ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ナンデーシー(桑の実)

2018年09月10日 | 飲食:果物・菓子

 桑苺マルベリー

 過日、知人のKさんが訪ねて来て、ヤンバル(沖縄島北部の通称)に土地があるという話から、そこを果樹園にして云々・・・という話になったので、
 「普通のナンデーシーの3倍位の大きさのクワの木がある」と彼に話したら、
 「それはぜひ欲しい」との反応を示してくれた。

 ナンデーシーとはウチナーグチ(沖縄語)でシマグワの果実のことを指す。そういえばと思い出した。2~3年前、友人E子の母上と会話する機会があって、ナンデーシーの話題になった時に「首里ではクワーギヌムックーと言う」と教えて頂いた。調べると、
 ナンデーシーという名称は主に農民が使う語で、王府があり士族が多く住む首里ではクワーギヌムックーと言うらしい。ムックーは「小さい実、草木の実」(沖縄語辞典)などのこと。クワーギヌは「桑の木の」の沖縄語読み。

 Kさんとクワの実の話になって、クワの木についてあれこれ調べていたら、それまで知らなかったことをあれこれ知ることができた。以下は広辞苑によるもの。
 桑酒(くわざけ):桑の実で醸造した酒。味醂に似て芳烈。
 桑果(そうか):花軸に多数の花がつき、多肉・多汁の果実の集まりになったもの。
 桑中(そうちゅう):(桑畑の中で密会する意から)男女の不義。淫事。
 桑原(くわばら):雷鳴の時、落雷を避ける呪文として用いる語。

 桑酒は私も造ったことがある。桑の実を瓶に入れて潰して放っておけば発酵する。
 桑果も桑中も知らなかったが、ワイドショーなんかで芸能人の不倫を報道する際、「桑中の2人」なんて表現すると文学的で柔らかい感じになるかもしれない。
 桑原は、そういう呪文であるとは知っていたが、漢字表記もその由来も初めて知った。

 さて、美味しいナンデーシー、その欠点は食料にするには小さいこと。たくさん集めないと満足できる量にはならない。ということで「普通のナンデーシーの3倍位の大きさ」にKさんも興味を示したわけ。その大きさであれば30~40粒も収穫すれば3~4人分のジャムが作れるかもしれない。きっと美味しいジャムができるだろう。
 そのジャムを大量に作って販売して儲けることができるかもしれない。名前をナンデーシージャムにする・・・か?・・・響きが良くないかなぁ?
 桑の実のことを和語では桑苺(くわいちご)と言うらしい。桑苺という字面はいいが、クワイチゴジャムでは少々長ったらしい。クワーギヌムックーも長ったらしい。
 それでも私は諦めない。さらに調べる、英語では何と言うのか?
 英語ではマルベリー(mulberry)とのこと。これはいい。マルベリージャム、語呂もいいし、何か美味しそうな響きである。「マルベリーって何?」と思われる方のために容器の蓋に黒紫色で「桑苺」と表示しておく。これなら売れるかもしれない。
 ちなみに、英和辞典でmulberryは「クワ(の木)、クワの実、暗紫色」の意。
     
     
     
     
 シマグワ(島桑):庭木・公園樹・果樹
 クワ科の落葉中木。九州南部~南西諸島、台湾、東南アジアに分布。方言名:クワーギ
 果実は熟すると甘酸っぱく美味。小鳥たちが集まってくる食餌木にもなる。生食でき人間が食べても美味しい。果実の熟期は4~5月であるが、台風で葉が吹き飛ばされたりすると11月頃に収穫できることもある。
 葉に薬効があり、煎じて服用すれば便秘、高血圧になどに効くとのこと。

 記:2018.9.9 ガジ丸 →沖縄の飲食目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行