ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

イヌビワハマキモドキ

2011年11月04日 | 動物:昆虫-鱗翅目(チョウ・ガ)

 吸えない葉巻

 科学的な根拠は何も無いが、葉巻の煙は虫(主に蚊)除けになると思う。十数年前アメリカの姉の家に遊びに行った時、庭掃除を頼まれた。庭には蚊がたくさんいた。蚊取り線香が無いというので、「煙には違いない、効果があるに違いない」と思って、葉巻を咥えながら作業をした。そしたら、蚊は寄り付かなかった。
 ハマキというと私はすぐにその葉巻が頭に浮かぶ。葉巻は、正式には葉巻煙草と言い、煙草の葉を巻いたもの。英語ではシガーと言う。一般にタバコと呼ばれ、タスポがなければ販売機では購入できなくなった、厳しいオバサンたちには何かと目の敵にされているものは、煙草の葉を刻んで紙などで巻いたもの、英語ではシガレット。
 私はシガレットはほぼ毎日吸っているが、シガーは年に1、2回しかない。年に1、2回しかお目にかかれない葉巻だが、庭の葉巻はほぼ年中見ている。

 職場には数本のブッソウゲがあるが、それらの葉の一部に巻かれた葉を見る。ハイビスカスやゲットウなどの柔らかい葉に限らず、ガジュマルなどの固い葉でも時々巻かれたものを見る。それらは虫の巣であろうと予想はしていたが、今回、ハマキムシ(葉捲虫)なるものが存在することを知った。ガの幼虫とのこと。吸えないとのこと。
 
 イヌビワハマキモドキ(犬枇杷葉捲擬き):鱗翅目の昆虫
 ハマキモドキガ科 本州以南、琉球列島に分布 方言名:ハベル
 ハマキムシ(葉捲虫)が広辞苑にある。「植物の葉を巻いてその中にすみ、これを食害する昆虫、特にチョウ目ハマキガ科の蛾の幼虫の総称。」とのこと。ハマキモドキガ科はそのハマキガ科に似ているのでモドキ(擬き)がついているのだろう。本種は、『沖縄昆虫野外活用図鑑』に「成虫は日中活動性で、イヌビワの自生する・・・林で普通に見られる。」とあることから、さらにイヌビワとつく。
 きれいな色模様をしたガ。藪の中を歩いていると飛び跳ねるのを見る。飛び跳ねてもそこから近い場所へまた止まるので、小さいけれども割と見つけやすい。
 前翅長雌5~6ミリ内外。成虫の出現は3~11月。食草はイヌビワなど。イヌビワが自生している職場の庭で私も何度か見ている。
 
 成虫2   

 イヌビワオオハマキモドキ(犬枇杷大葉捲擬き):鱗翅目の昆虫
 ハマキモドキガ科 八重山諸島、台湾~オーストラリアに分布 方言名:ハベル 
 『沖縄昆虫野外活用図鑑』によると、食草はオオバイヌビワの1種のみ。イヌビワハマキモドキがイヌビワを食草としてその名があるのであれば、本種はオオバイヌビワハマキモドキでいいのではないかと思うが、イヌビワオオハマキモドキとなっている。オオがつくのは確かにその通りで、「わが国のハマキモドキガ科では最も大型」とあった。なお、ハマキモドキについては上のイヌビワハマキモドキと同じ。
 分布が「八重山諸島、台湾~オーストラリア」となっている。かつては沖縄島には生息していなかったということだろうか。私は那覇市首里にある職場の庭で見つけた。
 前翅長雌8~9ミリ内外。成虫の出現は4~10月。食草はオオバイヌビワ。
 
 成虫   

 記:ガジ丸 2009.6.1  →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行


ベニゴマダラヒトリ

2011年11月04日 | 動物:昆虫-鱗翅目(チョウ・ガ)

 一人が

 私は、人と話をするのが苦手というわけでは無いが、一人が好きである。映画を観るのも、旅をするのも一人が好きである。家で料理して、それを肴に酒を飲む場合も一人が好きである。私は妄想するのが好きで、一人でいると妄想にたっぷり耽ることができるのでたぶん、一人が好きなのだと思う。もちろん、きれいなお姉さんが添い寝をしてくれるのであれば、それは大きな喜びとなるが、蒲団の中でおならをした時に、「くさーい!」と文句を言われるのは嫌いなので、寝る時も概ね一人が好きである。

 虫に興味を持って、気をつけていると、今までまったく気付かなかった虫たちに多く出会う。虫の名前もいっぱい覚えた。今回、蛾の仲間にはヒトリガという名前を持つものもいるということを知った。私の見たヒトリガはしかし、同じ場所で、一月ほどの日を置いて2回見たのだが、2回とも群れでいた。”ひとりが”好きでは無いようだった。

 ベニゴマダラヒトリ(紅胡麻斑灯):鱗翅目の昆虫
 ヒトリガ科 本州以南、沖縄、東南アジアなどに分布 方言名:ハベル(ガの総称)
 ヒトリガ科の幼虫は典型的な毛虫で、本種の幼虫はタヌキマメ類の害虫となって、ときおり大発生するらしい。しかし、私が本種を発見したのは海岸端のモンパノキの生垣。その生垣の傍を歩いていたらパタパタと何匹も飛び回り、そっと近付いてみると、モンパノキの葉にそれらはとまっていた。成虫は何を食すのか、詳しいことは不明とのこと。
 たいてい群れでいる。”ひとりが”好きだからヒトリガ・・・なんてことは無い。
 なお、モンパノキは虫がつくということでもよく知られているが、その虫はモンシロモドキの幼虫である。が、その日、モンパノキにモンシロモドキの成虫はいなかった。
 前翅長17ミリ内外。成虫の出現時期は5月~11月。幼虫の食草はハナイバナ。文献には本種では無く、タイワンベニゴマダラヒトリが紹介されている。
 
 成虫   

 記:ガジ丸 2005.11.1  →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム
 訂正加筆 2009.5.30

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行


ルリタテハ

2011年11月04日 | 動物:昆虫-鱗翅目(チョウ・ガ)

 大胆派

 私の部屋には薬と名の付くものはオロナイン軟膏(痔用)とメンソレータム(口唇ヘルペス用)以外に無い。風邪薬も胃薬も無い。風邪も腹痛も根性で治している。ここ3、4年、痔も出ていないのでオロナインも今は使っていない。
 火傷や切り傷は頻繁にあるが、よほど大きな火傷の場合は畑のアロエ、大きな切り傷はバンドエードを使用するが、小さなものは唾つけるだけ。
 「火傷や切り傷は頻繁にある」のには理由がある。私は日常の食事のほとんどを自炊している。そのたびに包丁を使い、火を使う。畑仕事、庭仕事でも刃物を使う。よって、火傷や切り傷を負う機会が多い。なおかつ、私はうっかりミスが多く、で、小さな火傷や切り傷が頻繁にある。うっかりミスはガサツな性格だからとも言えるが、敢えて良く言わせて貰えば、生きる上で大胆であるとも言える。

 蝶にも大胆派がいた。近付いてもなかなか逃げない。彼は、私が襲わないと知っているのか、もし襲われたとしても、「その時はその時だ」と思っているのか、「ナンクルナイサ(なるようになるさ)」の気分で生きているのか。ナンクルナイサはウチナーンチュ的性格だが、チョウにもそのような性格の奴がいるようだ。

 ルリタテハ(瑠璃立羽):鱗翅目の昆虫
 タテハチョウ科 日本、東南アジアにかけ広く分布する 方言名:ハベル
 前に紹介したアカタテハ同様、雄は縄張りを作り、他のチョウを追い払う行動をすると文献にある。山地にも平地にも広く生息するともあるが、これもまたアカタテハ同様、かつて見たことはあるかもしれないが、私にとっては初めて知るチョウであった。
 アパートの駐車場にヒラヒラとやってきて、性格がO型なのか知らないが、あまり警戒心を持っていないらしく、私の近くに止まった。じっくり写真を撮ることができた。が、私のカメラ技術が下手なので写真はピンボケ。ところが、その固体だけが暢気なのでは無く、職場の駐車場にものんびりしたルリタテハがいた。二度目は慎重に、しっかり撮る。
 前翅長35ミリ内外。成虫の出現はほぼ周年。成虫は季節によって花の蜜、樹液、果汁などを吸う。幼虫の食草はサルトリイバラなど。
 
 那覇産1 
 
 那覇産2 
 
 山原産1 
 
 山原産2 

 記:ガジ丸 2005.10.1  →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム
 訂正加筆 2009.5.8

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行


ナミエシロチョウ

2011年11月04日 | 動物:昆虫-鱗翅目(チョウ・ガ)

 慎重派

 石橋を叩いて、なお渡るのを躊躇うほど慎重派であるUは、健康には相当気を使っていて、タバコを吸わない、酒もたしなむ程度、サプリメントは大好き、健康に関する番組も大好きで、「あるある」とか「がってん」とかを観て、それらで紹介された健康に良いものを摂取、あるいは、健康に良いことを行っている・・・らしい。
 ところが、先日会って話を聞くと、血圧が高いと言う。それもかなり高いらしい。健康に気を使うことがストレスにでもなっているのかと、私は不思議に思った。
 石橋を叩いて、結局渡らないほど慎重派であるUは、訊けば、血液型はやはりA型だった。A型は慎重であるという通説がここでも合っていたわけだ。タバコは吸う、酒はがぶ飲みする、サプリメントは大嫌いの私はO型で、これも通説に合っている。

 虫の蝶にも慎重派と大胆派がいる。蝶にも血液型があるのかどうか知らないが、私の傍をヒラヒラ飛んで、目の前に止まってくれる奴もいれば、いつも手の届かない高いところにいて、近付くとすぐに逃げてしまう奴もいる。ナミエシロチョウは慎重派。

 ナミエシロチョウ(波江白蝶):鱗翅目の昆虫
 シロチョウ科 沖縄、東南アジア、他に分布する 方言名:ハベル(チョウの総称)
 発見した人の名前か、あるいは発見した人の恋人の名前か知らぬが、ナミエが奈美恵なのか南美江なのかなどと推理しつつ、漢字を探したが、いつも参考にしている文献には無かった。たまたま先日図書館で借りた『蝶ウォッチング百選』という本で、波江が人の名であると判った。波江は姓名の姓の方で、波江さんは男の人であった。
 なかなか用心深いチョウで、近くに寄ってくれない。低いところに下りてくることもあまり無い。写真は3倍ズームでやっとこさの撮影。
 前翅長30ミリ内外。成虫の出現は周年であるが、真夏は少ない。幼虫の食草はツゲモドキなど。成虫の雄は吸水行動をする。
 
 雄1  
 
 雄2  
 
 雌  

 記:ガジ丸 2005.10.1  →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム
 訂正加筆 2009.5.8

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『蝶ウォッチング百選』師尾信著、株式会社晩聲社発行


キイロヒトリモドキ

2011年11月04日 | 動物:昆虫-鱗翅目(チョウ・ガ)

 一人擬き

 『ベニゴマダラヒトリ』の頁で「私は一人が好きである・・・云々」と書いたが、それは、結婚できない、恋人ができないことの言い訳で、本当は寂しがり屋なんだろうと疑う人もいるので、改めて我が身を見つめ直してみた。
 結果、私は人が好きである。友人達と飲んでいるのは楽しいし、美女と一緒にいる時間はこの上ない幸福を感じる。ただ、私は束縛されるのが嫌いみたいである。

 『ベニゴマダラヒトリ』の頁で「(ベニゴマダラヒトリは)たいてい群れでいる。”ひとりが”好きだからヒトリガ・・・なんてことは無い。」と書いたが、ベニゴマダラヒトリを見たのと同じ場所で、キイロヒトリモドキも見た。こちらもまた、日を置いて2回見た。こちらはしかし、2回とも”ひとりぼっち”であった。
 「擬き」を広辞苑で引くと、接尾語として「他の語に付いてその風采・風情に似たように作り立てられている意を表す。」とある。ということなので、「一人擬き」は「一人であるように見せかけている。」となる。ヒトリモドキというガは、ひとりぼっちの振りして本当は一人では無い。実は、近くにいつも恋人がいる。なので、名前をヒトリモドキと言う、ということになる。・・・なんてことでは、じつは無い。
 ヒトリモドキのモドキは擬きに相違ないが、ヒトリは「一人」ではなく、「灯」の意味で、灯火に集まる習性を表しているようだ。

 キイロヒトリモドキ(黄色灯擬き):鱗翅目の昆虫
 ヒトリモドキガ科 九州以南、沖縄、東南アジアなどに分布 方言名:ハベル
 名前の由来、資料が無く正確なことは不明だが、翅の色が黄色いのでキイロと付くことは間違いないだろう。ヒトリガに形が似ているのでヒトリモドキとなる、については私の推測であるが、図鑑を見る限りでは両者、似ていると思う。
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』には、「昼間に林内で出会う」、「農村では夜間に屋内の灯火に飛来する普通種」などとあったが、私の職場は林でも無く、また夜間の農村でも無いが、本種を数回見ている。鮮やかな色をして、比較的大きいのですぐに目につく。壁に止まったまま、じっと動かないことが多いので写真も撮りやすい。
 八重山でのハベルの代表は本種であると『沖縄昆虫野外観察図鑑』にあった。沖縄の方言でいうハベルは、チョウとガを含めているので、チョウといえば、あるいはガといえば本種ということになる。それほどよく知られているらしい。
 前翅長31ミリ内外。成虫の出現時期は4月~12月。幼虫の食草はガジュマルなど。
 
 成虫
 
 横から   
 
 裏から

 記:ガジ丸 2009.5.5  →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行