先日、友人の息子の結婚披露宴があり、私も招待され参加した。私はウチナーンチュらしく、ほんの数分であったが遅刻する。披露宴開始も平気で遅れるというウチナータイムは既に無くなって久しい、私が宴会場に入った時、席はほとんど埋まっていた。
新郎父親の友人達(高校の同級生で多くは私の友人でもある)が2つの隣り合わせのテーブルに座っていた。2つのテーブルに16名(私除く)の友人達がいた。よく会っている人、1~2年に1回は会う人が合わせて10人、10年ぶり1人、20年ぶり1人、30~40年ぶり2人、後の2人は同級生だったのかも覚えていなかった。
20年ぶり1人は、新郎父親からその名前はよく耳にしていたが、私は高校の頃あまり接点が無くて想い出は何も無い。が、30~40年ぶりの2人は、若い頃はよく会っていた。1人は家が近かったので、もう1人は同時期に東京暮らしをしていたので。
10年ぶり1人は、若い頃はたまに顔を合わせていたが、その後は数年に1回会うかどうかとなり、ここ10年ほどは見ること無かった。が、彼の噂は時々耳にしていた。
法律的にもうすぐ爺さんとなるオッサン16名は、職場によって違うだろうが、皆定年の齢を過ぎている。私が知っている14名は自営業をそのまま続けている者、継続雇用をした者、定年後他の仕事に就いているもの、様々であった。
私の席の左側にはKS、KY、MTと、卒業後も模合仲間として親しくしている友人が並び、同じテーブルにはその他、2年に1度は顔を合わせる養老会(養老ノ滝で飲んでいた)仲間のUK、HI、YMがいて、彼ら6人の近況は概ね耳にしている。
私の右隣にはMMが座っていた。彼とは約40年ぶりであるが、彼が誰であるかはすぐに判った。見た目も若い頃とそう変わらず、彼の持っている雰囲気が若い頃そのままだったから。MMは退職後、自宅を改装した小さなバーを趣味のようにやっているとのこと。第二の人生を大いに楽しんでいるようで、若々しい顔は明るく、イイ顔していた。
隣のテーブルを見ると、よく会っているKHを含め1~2年に1度は会っている4人が座っていた。その4人の近況はだいたい把握している。そのテーブルには他に5人がいたが、5人ともよく知らない。その内の1人がニコニコ笑って私に手を振ったので、私も振り返したのだが、誰であるか思い出すのに少々時間がかかった。
その彼の隣に座っている男、誰だか全く思い出せない男が立ち上がって私の所へ来て話しかけてきた。「久しぶり」と言う。私は正直に「申し訳ないが思い出せない、誰だっけ?」と訊いた。彼の答えを聞いて彼が10年ぶりの1人であることを知る。そう言えばその面影はある。が、10年前の彼とはその持っている雰囲気が全然違っていた。
彼が仕事を辞めた後、小説家を目指し作品も書いているという噂は聞いていた。小説家になる(まだその途上であるとのこと)とその醸し出す雰囲気も変わるのかと思ったが、いやいや、もっと何か、人生を大きく変える出来事が身の上にあったのかもしれないとも思った。悲壮感はなかった。穏やかな顔であった。諦観ということかもしれない。
その日、披露宴開始の午後1時から、MMがマスターやっているバーでの2次会終了7時過ぎまで同級生たちと大いに飲み大いに語り、久々に楽しい気分を味わった。同級生たちはそれぞれ山や谷を乗り越え、味のある顔になり、良き爺さんに近付いていた。
記:2018.10.26 島乃ガジ丸