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ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ヒメアマガエル

2011年04月28日 | 動物:両性・爬虫類

 痩せガエル、生き残れ

 先週(1月上旬)、カエルなどの両生類に寄生するカビが日本で発見されたというニュースをやっていた。そのカビは感染力が極めて強く、流出すれば、日本の両生類が絶滅する恐れもあるという。カエルがいなくなると、カエルを捕食するヘビや鳥などが困るらしい。その代わり、カエルに捕食されていた虫たちは助かるらしい。
  従姉の息子の女房であるMは賢い人(その上美人)なので、彼女と話をしていると私は気分が良い。であるが、残念ながら彼女と一緒に野山を散策し、そこに暮らす生き物たちを見つけ、それに喜びを感じるなんてことはできない。彼女はヘビやカエルが大嫌いなのである。カエルを絶滅させるカビが蔓延して、沖縄の自然からカエルが消えて、ヘビが少なくなると彼女は喜ぶであろうが、しかし、それでもなお、彼女は、私と一緒に自然の生き物たちを愛でるなんてことはやらない。彼女は虫の類もまた大嫌いなのである。カエルの消滅で虫の増えた野山なんてとんでもないのである。
 
 という私も実は、こうやって沖縄の生き物たちを紹介してはいるのだが、カエルやヘビや虫たちが好きというわけでは無い。しかし、好きでは無いが嫌いでも無い。少なくとも自然の中で生きている彼らを見ることは好きである。生命の尊さを感じる。
 そういう私なので、この世からカエルが消えてしまうのは残念なのである。太古の昔より、その遺伝子を連綿と続けてきたカエルさんたちなのである。同じく遺伝子を伝え続けてきた地球の仲間として、彼らの繁栄を願う。

 
 ヒメアマガエル(姫雨蛙) 
 ジムグリガエル科の両生類 喜界島、琉球列島、他に分布 方言名:ティンアタビー
 アマガエルはアマガエル科で、本種はジムグリガエル科となっている。見た目が似ているのかと思って両者を見比べてみたが、似ているのかどうか、カエルはカエルとしか見えない私には判定不能。ただ、本種もアマガエル同様、雨の日に鳴くらしい。そこからアマガエルという名があるかもしれない。体長25ミリほどと小さいのでヒメが付く。
 文献には体長22~32ミリとあり、私が見たものもそれくらい。その大きさ、沖縄に生息するカエルの中では最も小さな種とあった。
 森林や低地の草むらなどに生息する。職場の庭の一部は草むらになっていて、私はそこで発見した。「草陰や土の穴の中で鳴いていて、なかなか見つけにくい」とあったが、私は近い場所で2度見ている。ラッキーだったのかも。また、「跳躍力が強く、捕らえるのは難しい」とあったが、私はごく近づいて、接写することができた。私のことをヘビと勘違いして、睨まれたカエルみたいになっていたのかもしれない。
 産卵期は3月から7月。
 
 雄雌の違いはよく判らないが、私が見た限りでは雄がわずかに小さい。
 
 ヒメアマガエルの子
 姫雨蛙 ジムグリガエル科の両生類 方言名:アミナー(おたまじゃくし)
 職場の庭にいるオタマジャクシ、半透明なのでヒメアマガエルと判断。

 記:ガジ丸 2007.1.13 →沖縄の動物目次
 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行


オキナワトカゲ

2011年04月28日 | 動物:両性・爬虫類

 懐かしの名前

  イシガキトカゲを調べている時に、イシガキトカゲと同じような色模様(縦に白線が入って、尾の青い)をしていて、子供の頃何度もお目にかかっているトカゲが沖縄島近辺に住むオキナワトカゲであることが判った。そのオキナワトカゲ、もう長いこと見ていないので、私の住む首里近辺では絶滅したのであろうと思っていた。
 アパートの庭や畑では、茶一色のトカゲを何度か見ている。これがじつは、オキナワトカゲなのだということを今回知った。オキナワトカゲの、縦に白線が入って、尾の青い色模様は成長すると消えて、茶褐色になるらしいのである。なかなか用心深 い奴で、すぐに草むらに隠れてしまうから、写真を撮るのも容易では無かった。が、なんとか、私得意の殺気を消す術を用いて1枚は撮ってあったのだ。撮っておいて良かったのである。

 オキナワトカゲ、見た目は懐かしくも何とも無かったが、その方言名を見て、すごく懐かしい思いをした。アンダチャーは、子供の頃何度も耳にした名前であった。アンダチャー、ゥワートゥヤー、ジューミー、キチキチバッタなどと、たとえば同窓会などで口にしたら、少なくとも男子の多くは懐かしさを覚え、話が盛り上がるに違いない。

 
 オキナワトカゲ(沖縄蜥蜴) 
 トカゲ科の爬虫類 沖縄諸島に分布する 方言名:アンダチャー
 沖縄諸島とは沖縄島近辺の伊是名、伊平屋、慶良間諸島などの離島を含む。そこに分布するのでオキナワトカゲという名。イシガキトカゲ、オオシマトカゲと近縁。
 方言名は子供の頃よく耳にした懐かしい響きであるが、アンダチャーの意味は不明。アンダは油のことを指す。体に照りがあって油を塗ったようであるからアンダなのかと推理する。チャーは接尾語として何々達の達の意もあるが、茶の意もある。茶から茶色いものを指すこともある。油を塗ったように照りがあって茶色いものということかも。
 幼児期はイシガキトカゲに似て、尾の部分が青く、縦に白線が入るが、成長するにつれてそれらの模様は消え、背面は褐色となる。
 体長19センチ。沖縄島の、野にも山にも里にも普通に見られるトカゲ。
 
 子供の間は体に模様がある。尾の部分が青く、縦に白線が入る。

 記:ガジ丸 2005.12.16 →沖縄の動物目次
 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行


イシガキトカゲ

2011年04月28日 | 動物:両性・爬虫類

 懐かしの見た目

 「八重山スケッチの旅」で西表島ジャングル探検をした時、縦に白線の入った、尾の青いトカゲを見た。名前は忘れたが子供の頃には何度もお目にかかっているトカゲ、ヤンバル(沖縄島の北部地方の俗称)の親戚の家でも、南風原(那覇市の東隣の町、私が子供の頃は畑の広がる田舎)の親戚の家でも頻繁に見たトカゲ。色模様がきれいなので見間違いなどでは無い。確かに、沖縄島でも昔はどこにでもいたトカゲであった。
  そういえば最近、というか、ここ20年以上も見ていなかったことに気付く。沖縄島のヤンバルに行けばまだたくさんいるかもしれないが、私の住む首里近辺では、あるいは実家のある泊近辺ではもう緑が少なくなって、住み辛くなったのかもしれない。などと思いながら図鑑を開いて名前を調べる。イシガキトカゲであった。

 沖縄島にもたくさんいるというのに名前はイシガキトカゲ、何故か。図鑑にはオオシマトカゲ、オキナワトカゲ、イシガキトカゲと色模様の似たトカゲが3種あった。それぞれ奄美大島近辺、沖縄島近辺、石垣島近辺に生息する亜種なのだそうである。
 オキナワトカゲも縦に白線の入った、尾の青いトカゲであるが、成長するとその色模様は消えるらしい。懐かしの見た目は、オキナワトカゲの子供であったようだ。

 
 イシガキトカゲ(石垣蜥蜴)
 トカゲ科の爬虫類 石垣島、西表島に分布する固有種 方言名:不詳
 石垣島で最初に発見されたのでイシガキと名がつく。沖縄諸島にはオキナワトカゲ、奄美諸島にはオオシマトカゲという種があり、本種と色形が似ている。
 文献に7本の白い縦線があると書かれてあったが、写真のものは5本しかない。それでもイシガキトカゲ。本種は住む場所によって色や模様が微妙に変わるそうで、山地のものは白線が5本になるとのこと。成長によっても色が変わるらしい。
 体長15センチ前後の小型のトカゲ。石垣島、西表島の林内では普通に見られる。

 記:ガジ丸 2005.12.16 →沖縄の動物目次
 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行


キノボリトカゲ

2011年04月28日 | 動物:両性・爬虫類

 整備された墓地では

 もう20年ほども前のことだったか、ウシーミー(御清明、清明祭のこと)で、伯父の家の墓を訪れた。墓は中城村の国道沿いにあり、国道沿いとはいえ、原野を切り開いてまだ間もないといったような藪の中に、その他の20基ほどの墓と一緒にあった。
 国道に路上駐車して、山道をいくらか登る。その途中、その頃小学校高学年であった従姉の息子が大声をあげた。
 「あっ、カメレオンがいる!」
 彼が指差したところに、なるほどカメレオンそっくりのトカゲがいた。大きな木の幹に数匹がしがみつくようにして、目玉をグルグル動かしていた。

 その頃、私も知識に乏しく、彼が言う通り、それがカメレオンであると思った。近くの民家で飼っていたものが逃げ出して、繁殖したものであろうと思った。
  「違うよ。あれはキノボリトカゲだよ。」と従姉の亭主が教えてくれた。キノボリトカゲは沖縄に普通にいるトカゲで、従姉の亭主などは子供の頃、それを捕まえてはよく遊んだらしい。「何?どうかした?」と言っているみたいな表情が面白いし、歩き方もどこと無くひょうきんなので、子供の良い遊び相手になったそうだ。そんなひょうきん者、私はその時が初対面。那覇の緑の少ないところでは生息できないのかもしれない。

 今年の5月、ウシーミーで同じ場所を訪れた。墓の周辺は当時と比べて、だいぶ整備されてきれいになっていた。墓の数も増えていた。私はその時、キノボリトカゲの写真を撮ろうと意気込んでいた。ガジ丸HPに載せるためである。しかし、キノボリトカゲは1匹も見つからなかった。整備された墓地では、彼らも住みにくいのであろう。

 
 キノボリトカゲ(木登り蜥蜴) 全長25センチ
 アガマ科 奄美、沖縄、先島諸島の固有種 方言名:コーレーグスクェー
 名前の由来、明確に書いてある資料はないが、「樹上性」(広辞苑)であることからキノボリであろう。トカゲについては不明。方言名のコーレーグスクェー、その由来も不明だが、その意味は面白い。コーレーグス(唐辛子)クェー(食う者)となっている。キノボリトカゲが唐辛子を食うかどうかについては、どの文献にも記載がない。
 本種の全長についてもこれまで参考にしていたどの文献にも記載がなく不明だったが、今回新しく参考図書に加えた『ポケット図鑑日本の爬虫両生類157』にあった。
 カメレオンほどではないが体の色模様を変える。地面の上にいることもあるが、木の幹や枝でよくみることができる。樹上で昆虫などを捕食する。
 写真は職場で撮った。職場は那覇市内ではあるが、周りに緑が多い。
 
 これは地面に近い位置にいた。「しまった!見つかったか」といった表情。
 
 キノボリトカゲ(サキシマ)
 先島木登り蜥蜴 アガマ科 方言名:コーレーグスクェー

  記:ガジ丸 2005.8.5 →沖縄の動物目次
 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行


ガラスヒバァ

2011年04月28日 | 動物:両性・爬虫類

 知識があれば怖くは無い

 数年前に中一の少年二人を連れて、ヤンバルの玉辻山をハイキングした。その後、暑い盛りだったのでたっぷり汗をかき、まだ時間に余裕もあったということで、泳ぎに行くこととなった。海では無く川、というより泉。タナガーグムイ(注1)という名。
 子供の頃から海には親しんで、川にも親しんで、泳ぎには不安の無い私であるが、泳ぐことの楽しさを理解できずにいるので、大人になってからは泳ぐ機会が減った。目の前には倭人の羨む沖縄の青い海が広がっているというのに、最近10年間で泳いだのは2、3回あったかどうかとなっている。それも、子供の面倒をみるために仕方なく。

 なわけで、その時も私は泳がず、一人で沢登探検をする。沢登りには危険が伴うということは重々承知している。あの恐ろしいハブが、水を飲みにやってくるからだ。で、慎重に歩く。一つ目の沢ではリュウキュウハグロトンボを発見し、写真を撮る。もう一つの、大きな沢を歩いていて、岩の上から50センチほど下に飛び降りた時、足元を素早く何かが動いていくのが見えた。草むらがあったので、それが何かすぐには判らない。が、長いものであることには気付いた。「ハブ!」と、全身から一瞬にして汗が吹き出、その場から飛び退く。ちょっと落ち着いてから、ゆっくり戻り、確認する。
  長いものは岩陰に隠れていた。ヘビには違いないが、ハブかどうかは不明。沖縄にはハブ以外にアカマタ、アオダイショウなどがいるとは聞いているが、その違いが判らない。私には沖縄のヘビに対する知識がその時は無かった。知識が無いものだから、恐れて、その長いものに近付くことができなかった。離れたところからだが、その長いものの写真を撮って、後日調べる。それはガラスヒバァという無毒のヘビであった。そうであるとの知識さえあれば、何も怖くは無い生き物だったのである。
 以来、沖縄の植物だけでなく、動物も勉強しなくては、と思ったのである。

 注1、タナガーグムイ:タナガーはタナゲーという名のエビを指す。タナゲーは手長ということ。つまりテナガエビのことであるが、川エビ全般も言う。グムイはクムイの濁音化したもので、自然にできた池や沼などのこと。「タナゲーの」と所有を表す意味で「タナガー」と変化して、タナガーグムイは「テナガエビの池」、あるいは「テナガエビのいる沼」とかいったことになる。沖縄本島国頭村にある。

 
 ガラスヒバァ(烏蛇)
 ナミヘビ科 体長100センチ内外の無毒のヘビ 方言名:ガラスヒバァ
 奄美諸島、沖縄諸島に分布。宮古諸島にはミヤコヒバァ、八重山諸島にはヤエヤマヒバァなどの亜種がいるが、見た目も生活形態もほとんど一緒のようだ。胴の背面は黒、または黒褐色の地に黄色の細い横帯がある。細長いスマートな体型。低地の水田や山地の渓流などの水辺に生息し、カエル、オタマジャクシ、イモリ、トカゲなどを捕食する。
 どの文献にも方言名の記述が無かった。しかし、ガラスヒバァの最後の小さなァはいかにもウチナーグチ(沖縄口)のようである。カラオケが世界の共通語になったように、ガラスヒバァは日本の共通語になったのかもしれない。広辞苑にはカラスヘビ(烏蛇)の記載があり、「シマヘビの体色の黒化したもの」の他に、「ガラスヒバアのこと」との記述もあった。カラスのことを方言でガラサーと言う。よって、漢字は烏蛇とした。
 
 2010年9月、座間味島で側溝の中を這っていたもの。

 記:ガジ丸 2005.8.5 →沖縄の動物目次
 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行