ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ちんなんさいなん

2011年11月04日 | 通信-その他・雑感

 「あっ、やべっ、みんな早く隠れろ!」
 「どうしたの父ちゃん?早くって言っても僕らそう早くは歩けないよ。」
 「人が近付いている、見つかったら何されるか分からない。さあ、早く!」
 チンナン(かたつむり)の父ちゃんと子供たち(母ちゃんは若い雄と逃避行中)はシマナー(高菜)の葉の縮れた葉の隙間に隠れた。ところが、やってきた人はそのシマナーを引っこ抜いてビニール袋に入れた。今夜のおかずにするつもりだ。
 「あっ、しまった!このシマナーが目的だったんだ、チクショー!」
 「怖いよー父ちゃん、僕たちどこに連れて行かれるんだろう?」
 「たぶん、奴の家だ、シマナーを家に持って帰って食うつもりなんだろう。」
 「えーっ!そしたら僕たちも食べられちゃうの?」
 「そんなこたぁ無い。奴の目的はシマナーだ。俺たちは食べない。」
 「でも、このままだとどっかに捨てられちゃうよ。」
 「奴はシマナーを洗うはずだ、その隙に逃げるんだ、みんなにそう伝えておけ。」
 「うん、わかった。伝えてくる。」

 それからしばらく経って、シマナーが袋から出され、葉の隙間に潜んでいたチンナン達も一緒に流し台の上にバサッと落とされた。年長の子チンナンはすぐにそれに気付いて、周りの他の子チンナンたちに声を掛けた。数匹の弟妹チンナンがいた。
 「今だ!みんな、シマナーから出るんだ!」
 子チンナンたちは一斉に逃げた。だが、なにしろチンナンは足がのろい、小さい子はさらにのろい、きっと間に合わないはず。しかし、年長の子チンナンが彼らを救った。彼は頭が良いだけでなく、運動神経も良く、力もあった。小さい弟妹チンナンを背中に乗っけて逃げることができたのであった。その後すぐ、シマナーは水の中に入れられた。

 「兄ちゃん、父ちゃんがいないよ。」と弟チンナンの1匹が言った。「そういえば」と年長チンナンも気付いた。「どうしたんだろう?逃げ遅れたのかな?」と年長チンナンは呟きながら、洗い終わったシマナーの束の中へ近付いた。
 「父ちゃーん!」と大声で呼ぶ。すると、葉の隙間から父ちゃんが顔を出した。
 「おー、長男か、皆は無事か?」
 「うん、みんな無事に逃げたよ。」
 「そうか、それはでかした。しかし、俺はもうダメだ、つい居眠りをしてしまった、面目無い。だが、子供たちが無事ならそれで俺は満足だ、さー、逃げなさい。」
  「ダメだよ、父ちゃん、諦めちゃ、今助けに行くよ。」と言って、年長チンナンはシマナーの束の中へ飛び込んだ。そのとたん、シマナーは熱い湯の中に入れられた。

 今週月曜日、畑のシマナーを数株引っこ抜いて、その夜の晩飯にした。寝る前、下痢をした。新居での初下痢となった。翌朝もお腹は緩かった。「何か変な物食ったかなぁ」と思いつつ、出勤する。その途中、車がスリップ、突き出たブロック塀に右前方がぶつかった。右前方の板金が変形し、バンパーにも亀裂が入った。災難な日となった。
          

 記:2011.11.4 島乃ガジ丸


アオスジアゲハ

2011年11月04日 | 動物:昆虫-鱗翅目(チョウ・ガ)

 無知のなせる業

 今でこそ、「あれはナミアゲハで、それはナガサキアゲハで、こっちはシロオビアゲハだ。おや、あそこにいるのは、那覇ではあまりお目にかかれないモンキアゲハだぞ」などと、近くに小学生などがいれば得意げに物知り爺さんぶるもできるが、このHPを始める前まではそんな知識などほとんど持っていなかった。
 なにしろ、アゲハチョウと言えばシロオビアゲハしか知らず、シロオビアゲハ以外のアゲハチョウがその辺りを飛んでいるなんてことも知らずにいた。

 このHPを始めて半年が経った頃、露出調整、シャッタースピード調整などの付いていない私のバカチョンデジカメで、飛んでいるチョウの写真をまぐれで撮ることができた。私にとっては新種のチョウであった。さっそく文献で調べる。このチョウがルリタテハに似ていたので、タテハチョウの仲間だとばかり思い込んでいて、名前が判明するのに少し時間がかかった。アゲハチョウの仲間であった。アゲハチョウといえばシロオビアゲハくらいしか知らなかった私は、何だか、大いに賢くなった気分になった。
 もちろん、「このチョウがルリタテハに似ていた」なんてことも無知のなせる業だ。賢くなった私は「どこが?全然似てねぇよ」と、きっと異議を唱えるはず。

 アオスジアゲハ(青筋揚羽):鱗翅目の昆虫
 アゲハチョウ科 前翅長47ミリ内外 方言名:ハベル(チョウの総称)
 分布は本州以南、南西諸島、東南アジア、他。成虫は3月から11月に出現。
 成虫は群れになって吸水行動をする。幼虫の食草はクスノキ、タブノキなど。
 名前の由来、資料が無く正確なところは不明だが、「翅に青い筋のあるアゲハチョウ」ということで間違いないと思う。アゲハはアゲハチョウ科のチョウの総称。
 シロオビアゲハ、ナガサキアゲハ、ナミアゲハなど他のアゲハチョウは単独、または番いで行動しているが、本種もまた単独でいるところをよく見るのだが、群れているのも時々見る。ヤブカラシの花の蜜が大好きみたいで、職場の庭に蔓延っているヤブカラシに群れているのを何度か目撃している。一年を通して目撃する機会が多いのはシロオビアゲハだが、夏、7月から8月の初めにかけては本種の方を多く見る。
 
 翅裏   
 
 飛ぶ姿  

 記:ガジ丸 2005.8.14  →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム
 訂正加筆 2011.8.2

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行


シロオビアゲハ

2011年11月04日 | 動物:昆虫-鱗翅目(チョウ・ガ)

 ありふれた蝶

 子供の頃から今と同じくらい虫に興味を持っていれば、今頃は昆虫博士になっていたかもしれない。しかしながら、生まれてからずっと、去年の秋頃までは虫などにほとんど興味が無かった。で、まあ、そのお陰でというか、今は発見の連続である。

 チョウといえば、モンシロチョウ、モンキチョウ、アゲハチョウしか知らなかった。アゲハチョウといえば、翅に白い斑点が帯のように並んでいるチョウしか知らなかった、そのチョウのことをアゲハチョウだと思い込んでおり、シロオビアゲハという名前であることを知ったのはつい最近のこと。それ以外にアゲハチョウがいることも知らずにいた。
 このHPを始めるようになってから昆虫にも興味を持ち、それ以外にもナミアゲハ、アオスジアゲハ、ナガサキアゲハなどのアゲハチョウがいることを知る。そんな中でもやはり、本種は子供の頃からよく目にしているチョウ。夏の一時期にはアオスジアゲハを多く見たりもするが、一年を通して言えば、本種が最も多いと思われる。

 どこにでもたくさんいて、地味な文様のチョウなので、小学校の頃、虫取りなんかにいっても、採取しようなどという気のおきないチョウであった。

 シロオビアゲハ(白帯揚羽):鱗翅目
 アゲハチョウ科 前翅長48ミリ内外 方言名:ハベル(チョウの総称)
 分布は南西諸島、東南アジアなど。成虫の出現、沖縄諸島では2月から12月。
 幼虫の食草はサルカケミカン、シークヮーサーなどの柑橘類、他。
 アゲハはアゲハチョウ科のチョウの総称で、本種は「雄は黒地に白い帯という和名どおり」と『沖縄昆虫野外観察図鑑』にもある通りの名前の由来。
 雄は黒地に白い帯だが、雌の斑紋は2つの型があるとのこと。雄に似た斑紋のⅠ型とベニモンアゲハに擬態しているⅡ型、それを知ってから観察すると、確かにそのような斑紋の個体がいて、黒地に白い帯の個体とじゃれ合っているのを見たことがある。
 アゲハチョウといえばこの種が先ず浮かぶ。というか、チョウといえば(私のような不勉強な人間にとって)この種しか思い浮かばないと言ってもいいくらい沖縄ではどこでもよく見かけるチョウ。幼虫は柑橘類の害虫となっている。
 
 沖縄産雄1
 
 沖縄産雄2
 
 沖縄産雌1
 
 沖縄産雌2
 
 八重山産1
 
 八重山産2
 
 幼虫  何とカワイイ顔をしていることか。 
 
 シークヮーサーの葉の表に産みつけていた。
 
 顔  こちらはあまり・・・。  

 記:ガジ丸 2005.8.14  →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム
 訂正加筆 2011.8.2

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行


モンキアゲハ

2011年11月04日 | 動物:昆虫-鱗翅目(チョウ・ガ)

 見比べて判る

 アゲハチョウの仲間は既に7種紹介しているが、図鑑を何度も見ているうちに、よくもまあ素人が、「これはベニモンアゲハ、これはカラスアゲハ」などと同定できたものだと今になって思う。アゲハ(ナミアゲハ)、シロオビアゲハ、アオスジアゲハなどは判別しやすいが、ベニモンアゲハ、カラスアゲハ、クロアゲハ、モンキアゲハ、ジャコウアゲハなどは互いによく似ていて、写真を見ただけでは、素人の目には解り辛い。
 今週紹介するモンキアゲハも判別しにくいものの一つ。図鑑の写真を見ながら、「似ているけど、違うかも」と自信を持って同定ができない。

 7月に本部町博物館を訪れた際、そこに昆虫の標本があった。小学校の頃、夏休みの宿題でよくやった(私はやったこと無いが)虫を虫ピンで刺した標本、それの大きなもの。博物館の許可を得て、その写真を撮る。でっかい標本なので写真は10枚を超えた程。その中にチョウの標本も多くあり、そこで、チョウ同士を見比べることができた。
 9月の座間味島散策で、白い斑紋の目立っていたチョウの写真を撮る。多く飛んでいたので写真を撮るのも楽であったが、そのチョウ、本部町博物館の標本にも多くあった。なので、素人ながら「これはモンキアゲハ」と自信を持って同定できた。

 モンキアゲハ(紋黄揚羽):鱗翅目の昆虫
 アゲハチョウ科 関東以南~沖縄諸島、東南アジアなどに分布 方言名:ハベル
 名前の由来、はっきりと書かれた資料は無かったが、アゲハチョウの仲間で、後翅の中央に黄白色の紋があることからモンキアゲハという名前だと思われる。
 『沖縄昆虫野外活用図鑑』に「後翅の中央にある黄白色の紋」とあったのだが、私には白色にしか見えない。その白色が座間味島の森の中でよく目立っていた。よく目立つ紋だが、止まっているときは概ね前翅に隠れていて見えない。飛んでいる時に現れる。
 同書には「どちらかといえば森林性のチョウ」とあり、私も家や職場の周辺では見たことが無い。また、「蝶道」などという言葉もあった。初めて見聞きする言葉だが、「多数の仲間が同じ道を利用している」とのこと。もちろん言うまでも無く、チョウたちはその道を歩いているわけでは無い。空中の道である。ヒラヒラ飛んでいる。
 前翅長65ミリ内外と大きなチョウなので、その紋と共によく目につく。座間味島の森の中を歩いている時にはもっとも多く見かけたチョウであった。成虫の出現は2~12月で、成虫は花の蜜を吸う。幼虫の食草はシークヮーサー、ハマセンナなど。
 
 成虫1  
 
 成虫2  

 記:ガジ丸 2010.10.21  →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行


コノハチョウ

2011年11月04日 | 動物:昆虫-鱗翅目(チョウ・ガ)

 偶然記念物

 これまで多くのチョウを紹介してきたが、それらの多くは、私の住む那覇から職場のある宜野湾市近辺にいて、そこで写真も撮っている。また、それらの多くは、会いたいと思って出合ったのではなく、偶然出合って、写真を撮って、調べたら何それというチョウであったというもの。県の天然記念物に指定されているフタオチョウなんかもその一つで、宜野湾市の嘉数高台公園で偶然出会い、後で調べて驚いたもの。
 昆虫図鑑を見るようになってほぼ5年になるが、チョウの中では、「これはなかなか出会えないだろうな、ヤンバル(山原、沖縄島中北部の通称)辺りまで行かないとダメだろうな。」と思っていたのがフタオチョウ、嘉数高台公園で見た時は、名前は思い出せなかったが、「これは確か珍しいチョウであった」ということは思い出せた。

 「これはなかなか出会えないだろうな」と思うチョウがもう一種ある。コノハチョウ。コノハチョウもフタオチョウと同じく県の天然記念物に指定されている。フタオチョウは名前と姿を記憶していなかったが、コノハチョウは、図鑑を見て、頭の中にしっかりとインプットされている。図鑑を見るようになってからずっとインプットされている。名前と姿を記憶していて、ずっと会いたいと思っていたチョウであった。
 今年8月29日、末吉公園を散策し、公園の西端にある橋を渡っている時に、橋のすぐ下、川の上をヒラヒラしているものが目の端に映った。「あれ、もしかしたら・・・」と思い、炎天下の下、約30分ほど立ち止まって、シャッターチャンスを待つ。
 「まさか、こんなところで、」と思いつつ、5、6m先の草の葉に止まったところを写真に撮る。翅をちょっと開いた時の写真も撮れた。「間違いない。」と思う。
 コノハチョウは翅裏が木の葉模様になっているから、その名がある。それはその通りだが、翅表は青地に橙色という派手な模様となっていて、それとすぐに判る。

 コノハチョウ(木の葉蝶):鱗翅目の昆虫
 タテハチョウ科 沖縄島、石垣島、西表島、東南アジアなどに分布 方言名:ハベル
 名前の由来は、『沖縄昆虫野外活用図鑑』に「翅を閉じた時の姿が枯葉に似ており、和名はそれに由来する。」とあり、それは間違いないと思う。広辞苑にも「木の葉蝶」と字があり、「裏面は枯葉に似るので、擬態の好例として有名」と説明されている。
 「擬態の好例」、翅裏は確かにそうなのだが、翅表は青地に橙色という派手な模様となっていて、よく目立つ。飛んでいる時は翅表をしっかり見せるし、止まった時もしばらくは、翅表を広げたりしているので、翅裏の擬態はあまり意味がないのではないかと私は思う。なお、翅裏の色彩模様は個体差が大きいとのこと。
 分布は沖縄島、伊平屋島、石垣島、西表島、中央アジア、東南アジア、台湾、東アジアとなっていて、沖縄産は固有亜種とのこと。
 前翅長40~50ミリ内外、成虫の出現は周年で、最盛期は7~9月。幼虫の食草はセイタカスズムシソウ、オキナワスズムシソウ。
 
 翅裏   
 
 翅表   

 記:ガジ丸 2009.9.6  →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行