アメリカ世の容量
前にアップした記事『モビール油』を書きながらもう1つ思い出したことがあった、ガロン。昔昔その昔、そんな名前の漫画があったのをおぼろげに記憶しているが、そのガロンではなく体積単位のガロン。イギリスやアメリカで使われている体積単位。
沖縄が本土復帰する(1972年)前、アメリカ軍統治下にあった沖縄では耳に馴染みのある体積単位であった。アメリカ軍統治下以前は沖縄も日本と同じく尺貫法が使われていた。マチヤグヮー(小さな店舗)には計るための一合枡、一升枡があり、米や酒はそれで計られた。泡盛は今でも1合瓶、2合瓶、1升瓶、一斗甕などで売られている。
私の伯父の1人がプロパンガス販売を生業としていた。高校を卒業して1浪目の頃、私は叔父の手伝い、プロパンガスの配達助手をしていた。叔父はプロパンガスのついでに灯油販売もしていたが、灯油を販売する時にガロンという単位を私は聞いた覚えがあり、使った覚えもある。ただ、それは確かでは無い。伯父も伯母もとうに亡くなっていて確かめようが無く、娘である従姉妹たちは覚えていないとのこと。
ガロンの下の単位にはオンスというのもあったが、あったというのは覚えているが、生活の中で使われていたかどうかについてはほとんど記憶がない。ただ、後で調べて判ったことだが、復帰前に沖縄で製造された清涼飲料水の多くは、名前は日本語であっても、その容量はアメリカの影響があった。
親戚の土地を借りて、そこを畑にするため土を掘り返した時、復帰前に人気のあった清涼飲料水の古い空き瓶が出てきた。古い空き瓶は他の土地、友人の庭などからも出てきており、友人の家の裏庭からはバヤリースジュースとコカコーラ500ミリリットル瓶が出てきた。バヤリースの方はキングサイズと書かれてあって、296ミリリットル入りと表示されている。296なんて半端な数字だが、アメリカで10オンスのこと。
そういった古い瓶は一時期、私のコレクションになっていたが、何度か引越しを重ねるうちに全てダンシャリの対象となり今は無い。
沖縄が本土復帰して45年余となるが、今でもガロンやオンスの影響は残っている。例えば牛乳。沖縄の牛乳、大箱は1リットルでは無く946ミリリットルとなっている。これもアメリカの影響で、こちらは4分の1ガロンということ。
ちなみに、広辞苑による各単位の説明、その概要を以下。
ガロン(gallon):「体積の単位。・・・アメリカでは約3.785リットル」
オンス(ounce):「容積の単位。アメリカでは128分の1米ガロン29.6ミリリットル」
しょう(升):「尺貫法における容量の単位・・・現代の1升は1.80391リットル。斗の10分の1で、合の10倍」
記:2018.10.20 ガジ丸 →沖縄の生活目次
参考文献
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行