長閑も吹っ飛ぶ痒さ
今週の日曜日(5日)、脱サラ農夫の友人Tの畑に行き、農作業を手伝った。午前中の9時から12時までの3時間、辺りは農地が広がり、小川があり、ちょっとした森がその背後にあり、爽やかな風が吹き、柔らかな陽が注ぐ中、何とも長閑な時間であった。
その日の午後は自分の畑の仕事をする。全体の除草をし、一部は耕して、種を植える準備をし、既に耕してあった部分には枝豆の種を植え、ネギを植え、水を撒く。それらの作業に計3時間を費やした。Tの畑での作業と同じ時間である。風は爽やか、陽射しは柔らかなのはTのところと同じであったが、ただ、私の畑は、長閑では無かった。
Tの畑にはまったくいなかったガジャン(蚊)が、私の畑にはいっぱいいた。Tの畑は広く、作物はすべて刈り取られていてガジャンが隠れる場所が無かったのであろう。それを私は、ガジャンの季節にはまだ早いのだろうと勘違いして、虫除けスプレーを塗らずにいた。初めの頃は出てこなかったが、夕方になるにつれて何匹かがやってきた。首筋や腕などを数箇所刺された。ガジャンはヤマガジャン(薮蚊)、お馴染みのガジャンだが、これに刺されるとヒジョーに痒い。長閑な気分にはとてもなれない。
ヒトスジシマカ(一条縞蚊):双翅目の昆虫
カ科 東北地方以南、南西諸島、東南アジア、他に分布 方言名:ヤマガジャン
胸部の背側に1本の縦縞があるのでヒトスジ、脚の各関節に白斑を持つのでシマとついてヒトスジシマカという名前。ヤブカはヤブカ属のカの総称でもあるが、藪に多く生息しているところからその名となっているのであろう。ちなみに、藪のことを沖縄の方言ではヤマグヮー(山小、小さい山といった意味)という。方言名のヤマガジャンは山の蚊ということであるが、藪だけで無く山にもいるから沖縄ではそういう名となる。
本種はヤブカ属の仲間では最も普通に見られる種で、畑にいっぱい、庭にもいっぱいいる。昼間活動するが、夕方には特に多い。庭木の茂みや林内に多く潜んでいて、人の気配を感じる(二酸化炭素を感じるらしい)とすぐに寄って来る。刺されるとひどく痒い。
空き缶などのごく小さなものでも、水が溜まっていたりすると、そこに産卵し、そこから発生する。デング熱ウィルスの媒介者である。
記:ガジ丸 2006.3.8 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行