吸えない葉巻
科学的な根拠は何も無いが、葉巻の煙は虫(主に蚊)除けになると思う。十数年前アメリカの姉の家に遊びに行った時、庭掃除を頼まれた。庭には蚊がたくさんいた。蚊取り線香が無いというので、「煙には違いない、効果があるに違いない」と思って、葉巻を咥えながら作業をした。そしたら、蚊は寄り付かなかった。
ハマキというと私はすぐにその葉巻が頭に浮かぶ。葉巻は、正式には葉巻煙草と言い、煙草の葉を巻いたもの。英語ではシガーと言う。一般にタバコと呼ばれ、タスポがなければ販売機では購入できなくなった、厳しいオバサンたちには何かと目の敵にされているものは、煙草の葉を刻んで紙などで巻いたもの、英語ではシガレット。
私はシガレットはほぼ毎日吸っているが、シガーは年に1、2回しかない。年に1、2回しかお目にかかれない葉巻だが、庭の葉巻はほぼ年中見ている。
職場には数本のブッソウゲがあるが、それらの葉の一部に巻かれた葉を見る。ハイビスカスやゲットウなどの柔らかい葉に限らず、ガジュマルなどの固い葉でも時々巻かれたものを見る。それらは虫の巣であろうと予想はしていたが、今回、ハマキムシ(葉捲虫)なるものが存在することを知った。ガの幼虫とのこと。吸えないとのこと。
イヌビワハマキモドキ(犬枇杷葉捲擬き):鱗翅目の昆虫
ハマキモドキガ科 本州以南、琉球列島に分布 方言名:ハベル
ハマキムシ(葉捲虫)が広辞苑にある。「植物の葉を巻いてその中にすみ、これを食害する昆虫、特にチョウ目ハマキガ科の蛾の幼虫の総称。」とのこと。ハマキモドキガ科はそのハマキガ科に似ているのでモドキ(擬き)がついているのだろう。本種は、『沖縄昆虫野外活用図鑑』に「成虫は日中活動性で、イヌビワの自生する・・・林で普通に見られる。」とあることから、さらにイヌビワとつく。
きれいな色模様をしたガ。藪の中を歩いていると飛び跳ねるのを見る。飛び跳ねてもそこから近い場所へまた止まるので、小さいけれども割と見つけやすい。
前翅長雌5~6ミリ内外。成虫の出現は3~11月。食草はイヌビワなど。イヌビワが自生している職場の庭で私も何度か見ている。
成虫2
イヌビワオオハマキモドキ(犬枇杷大葉捲擬き):鱗翅目の昆虫
ハマキモドキガ科 八重山諸島、台湾~オーストラリアに分布 方言名:ハベル
『沖縄昆虫野外活用図鑑』によると、食草はオオバイヌビワの1種のみ。イヌビワハマキモドキがイヌビワを食草としてその名があるのであれば、本種はオオバイヌビワハマキモドキでいいのではないかと思うが、イヌビワオオハマキモドキとなっている。オオがつくのは確かにその通りで、「わが国のハマキモドキガ科では最も大型」とあった。なお、ハマキモドキについては上のイヌビワハマキモドキと同じ。
分布が「八重山諸島、台湾~オーストラリア」となっている。かつては沖縄島には生息していなかったということだろうか。私は那覇市首里にある職場の庭で見つけた。
前翅長雌8~9ミリ内外。成虫の出現は4~10月。食草はオオバイヌビワ。
成虫
記:ガジ丸 2009.6.1 →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行