見比べて判る
アゲハチョウの仲間は既に7種紹介しているが、図鑑を何度も見ているうちに、よくもまあ素人が、「これはベニモンアゲハ、これはカラスアゲハ」などと同定できたものだと今になって思う。アゲハ(ナミアゲハ)、シロオビアゲハ、アオスジアゲハなどは判別しやすいが、ベニモンアゲハ、カラスアゲハ、クロアゲハ、モンキアゲハ、ジャコウアゲハなどは互いによく似ていて、写真を見ただけでは、素人の目には解り辛い。
今週紹介するモンキアゲハも判別しにくいものの一つ。図鑑の写真を見ながら、「似ているけど、違うかも」と自信を持って同定ができない。
7月に本部町博物館を訪れた際、そこに昆虫の標本があった。小学校の頃、夏休みの宿題でよくやった(私はやったこと無いが)虫を虫ピンで刺した標本、それの大きなもの。博物館の許可を得て、その写真を撮る。でっかい標本なので写真は10枚を超えた程。その中にチョウの標本も多くあり、そこで、チョウ同士を見比べることができた。
9月の座間味島散策で、白い斑紋の目立っていたチョウの写真を撮る。多く飛んでいたので写真を撮るのも楽であったが、そのチョウ、本部町博物館の標本にも多くあった。なので、素人ながら「これはモンキアゲハ」と自信を持って同定できた。
モンキアゲハ(紋黄揚羽):鱗翅目の昆虫
アゲハチョウ科 関東以南~沖縄諸島、東南アジアなどに分布 方言名:ハベル
名前の由来、はっきりと書かれた資料は無かったが、アゲハチョウの仲間で、後翅の中央に黄白色の紋があることからモンキアゲハという名前だと思われる。
『沖縄昆虫野外活用図鑑』に「後翅の中央にある黄白色の紋」とあったのだが、私には白色にしか見えない。その白色が座間味島の森の中でよく目立っていた。よく目立つ紋だが、止まっているときは概ね前翅に隠れていて見えない。飛んでいる時に現れる。
同書には「どちらかといえば森林性のチョウ」とあり、私も家や職場の周辺では見たことが無い。また、「蝶道」などという言葉もあった。初めて見聞きする言葉だが、「多数の仲間が同じ道を利用している」とのこと。もちろん言うまでも無く、チョウたちはその道を歩いているわけでは無い。空中の道である。ヒラヒラ飛んでいる。
前翅長65ミリ内外と大きなチョウなので、その紋と共によく目につく。座間味島の森の中を歩いている時にはもっとも多く見かけたチョウであった。成虫の出現は2~12月で、成虫は花の蜜を吸う。幼虫の食草はシークヮーサー、ハマセンナなど。
成虫1
成虫2
記:ガジ丸 2010.10.21 →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行