似たものがいないカモ
首里城の施設の一つ、龍癉へ行くと水鳥を多く見ることができる。その多くはバリケンという種類。しかし、中には「カモかも」と思われるものもいる。確信が持てないのは、マガモに似たカルガモ、アイガモがいて、その区別が、違いの判らないオジサンには判らないからだ。味が同じであればどっちでもいいやと、オジサンは思っているし。
沖縄市に県立の沖縄総合運動公園があり、そこにも池があって、水鳥が、龍癉ほど多くは無いが、泳いでいる。そこの水鳥たちには、たまたまそういう時期だったのか知らないが、龍癉では見かけないものもいた。バン、オオバン、アオクビアヒルがいた。その他にもう一種、名前の知らないものもいた。彼らはしかも、人慣れしているのか、池のほとりに立っていると近寄って来た。バンなんて、警戒心が強い鳥だと思っていたが、その池のバンは近寄ってきた。バンだけでなく、オオバンもアオクビアヒルも近寄ってきた。なわけで、いずれも近いところからじっくりと写真を撮ることができた。
龍癉では見かけない名前の知らないもう一種もちゃんと写真が撮れていて、後日、図鑑で調べ、何者かが判明した。それはハシビロガモ。マガモとは見た目違っていたので、「カモかも」とは思わなかったのだが、それもまた、カモの仲間だった。
「それはハシビロガモ」と確信が持てたのは、図鑑に載っている鳥に、他に似たようなものがいなかったからだ。似たものがいない、というのは、それが何者か調べる際に素人にはたいへん助かる。動物も植物も含め似たようなものは多くあって、これまで撮った写真の中には、「・・・かも」と思いつつ、確信の持てないものは山ほどある。
ハシビロガモ(嘴広鴨)
カモ目カモ科の野鳥 北半球に広く分布 方言名:不詳
名前の由来は説明するまでもないと思ってか、どの文献にも書かれていない。説明するまでもないその由来は、「カモの仲間で、くちばしが広いから」で間違いなかろう。
全長、雄51センチ、雌43.5センチの中型のカモ。名前の通り、カモの仲間の中ではくちばしが幅広く大きいのが特徴。マガモもそうだが、雌は地味で、雄は派手な体模様をしている。本種の雌は全体が褐色で地味だが、雄は頭は緑を帯び、胸は白、腹は赤褐色、上下の尾筒は黒味がかり白線が走っている。雌の嘴は黄褐色で、雄の嘴は黒い。
「県内には、冬季に渡来し・・・数は少ない」とあって、そう簡単には見られないようだ。湖沼、海岸、河川などに生息するとのこと。
鳴き声は『沖縄の野鳥』に「クェッ、クェッと続けて鳴く」とあった。北半球に広く分布し、本州以南に冬鳥として渡来、沖縄には11~2月に滞在。
記:2011.4.23 ガジ丸 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行