ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ワシントンヤシモドキ

2018年09月21日 | 草木:ヤシ竹特殊類

 9月4日付記事「ユスラヤシ」の中で、
 ユスラヤシとビンロウジュの違いが私にははっきり判らなくて、写真を見せられて「これはどっち?」と問われても自信持って答えることはできない。
 と書いたが、じつはその時、別のヤシ類の記事に目が行ってちょっと読み返してみた。2015年4月に「ビロウとワシントンヤシ」という記事を写真入りで両者の違いを書いてアップしているが、それを見て、「これ、間違っているかも」と気になって宜野湾市立図書館へ行って『沖縄のヤシ図鑑』という本を借りて確認した。
 「これ、間違っているかも」と気になったのはワシントンヤシ。私の記憶にあるワシントンヤシは幹が太くガッシリした、例えて言えば筋トレ熱心のマッチョな男性であった。ところが、私がワシントンヤシとして載せた写真のヤシは、例えて言えば、背が高くスリムで頭の小さいミスユニバースクラスの美女。個体変異では済まない違い。

 他の何冊もある参考文献には載っていない種類のヤシが『沖縄のヤシ図鑑』にはいくつもあった。その1つが今回紹介するワシントンヤシモドキ。
 ワシントンヤシとは葉の形が似ているだけで、全体の見た目はミスターマッチョとミススリム美女ほどの違いがある。「それにモドキ(擬き)なんてよー」と思わぬでもないのだが、同属(washingtonia)なので学問的にはしょうがないのかと思わぬでもない。

 
 ワシントンヤシモドキ(華盛頓椰子擬き):街路・公園
 ヤシ科の常緑高木 メキシコ原産 方言名:ヤーシ(ヤシの総称)
 名前の由来はワシントンヤシと同属で、ワシントンは同じく属名のWashingtoniaから。ワシントンヤシと似ているがちょっと違うのでモドキがつくものと思われる。
 ワシントンヤシの別名にオキナヤシ(翁椰子)とあるが、本種の別名にもオキナヤシモドキ(翁椰子擬き)とある。その他セダカワシントンヤシという別称もあり、これは、本種がワシントンヤシに比べ背が高いということから。これには納得できる。
 ワシントンヤシと比べると、幹の直径はワシントンヤシが1m程度で、本種のそれは30センチ以下(根元は肥大して直径70センチ程)とワシントンヤシよりずっと細く、高さはワシントンヤシが15m程で本種は22~27mと背も高い。葉柄の長さがワシントンヤシ2mほどなのに対し本種は1m強と小さく、葉梢部全体がコンパクト。例えて言えば、背が高くスリムで頭の小さいミスユニバースクラスの美女。
 花序はクリーム色、花は白色、果実は熟すと黒褐色になるというのはワシントンヤシに同じ。ただし、開花期と果実の熟期はワシントンヤシより1ヶ月ほど遅れ、開花期は5月から6月で、果実の熟期は7月となっている。ちなみに学名、
 ワシントンヤシモドキ washingtonia robusta
 ワシントンヤシ washingtonia filifera
 
 葉
 
 幹

 記:島乃ガジ丸 2018.9.19 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『沖縄のヤシ図鑑』中須賀常雄・高山正裕・金城道男著、(有)ボーダーインク発行


オキナワアズチグモ

2018年09月19日 | 動物:クモ・その他

 目つきの悪い奴

 沖縄の植物を紹介しようと休日にあちらこちらを散歩して植物の写真を撮り始めたのは2004年秋のこと。植物を撮っていたらそこに虫がたくさんいることを知って、間もなく動物の写真も撮り始める。動物の中でもクモ類は、特に網を張っているクモは割合撮り易い。大きくて目立つオオジョロウグモ、網は張らないが屋内に多くいるアシダカグモやハエトリグモは2005年頃には既に写真を撮り、何者か判明もしていた。

 300坪の畑を借りて農夫の真似ごとを始めたのは2012年夏のこと。その1年後には一応畑らしくなって、作物もいくつか育っていた。その作物の収穫などしている時に面白い見た目をしたクモにしばしば出会った。今回紹介するオキナワアズチグモ。
 オキナワアズチグモ、それまで見たこと無かったのに、畑ではよくお目にかかる。アシダカグモは大きくて恐ろしげだが、本種は体長1センチ程でそう大きくは無い。
 面白いと感じたのは顔、目とそれを含む周辺。アズチグモはヤクザのような強面(こわもて)をしている。目が恐ろしげである。何度も遭遇しているが、見るたんびに何か獲物を仕留めている。闘っているという状況なので、怖い目をしているのかもしれない。

 
 オキナワアズチグモ(沖縄安土蜘蛛):クモ目の節足動物
 カニグモ科 沖縄島以南、先島諸島、与那国の南西諸島に分布 方言名:クブ
 名前の由来は資料が無く詳細は不明。オキナワ(沖縄)は「南西諸島に分布」ということからであろうが、アズチが何のことか。広辞苑でアズチを引くと「弓を射る時、的の背後に土を山形に築いた所」とある。それだけではヒントにならなかったが、あずちまくらという単語もあって、それは「上が狭く底の広い、垜(的の背後に土を山形に築いた所)の形に似た・・・箱枕」とあり、「上が狭く底の広い」という垜(あずち)の形と本種の形が似ているからであろうと想像した。本種の体の形は台形をしている。
 垜は常用漢字では無いようで、PCによっては表示されないかもしれないので、ここでは同じ意味で使える安土という漢字表記を用いることにした。
 狩猟行動は待機型と文献にあり、待機型とは「網は張らず、草陰、葉裏などで待ち伏せして、近寄った獲物を狩る」とのこと。私もそれは何度も見ている。
 『ネイチャーガイド 日本のクモ』に「白色の腹部に3対の黄色の眉毛状斑を持った鮮やかなクモ、頭胸部と歩脚のまだら模様も目立つ」とあるが、私はそのような鮮やかな本種を見たことがない。「色彩、斑紋には変異が多く、全体白色や黄色の個体も見られる」ともあるように、私の写真は、1つは全体白色の個体、もう1つは全体黄色の個体だと思われる。体長は雌9ミリ内外で、雄3ミリ内外。出現時期は3~8月。
 
 上の写真1は全体白色の個体、下の写真2は全体黄色の個体。

 記:2018.9.18 ガジ丸 →沖縄の動物目次
 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』湊和雄著、実業之日本社発行
 『西表島フィールド図鑑』横塚真己人著、実業之日本社発行
 『沖縄クモ図鑑』谷川明男著、有限会社文葉社発行
 『ネイチャーガイド 日本のクモ』新海栄一著、株式会社文一総合出版発行


平和へ貢献する人

2018年09月18日 | 通信-社会・生活

 テレビを観ない上、オジサンと呼ばれる年齢(30歳後半辺り)となってからは流行りの音楽やドラマなどにも興味を失くしてしまったので、ここ20年ほどに出てきた歌手や俳優、ここ20年ほどに流行った歌やドラマなどを私はほとんど知らない。
 流行りのアイドルでは「おにゃんこクラブ」をその名は覚えているが、メンバーの名前は1人も知らない。ドラマではNHK大河の「新撰組」、スマップの香取シンゴが主役だったのを覚えており、NHK朝ドラの「ちゅらさん」は好きで良く観ていた。歌手だと松田聖子、中森明菜、宇多田ヒカル辺りまでは顔を何となく思い出せる。
 昭和の頃の歌手ならいくらでも出て来る。3人娘と呼ばれていたかどうかはよく覚えていないが、南沙織、小柳ルミ子、天地真理。3人娘と確か呼ばれていた山口百恵、桜田順子、森昌子。その他キャンディーズ、ピンクレディーなどなど。
     
 私が流行り歌、流行りドラマに興味を失くして以降でも、沖縄出身のタレントには関心があった。「チバリヨー(気張れよー)ウチナーンチュ」といった気分。
 例えば、安室奈美恵、MAX、SPEEDなど、その歌う歌はほとんど知らないけど応援はしていた。そうそう、彼女たちの歌う歌で唯一知っているのがある、安室奈美恵のキャンユーセレブレイト。結婚式、私の世代ではなく、私の子供達の世代の結婚式で入場曲として使われているのを何度も聴いた覚えがある。ヒット曲がいくつもある、というだけでなく、安室奈美恵は歌もダンスも一流の人であると噂に聞いていた。

 話は少し飛ぶが、9月30日投開票の沖縄県知事選及び宜野湾市長選、既に公示日は過ぎて今、各陣営とも大いに選挙運動をしている最中。県知事選、宜野湾市長選とも辺野古に新基地が建設されるかどうかに大きく影響するので、政治に関心のある人には大きな政治的話題である。特に県知事選は全国的にも注目されている。であるが、ここ数日は、ラジオ放送(私はテレビを観ないのでラジオが頼み)は政治の話より、県知事候補のタマキデニーやサキマアツシより安室奈美恵の名前を聞くことがずっと多い。NHKのトップニュースも安室奈美恵だった。もちろん、沖縄ローカル局はずっと安室奈美恵。
 ここ数日のラジオから流れる安室奈美恵関連の話を聴いていて感じたことがある。安室奈美恵は「多くの人に愛と平和を与えた偉い人なんだ」と。彼女のために多くの人が集まり、彼女のパフォーマンスに多くの人が喜びを感じ、笑って、泣いて、彼女の存在に多くの人が愛を感じ、笑って、泣いて、自分の心にも愛があることを確信する。
 宗教家みたいなことを言うようだが、「平和な社会」の重要構成アイテムは「愛」だと私・・・正確に言えば「理想の私」は思っている。周りの人々を愛おしく思う、それだけで争いは無くなる。愛をたっぷり与えてくれた安室奈美恵さん、「平和な社会」への貢献に関してはそんじょそこらの政治家たちが足元にも及ばない人なんだと感じた。

 安室奈美恵さん引退の日(16日)、樹木希林さんが亡くなったというニュースを聞いた。芸能界オンチの私なので安室奈美恵はよく知らないけれど、芸能界オンチの私でも樹木希林はよく知っている。子供の頃から、彼女が悠木千帆という芸名であった頃から知っている。私の大好きな、吉永小百合の次くらいに好きな女優。彼女もまた、愛たっぷりの人だと思う。その顔を、表情を見ているだけで愛と平和を感じる人。合掌。
     

 記:2018.9.18 島乃ガジ丸


ホシスジオニグモ

2018年09月17日 | 動物:クモ・その他

 よく見る鬼

 殺虫剤を使っていないということもあると思うが、畑(もう手放しているが)には多くの生き物が住んでいる。植物も多いが、種類としてはおそらく動物の類が多いと思う。動物の中には怖いものもいる。先ずは、まだ出会ってはいないがハブ、畑にはネズミやカエルがたくさんいて、それを好物とするハブはきっといる。彼らは日向が嫌いみたいなので遭遇していないだけのことだと思われる。同じヘビ類のアカマタには出会っている。
 怖いものは他にハチの類、特にスズメバチの類は刺されると激しく痛いらしいが、私はまだ彼らに刺された経験は無い。チビアシナガバチというハチには数回刺されている。刺された瞬間はチクっと針で刺されたような痛みはあるが、痛みは長く続かないので我慢できる痛さ。毒を持つ毛虫もいる。特にタイワンキドクガがたくさんいる。その毛に触れると触れた箇所が腫れて激しく痛痒くなる。これも何度か経験がある。
 あと、刺された、あるいは噛まれた経験は無いが毒を持つムカデの類もいる。クモの類にも毒を持つ、かの有名なタランチュラほど強い毒では無いだろうが、いるらしい。

 毒は持たないが、怖い名前のクモの類もいる。今回紹介するホシスジオニグモ、これは畑でよく見る。写真を撮って、図鑑と見比べてホシスジオニグモであると知ったのだが、何でオニ(鬼)と名がつくのか見た目からは想像つかない。「ならば、毒を持っているのだろうか?」と思ったが、そうでもない。私から見ればクモの中でも可愛い方。見た目でオニ(鬼)にふさわしいクモは他にいる。それはチブサトゲグモ。
     
 チブサトゲグモは個体変異が多く、中には鬼の面のような見た目をしているのもいる。本種ホシスジオニグモも個体変異が多いとのこと。私はまだ出会っていないが、鬼のような見た目をしたホシスジオニグモがいるかもしれない。

 
 ホシスジオニグモ(星筋鬼蜘蛛):クモ目の節足動物
 コガネグモ科 静岡県以南の本州~九州、南西諸島に分布 方言名:クブ
 名前の由来は資料が無く詳細は不明。オニグモが広辞苑にあり「コガネグモ科のクモ・・・全体強剛で暗褐色、歩脚は太く長い」のこと。鬼蜘蛛という漢字表記は広辞苑からであるが、「強剛」から鬼とついたのだと思われる。ホシスジ(星筋)は体の模様からだと推測する。背に3~5対のギザギザ模様の縦筋がある。
 全体の形とその筋の形から本種であると判断するのだが、「色彩、斑紋の変異が多く、黒色型、茶色型、黄条型など様々なものが見られる」と文献にある通り、私も色の薄いの濃いのなど色彩変異の個体を見ている。私の写真の古いものは2006年3月のもので、以来何度も出会っていて、パソコンに残っている写真だけでも7枚ある。
 「草間、低木間に垂直の正常円網を張り中心に止まる」と文献にあるが、そういう状態にある本種を私は見ていない。「昼間は網の一端の葉裏に潜んでいる」とも文献にあり、そういう状態にあるものは見ている。ウロチョロ動き回っているのも見ている。
 「海岸地域に生息する」と文献にあったが、私は、海から離れている以前勤めていた職場(那覇市首里)やその近辺で見ており、西原町の畑でも何度か見ている。
 体長は雌9ミリ内外、雄6ミリ内外。琉球列島のほぼ全てに分布している。出現時期は6~9月と文献にあったが、それはたぶん、倭国での話で、私の写真は2月のもの、3月のものもあるので、おそらく沖縄での出現期間はもっと長いのであろう。
 
 成体2 全体の色が薄めの個体。

 記:2018.9.16 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』湊和雄著、実業之日本社発行
 『西表島フィールド図鑑』横塚真己人著、実業之日本社発行
 『ネイチャーガイド 日本のクモ』新海栄一著、株式会社文一総合出版発行
 『沖縄クモ図鑑』谷川明男著、有限会社文葉社発行