ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

コマダラナガカメムシ

2011年06月03日 | 動物:昆虫-カメムシ・セミ

 害になるかも?

 7月上旬の台風8号で甚大なる被害を被った見習い農夫(私のこと、一人前になるにはまだ道は遠い)は、その後の12号、11号にも台風対策、対策解除に時間を取られて、比較的農閑期のはずの夏もゆっくり休んでいられない。
 台風対策がなくても作業はある。台風に野菜や果樹は被害を受けるが、雑草は台風のもたらす雨で、却って元気になり、今、大いに蔓延っている。毎日草刈をやっているが、2時間もやると腰が悲鳴をあげ、草刈作業は間に合っていない。

  この季節は台風に頭を悩ませている見習い農夫だが、その前の季節(春)は虫に頭を悩ませていた。虫は今もいるが、春に比べるとずっと少ない・・・のでは無い。台風のせいで畑に作物が無く、よって、虫も少ないということだと思う。
 虫といっても、バッタやコオロギ、ハナムグリやトンボなどは農夫を虐めることはないので、いても特に構わない。私の頭を悩ませているのは害虫と呼ばれるもの、チョウガの類、カメムシの類、ハムシの類など、それらに害虫は多い。

 そのカメムシの類であるコマダラナガカメムシ、「ベニバナボロギクなどのキク科の植物に寄生する」と文献にあった。ベニバナボロギクは私の畑にもあるが、それは雑草なのでいくら食われても農夫は痛くも痒くもない。ではあるが、「キク科の植物」の野菜ゴボウ、シュンギク、ヨモギ、レタスなどを食われると、それは害虫となる。現在(8月)、畑にはゴボウとヨモギがあるが、今のところそれらを食っている現場を見ていない。

 
 コマダラナガカメムシ(小斑長亀虫):半翅目の昆虫
 ナガカメムシ科 四国以南、沖縄、台湾、東南アジアなどに分布 方言名:フー
 名前の由来については資料が無く、漢字表記の小斑は私の想像。ナガカメムシ科という科があって、カメムシの類では比較的体が長いからナガ(長)とつく。斑については、本種の背中側を見ると「どこが斑?」なのだが、腹側が斑模様なのだと思われる。小については、体長12ミリ内外とナガカメムシ科の中では比較的小さいからだと思われる。
 ヒメマダラナガカメムシによく似ているし、ホシカメムシにも似ているし、ナガカメムシ科の他の仲間にも似ているのがいる。体の模様のちょっとした違いで名前が変わるので私のような素人には、ちょっと見ただけでは判別できない。『沖縄昆虫野外観察図鑑』によると、よく似ているヒメマダラナガカメムシとは、背中の黒色紋がコマダラナガカメムシは丸型で、本種はそうでないことで判別できるらしい。
 体長は12ミリ内外。ベニバナボロギクなどのキク科の植物に寄生する。私の畑にはベニバナボロギクもあるし、他のキク科雑草も多い。成虫の出現は5月から11月。

 記:ガジ丸 2014.8.11 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行


リュウキュウアブラゼミ

2011年06月03日 | 動物:昆虫-カメムシ・セミ

 寝不足の怒り

 私はけして暴力的人間では無い。争いごとは好まない。争いを挑んでくる人がいると無視する。なので私は、自分のことを平和主義者であるとばかり思っていた。ところが、相手を無視するということは、自分の心と脳から、あるいは、自分の時間と空間から相手を消すということだ。それはたぶん。平和的手段では無い。
 争うのは面倒である。その種を身の回りから消してしまうのは、面倒から逃げているだけのことである。私は平和主義者では無く、ただの面倒臭がり屋のようだ。
 
 面倒臭がり屋は怒るのも面倒だと思っているので、怒ることは滅多に無い。最近では、2、3年前、「金寄こせ」としつこく言ってきた姉に怒鳴った、10年ほど前、男の更年期障害でイライラしていた頃、チンピラと喧嘩しそうになった、30年ほど前、酔っ払って暴れている友人にブチ切れて、ブン殴った、などがある位である。
 そんな温厚な私が、「チクショー、オメェら皆殺しだ!」と、手にマシンガンがあればぶっ放すかもしれないほど怒りに駆られることがある。朝のセミ供。
  奴らは夜明けと共に騒ぐ。私は毎日寝不足となる。寝不足が続くとイライラする。何日も続くと、「もう我慢が効かねぇ!」となってしまう。私の怒りの相手のセミ、主犯格はクマゼミだが、リュウキュウアブラゼミもかなり煩い。
 争いごとを好まない私は、「もう我慢が効かねぇ!」となっても我慢している。私は未だ、セミ一匹も殺していない。寝不足がさらに続くと、意識が朦朧となって、「もう、どうでもいいや」と思うようになるからだ。夏になると、毎年毎年それの繰り返し。

 
 リュウキュウアブラゼミ(琉球油蝉):半翅目の昆虫
 セミ科 体長40ミリ内外 方言名:ナービカチカチ
 名前の由来は資料が無く不明。油という字は広辞苑にあったが、何故、油なのかもよく解らない。アブラゼミの体が特にテカテカしているようには見えない。もしかしたら、体を絞ると油が出るのかもしれない。が、その油を食いたいとは思わない。
 方言名のナービカチカチは、鍋のしりを包丁で掻き落すような騒がしい声という意らしい。群れて「ジ、ジ、ジ」と鳴き、確かに煩いが、煩さではサンサナーに少々劣る。
 体長40ミリ内外。体は黒色で、翅は暗褐色の不透明。
 6月下旬から7月上旬と9月中旬から10月上旬の2度の最盛期があるとのこと。
 
 セミの幼虫1
 どの種のセミの幼虫か不明だが、春から夏にかけて土を掘ると出てくる。
 
 セミの幼虫2
 これもどの種のセミの幼虫か不明。幼虫1よりも成長している。

 記:ガジ丸 2011.5.5 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行


オオホシカメムシ

2011年06月03日 | 動物:昆虫-カメムシ・セミ

 ヘッピリムシ

 前に何かの頁で、「既に600種以上の植物を紹介しているが、記憶力の弱い私はその三分の一も覚えていない。」といった内容のことを書いたが、よーく考えれば、200種以上の植物が記憶できているのは上出来ではないだろうか。私の記憶力はけして弱くはないと思う。中学、高校の頃、英語や社会は苦手で、数学は得意であった。国語だと、漢字の書き取りは苦手であったが、文を読んで理解することは得意であった。つまり私は、理解力が優れ、それに比べたら記憶力は劣る、ということのようだ、たぶん。

  なんて自慢話はさておいて、一般に(私の場合だけかもしれないが)植物よりは昆虫の方が覚えやすい。これまでに200種以上の昆虫を紹介しているが、その名前を見て、姿を思い出せるのは7割を超えると思う。
 植物より昆虫の方が覚えやすいのは何故かと考えると、おそらく、昆虫にはその体を現す名前が付けられていることが多いからだと思われる。見た目似たようなものが多くいるカメムシでも、オオホシカメムシという名前なら、「大きな星模様のあるカメムシ」とその体の特徴を思い浮かべることができる。
 カメムシのことをウチナーグチで何ていうのか知らなかったが、アクアコーラル企画発行の『いちむし』という本が石嶺図書館にあった。それによると、フーと言うらしい。しかし、フーでは体を現していない。食べる麩(ウチナーグチでフーという)にカメムシが似ているとは思えない。むしろ、プーなら解る。プーはウチナーグチで屁のこと。カメムシの多くは臭い。ヤマトゥグチ(倭語)でも別名ヘッピリムシと言う。

 
 オオホシカメムシ(大星亀虫):半翅目の昆虫
 オオホシカメムシ科 本州~南西諸島、台湾、東南アジアなどに分布 方言名:フー
 前翅に大きな丸い黒色紋がある。黒い丸紋を星に見立ててホシとつく、のはおそらく間違いない。星紋のある大きなカメムシなのか、大きな星紋があるカメムシなのかについては、資料が無く、不明。カメムシの仲間では体が特に大きいということは無い。
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「年中灯火に飛来するが、5月から2月頃にかけて多い」とあったが、私が見たのは8月の炎天下。
 また、「平地の林では稀で、山地やその麓で見られる」ともあったが、私が見たのは、どちらかというと平地の林に近い嘉数高台公園。「個体数はそう多くなく」とあり、確かに、あまり見ない。私もその時の一度だけ。
 体長は15~19ミリ内外。宿主はミカン類。成虫の出現は周年。
 
 子虫1
 
 子虫2

 記:ガジ丸 2009.10.24 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行


アカヘリカメムシ

2011年06月03日 | 動物:昆虫-カメムシ・セミ

 地球温暖化の証拠

 沖縄に帰って来た頃だからもう25年ほども前のこと、那覇市のメインストリート、国際通りの近くを深夜歩いていた。国際通りの近くと言ってもそこは人通りも少なく、暗く静かな道、道の両サイドに古い墓が残っている。「嫌な雰囲気」を感じながら歩いていると、突然、震えるほどの冷気が体を襲った。「あっ、いる。」と思った。

 一ヶ月ほど前のこと、現場仕事に出る。現場は25年ほど前に震えるほどの冷気を感じた場所の近く。そこはしかし、25年前以来何十回となく歩いていて、冷気に襲われることは二度と無かった。もっとも、深夜歩くことは避けていた。で、その日も昼間のこと、何の恐怖も無ければ、何の予感も無い。10時休み、墓の傍まで行ってみる。
  墓の傍のフェンス(幽霊では無く、ハブが出るとのことで立ち入り禁止のフェンス)にフウセンカズラが絡まっていた。何か動いているものに気付いた。「あっ、いる。」と思って、立ち止まり、観察する。今まで見たことの無いカメムシが群れていた。
 写真を撮って後日調べると、そのカメムシはアカヘリカメムシという種。図鑑の説明文を読むと、「宮古島以南に分布」とのこと。クロマダラソテツシジミが北上しているのはこの目で何度も確認済み、ガジ丸HPを読んでくれている方から、ハラボソトンボが北上している、ラミーカミキリが北上しているという情報も聞いている。そしてアカヘリカメムシ、地球温暖化の証拠をまた一つ、私は発見したようである。

 
 アカヘリカメムシ(赤縁亀虫):半翅目の昆虫
 ヒメヘリカメムシ科 宮古島、石垣島、西表島、与那国島、他に分布 方言名:フー
 ヘリは『沖縄昆虫野外観察図鑑』のホシハラビロヘリカメムシの頁に由来があって、「翅の両側から側縁が見えるほど幅広く、和名はそれに由来する」とのこと。体の側面に突出部があって、それを側縁といい、それが目立つ。本種にも側縁がある。体の大部分が紅色をしているのでアカとついて、アカヘリカメムシという名前。
 分布は他に台湾、中国、マレー半島、インドなどとあるが、そこに沖縄島は含まれていない。『沖縄昆虫野外観察図鑑』は1996年の発行、それから13年が経って、地球温暖化も進んで、宮古島より北にある沖縄島にも生息するようになったのだろう。
 体長は3~16ミリ内外。宿主はアカギモドキ、フウセンカズラ。私はフウセンカズラに群れているのを見た。幼虫は体全体が鮮やかな紅色。成虫の出現は4~11月。
 
 親子

 記:ガジ丸 2009.10.24 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行


フタスジハリカメムシ

2011年06月03日 | 動物:昆虫-カメムシ・セミ

 逃げない虫

  これまでたくさんの動物の写真を撮っているが、私はこれまでカメラの勉強をしたことは無く、使っていたカメラはアナログもデジタルも全て自動の、いわゆるバカチョンと呼ばれるものであった。今使っているカメラはそんな中では最も上等のもので、いろいろ機能は付いているが、使いこなせていない。いつもオートにしている。
 このカメラはまた、12倍ズームという機能も付いている。これはよく使っている。買う前は、「12倍はすごい、これで遠くのものもじゃんじゃん撮れるぞ。」と思ったのだが、使ってみると、12倍はさほどたいしたものでは無かった。

  動物の写真では、駄洒落では無いが、鳥が撮り辛い。ヒヨドリ、イソヒヨドリ、シロガシラ、キジバトなどは大きいし、割と近づけるのだが、小さな鳥は臆病なものが多いみたいで、近付くことができない。何とかかんとか12倍ズームが威力を発揮して、カメラに収めるのだが、ズームはボケる可能性が高く、失敗写真が多くある。
 小さな虫も撮り辛い。虫はズームでは無く、接写が必要となる。接写はごく近付かなければならない。あまり近付くと逃げてしまう。であるが、カメムシの類は逃げないものが多い。虫の中では撮りやすい虫となっている。今回紹介するフタスジハリカメムシも、ちっとも逃げない虫であった。食われないことに自信があるのかもしれない。カメムシは臭いものが多い。で、食われにくい。本種もきっと臭いのであろう。

 
 フタスジハリカメムシ(二筋針亀虫):半翅目の昆虫
 ヘリカメムシ科 沖縄、石垣、台湾、ビルマ、インドに分布 方言名:不詳
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』に名前の由来があった。「側角が針状に斜め前方へ尖る」ということからハリで、それは写真から確認できる。フタスジは「前胸背八の字状の濁黄色紋があり」とのことだが、私には八の字状がはっきり見えない。もしかしたら、個体によって八の字状が明確なものがあるのかもしれない。
 カメムシは亀虫の他、椿象とも書き、じつはそっちの方が本筋らしい。広辞苑でカメムシ目を引くと椿象目と出てくる。椿という字には「ずっしりと太い」という意があり、象には「かたち」という意がある。ずっしりと太い形ということになる。
 体長は15ミリ内外。成虫の出現は2~11月。寄主はマサキ、ハリツルマサキ。
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「庭園や公園、海岸の潅木林に発生する」とある。私は10月と11月に職場の庭で見つけた。
 
 群れ
 
 群れていた樹、マサキでもハリツルマサキでも無く、たぶん、ピタンガ。

 記:ガジ丸 2008.1.26 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行