく植えていた。酒好きの私なのでもちろん、植える豆は酒の肴になりやすいものが優先となる。先ずはエダマメ、それからソラマメ、インゲンなど、いずれも酒に合う。他にもウズラマメ、シカクマメ、エンドウなど、それらも、少なくとも私の食卓では酒の肴になることが多い。

 子供の頃から酒飲みだったわけではないが、私は甘いものが苦手な方であった。特にケーキのような脂っこい甘さが苦手だった。でも、和風の餡子は好きで、饅頭や餡餅などはよく食べていた。酒好きの私でも、酒の肴ではない、ご飯のおかずの豆料理もたまには作る。さらには、酒の肴には遠い甘い豆料理もたまには作る。ということで、
 300坪の畑を始めたのは2012年の夏、季節の野菜の種をあれこれ播いたが、ホームセンターの種のコーナーを見ると、宮古島小豆と名前の書かれた種袋があった。自給自足を目指していた私、「お菓子も自給自足するか」と思い購入。早速播く。
 翌年春に宮古島小豆は収穫できた。豆は小豆より少し大きく黒い色であった。その豆はぜんざいのようにして食べたと思うが、記憶に残っていない、写真も残っていない。
 ということで、今年(2019年)5月、八百屋に宮古島小豆があったので、1袋購入して、煮て、ぜんざいにして食った。味は、市販のレトルトぜんざいに比べると今イチ、どころか今サンくらいだった。豆はただ砂糖を入れて煮ればいいものじゃないみたい。そういえば。亡くなった樹木希林さんが主人公であった映画『あん』を観て、「餡子作りも奥が深い」と知った私。それでも沖縄伝統のテーゲー(大概:いい加減という意)性格の私は、奥を突き詰めない。「食えりゃいいや」となってしまう。我ながら残念。
     

 アズキ(小豆):果菜
 マメ科の一年草 東アジア原産 方言名:アカマミ
 名前の由来は資料が無く不明。広辞苑に小豆と漢字表記があり「マメ科の一年生作物・・・種子は大豆より小さく・・・」で、ダイズの大豆に対し小豆なのだと思われる。小豆なら「ショウズ」でもよく、広辞苑にも別名として「ショウズ」とある。いずれにせよアズキという発音については不明。方言名のアカマミ(赤豆)はその色から。
 短茎の通常種と蔓状で長く伸びるツルアズキに分けられる。通常種の茎は直立して高さは30~50センチになる。沖縄在来種のミヤコジマアズキは蔓状となる。
 葉は長い柄を持つ三出複葉で、小葉は卵型で長さ5~9センチ。葉腋から短い花柄を出し、3~12個の黄色い、いかにもマメ科らしい蝶型花をつける。開花期は初夏。莢の中の種子は大豆より小さく暗赤色。ミヤコジマアズキは黒に近い色。
 古い時代に中国から渡来し日本各地で栽培されている。煮て食用、赤飯に用い、甘く煮て餡子にし、お菓子の材になり、古くから食材として重宝されている。
 豆には薬効もあり、便秘、腎臓病、二日酔いなどに効くとのこと。
 
 シマアズキ(島小豆):果菜
 マメ科の一年草 インド原産 方言名:アカマミ
 名前の由来、アズキについては上記の通り、沖縄産のなのでシマ(島)が付く。
 『沖縄食材図鑑』によると、「沖縄には伝統野菜の1つに黒小豆がある、赤い小豆より栄養価が高い、アントシアニンが多く含まれる。宮古島産が有名」とのこと。さらに「沖縄の伝統的餅菓子、十五夜に供えられるフチャギに欠かせない」ともあり、これで私も、「あーあれのことか」とよく理解できる。旬は9月~10月。
 
 花
 
 莢
 
 →フチャギ

 記:島乃ガジ丸 2019.7.14 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 『ネイチャーガイド 琉球の樹木』大川智史・林将之著、株式会社文一総合出版発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
 『講談社園芸大百科事典』野間省一編集、講談社発行
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行
 『沖縄食材図鑑』田崎聡著、有限会社楽園計画発行
 『自分で採れる薬になる植物図鑑』増田和夫監修、柏書房株式会社発行
 『家庭で使える薬用植物大図鑑』田中孝治著、社団法人家の光協会発行


トリセツ読まない

2019年07月19日 | 通信-その他・雑感

 前にガジ丸記事『時代についていけない爺さん』で、「テレビ観ない、新聞や週刊誌の類も読まないオジサンは新しい言葉に疎く、時代についていけていない」と書いたが、そんな時代遅れの私でもしかし、トリセツは知っている。トリセツというタイトルの歌があって、それでトリセツが取扱説明書の略であることを知る。
 購入した電化製品のトリセツを、大雑把であるが私はだいたい読んでいる。ラジオ、パソコンなど慣れているものは大雑把だが、これまで購入したことのない物であれば細かく読んでいる。試行錯誤するよりその方が使い方を習得するのに早道だからだ。

 オバサンと呼ばれる齢になってパソコンを始め、ネット上の店舗に自分達の作品を出品するという新しいことを始めたH子とその友人達、「作品出品が上手くいかない」というのでパソコンで写真の扱い方、添付の仕方をちょいと教えたのは去年11月、その数日後にH子に会ったので、「どう、上手くいった?」と訊くと、「できない」と応える。「何で?」と訊くと、「分からないよ。何度やってもエラーになるのよ」と言う。
 で後日、そのサイトを開いてちょっと調べてみる。出品の仕方についてあれこれ説明、電化製品で言えばトリセツがあった。そう簡単ではなさそうだったのでA4用紙の2ページ分ほどプリントアウトし、翌日、H子に会って「そう簡単ではないみたいだよ、説明文をよく読んでからやった方がいいよ」とプリントしたものをあげる。
 またしばらくしてH子に会う。「どんな?」と訊く。「できたよ」と答える。「あーそりゃ良かった、がんばったね」と言うと、「うん、でも、パソコンからじゃないよ、別の店舗にスマホからやった。それ用のアプリがあって、それを使ったら簡単にできた」とのこと。結局、トリセツ読むのが面倒なのでそういうことにしたらしい。
     

 1+1=2みたいなトリセツなら私は得意である。3×(1+1)÷2になっても得意である。中学校程度の連立方程式でも大丈夫。しかし私は1が、場合によっては1でないこともあるといった気分次第で変化するようなことは苦手。なので、
 女性の取り扱いについて、私はそれを大いに苦手としている。若い頃は、男の感性と女の感性にそう大きな違いがあるとは思っていなかった、『黒の舟唄』という名曲があり深くて暗い川があると聞いてはいたけど、現実的には深い川を感じていなかったので女性のトリセツがあったとしても読まなかったであろう。トリセツを読まずに生きてきたので、私はもうすぐオジーと呼ばれる齢になっても結婚できないのかもしれない。
 私が金持ちなら、あるいは地位や名誉があって4人5人の生活の面倒くらい楽にできる程度の身分であれば、「黙って俺に付いてこい」と言えるのだが、現状は無理、現状では「全面的に貴女の感性に合わせます、貴女に付いて行きます」となる。でもそれは、私の性格では無理。もうすぐオジーは、今更トリセツを読む元気もない。

 老いた目にパソコン画面はきついが、本の文字や図鑑を見るのはそうきつくはない。それはパソコンの電磁波と関係があるのだろうか?公園の散策はとても気分が良い。目に入ってくるのは主に草木や海岸の景色、それが精神に良い影響を与え、体にも良い影響を与えているのかもしれない。目の使い方のトリセツがあれば読んでみたい。
     

 記:2019.7.19 島乃ガジ丸


カワラアカザ

2019年07月17日 | 草木:雑木雑草

 今、探している薬草が「特にこれらは早急に」と思っているものが4種ある。いずれも私がまだ出会っていない(あるいは気付いていない)もので、フウトウカズラ、サネカズラ、ヒメイタビ、そしてアカザ。アカザは私が最近目を通した薬草の本の多くに載っており、五十音順に掲載されている本ではトップかその次に紹介されている。
 今、図書館から借りている薬草の本は2冊、『薬になる植物図鑑』と『琉球薬草誌』、どちらにもアカザは載っており、どちらもアカザは全国に分布とあり、「野原や畑地に普通に見られる」と説明されている。普通に見られても私には気付かれていない。

 ところが、沖縄の植物(薬草とは関係なく)を紹介している私手持ちの文献(6冊)のどれにも記載が無い。『沖縄大百科事典』にも載っていない。アカザは載っていないがカワラアカザは『沖縄大百科事典』にある。さらに、カワラアカザは私が散歩する公園のうち海岸端の公園である県立運動公園にも吉の浦公園にもどっさりある。
 どっさりあるのだが、カワラアカザがアカザと同様に薬効があるのかどうか、説明されている文献に今のところ出会っていない。ちなみにアカザは、若葉は食用になり、生葉の汁が虫刺されに使われ、若苗を煎じて服用すれば高血圧などに効くとのこと。
 ちなみに、アカザと本種カワラアカザは同科同属で、アカザ科にはあの有名なホウレンソウもある。ホウレンソウの学名はSpinacia oleraceaとなっている。
 
 カワラアカザ(河原藜):野草
 アカザ科の一年草 本州~九州、南西諸島、台湾に分布 方言名:不詳
 名前の由来は『沖縄植物野外活用図鑑』に「和名は河原アカザの意」とあった。アカザとは何かと調べると、藜と漢字が充てられ「アカザ科の一年草 本州~九州、南西諸島、台湾に分布する。紅紫色の若葉は食用に、茎は干して杖にする。」という植物、本種とは同科同属の別種。アカザのアカは「紅紫色の若葉」から来ているようだがザは不明。本種は別名にマルバアカザというが、これは葉の形状からだと思われる。
 海岸の砂地に多く見られる。草全体が白紛をふき白っぽく見える。茎は直立して高さ30~70センチになる。葉は卵形~広披針形で互生。枝先に円錐状穂状花序を多くだし、小さな花を密に着ける。花は目立たないが、多く着ける花序が目立つ。
 「和名は河原アカザの意」だが、沖縄では河原より海岸砂浜で多く見られる。アカザは食用になり、薬効のある薬草でもあるといくつかの文献に紹介されているが、本種については食用になるとか薬草になるとかの記述はどれにも無い。
 そもそもアカザとカワラアカザの違いを書いてある文献もなく、はっきりと判断できないが、文献の写真をみる限りでは、アカザの葉には鋸歯があり、カワラアカザは全縁。ところが別の本では、アカザの葉は幅広く大きく、表面が皺皺になっている。などとアカザは判断に迷うが、カワラアカザはどの文献でもほぼ同じ形状で間違いないと思われる。
 
 葉のアップ
 
 浜辺の群れ

 ちなみにアカザ、
 
 アカザ(藜):野草
 アカザ科の一年草 本州~九州、南西諸島、台湾に分布 方言名:不詳
 名前の由来は資料がなく不明。新芽の若い茎や葉は紅紫色とのことなのでアカザのアカは赤から来ていると思われる。
 葉は三角状卵形~三角状広卵形で、近縁種のカワラアカザに比べると大きく、目立つ鋸歯がある。概ねは路傍の雑草扱いであるが、畑で栽培されることもあり、紅紫色になる若葉が食用になるとのこと。同じアカザ科のホウレンソウによく似た味がするとのこと。茎は硬くて軽いので杖として利用される。開花期は8~10月、沖縄での開花期は不明。
 
 ちなみに学名は、
 カワラアカザ Chenopodium acuminatum var. vachelii
 アカザ Chenopodium album var. centrorubrum

 記:島乃ガジ丸 2019.6.23 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 『ネイチャーガイド 琉球の樹木』大川智史・林将之著、株式会社文一総合出版発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
 『講談社園芸大百科事典』野間省一編集、講談社発行
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行
 『ネイチャーガイド琉球の樹木』大川智史、林将之著、株式会社文一総合出版
 『自分で採れる薬になる植物図鑑』増田和夫監修、柏書房株式会社発行


ビンズイ

2019年07月15日 | 動物:鳥

 ヒバリではない

 ヒバリはとても有名なので会いたいと思う。美空ひばりではない鳥のヒバリ。歌の女王美空ひばりももちろん、言うまでもなく有名。むしろ、美空ひばりからヒバリという名の鳥がいるのを知ったくらいなのだが、ブログで鳥を紹介するようになってから会いたいと思う一番の鳥である。しかし、会いたいと思って15年経っても会えていない。
 今年の春、近所の公園で見知らぬ鳥を見つけ、写真を撮り、家に帰って鳥図鑑を開く。写真のものは、図鑑の中のビンズイという名の鳥に似ていた。ビンズイの隣の頁にはセジロタヒバリ、その次のページにはタヒバリが載っている。「ん?これはかねてから会いたいと願っていたヒバリの仲間か?」と少し期待が膨らむ。

 図鑑の説明文を読んですぐに期待は萎む。ビンズイはセキレイ科で、ヒバリの頁を開くと、ヒバリはヒバリ科であった。残念。見た目は、大雑把に言えば似ているんだけど。
 図鑑にタヒバリと名の付く鳥は5種あり、同じ仲間なのにビンズイだけタヒバリとは全く異なる名前であるというのも面白いが、ヒバリではないというガッカリ感が強く、しばらく、ボーっとしてしまった。パソコンの見過ぎで目が疲れたという理由もあるが。
 
 ビンズイ(便追):スズメ目の冬鳥
 スズメ目セキレイ科の冬鳥 全長15.5センチ 方言名:不詳
 名前の由来は資料が無く不明。漢字表記の便追は『野鳥ガイドブック』にあった。「便りを追う」から来ているのなら「恋人の鳴き声を追う」と考えられ何か切ない感じ、「便を追う」であれば、雌が便をすると雄はその後を追うというという肉体的欲求の感じ。
 「大きさや形はタヒバリに似るが体の色は緑色味が強く・・・」とあり、同図鑑のタヒバリを見ると、確かに似ている。本種は「耳羽後方の白い斑紋と、下面の黒いすじは太くてはっきりしている。」とのことで、写真のものを本種と判断する。
 平野、海岸の松林や広葉樹林などを好んで生息する。地上を歩いて餌をとり、木の枝にもよく止まる。県内では冬季に見られ小群の場合が多い。見られる時期は9~3月。
 鳴き声、地鳴きはヅィー、さえずりにはチッチッという音が入る。本種と近い仲間は『沖縄の野鳥』に数種紹介されている。私はまだそのどれも見たことが無いが、以下にそれらの概要を紹介しておく。ちなみに、ヒバリはヒバリ科、タヒバリ類はセキレイ科。
 
 振り向くビンズイ

 タヒバリ(田雲雀):スズメ目の冬鳥
 セキレイ科の冬鳥 全長16センチ 方言名:不詳
 冬羽は、「上面がオリーブっぽい褐色、下面は汚れた白色を呈し、胸から腋に黒い縦紋
ビンズイやムネアカタヒバリによく似ている」とのこと。
 川岸や水田などの草地に生息。鳴き声は、チー、ピィーッ、ピィー。
 沖縄で見られる時期は9月から3月。

 ムネアカタヒバリ(胸赤田雲雀):スズメ目の冬鳥
 セキレイ科の冬鳥 全長15センチ 方言名:不詳
 冬羽は、背面に緑色味があり、黒褐色の縦班がある。
 県内には初冬に小群で渡来し、草地などで越冬する、飛来数は比較的多い。
 水田、農耕地、牧草地などに生息。鳴き声はチィー、またはツィー
 沖縄で見られる時期は9月から5月。

 マミジロタヒバリ(眉白田雲雀):スズメ目の冬鳥
 セキレイ科の冬鳥 全長18センチ 方言名:不詳
 体の上面が黄褐色、眉斑は灰白色で、下面は黄白色、足は黄褐色。
 尾が長い、後ろ指の爪が長い。
 牧草地や農耕地に生息。鳴き声は、飛びながらビュン、ビュン。
 圏内には定期的に飛来するが、数は少ない。沖縄で見られる時期は10月から3月。

 セジロタヒバリ(背白田雲雀):スズメ目の冬鳥
 セキレイ科の迷鳥 全長14センチ 方言名:不詳
 冬羽はムネアカタヒバリとそっくりで、両者の識別は困難とのこと。
 農耕地などの開けた場所に生息。
 沖縄で見られる時期は11月から2月。沖縄への渡来記録は稀とのこと、

 マキバタヒバリ(まきば雲雀):スズメ目の冬鳥
 セキレイ科の迷鳥 全長14センチ 方言名:不詳
 タヒバリに似ているが、肩羽の縦班がより鮮明である。
 農耕地などの開けた場所に生息。鳴き声はピッ、ピッ、またはチュイッ
 沖縄で見られる時期は11月から3月。全国的に渡来記録は少なく、県内でも少ない。

 記:2017.7.15 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『検索入門 野鳥の図鑑』中村登流著、株式会社保育社発行
 『野鳥ガイド』唐沢孝一著、株式会社新星出版社発行