飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ロシアで公共施設での“禁煙法”が施行されたが・・・

2013年06月01日 11時01分22秒 | Weblog

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 「喫煙天国」と言われるロシアで、1日から公共の場での喫煙を制限する法律が施行されたが、実際に違反者に罰金が課せられるのは何カ月か先になりそうだ。罰金徴収システムが決まっていないためで、文字通り“泥棒を捕まえてから縄をなう”という、ロシアらしい、ズサンなスタートとなった。

  31日付けのコメルサント紙(電子版)によると、内務省のヤクーニン・モスクワ支部長は取材に対し、まだ違反者への課金システムが決まっておらず、当面は警察官が口頭で注意するだけになるという。法律の実施規則が決まるのは2、3週間後で、実際の取り締まりはさらにそのあとになる見通しだ。

  喫煙制限法は今年2月、下院で採択された。たばこの害から市民の健康を守るための法律で、喫煙制限は2段階で実施される。まず今年6月から国家施設、病院、学校など公共施設での喫煙が禁止され、来年6月からはホテル、レストラン、旅客列車、客船などでも喫煙できなくなる。また、たばこの宣伝が全面禁止され、売店での販売もできなくなる。

  法律採択直後の世論調査では、4人に3人が公共の場所での禁煙を支持しているほか、79%がたばこの宣伝禁止を容認している。その一方、この法律が喫煙者の減少につながると考えている人は、全体の49%にとどまっていた。

  ロシアのたばこ消費量は中国、米国に次ぐ世界3位で、男性の約7割、女性の約3割が喫煙している。たばこを吸わないプーチン氏が大統領になってから禁煙の動きが強まったとされる。今回の制限法は厳しい内容で、最終的に自宅か道路でしか喫煙できなくなるといわれていて、喫煙擁護派は法律を修正するよう求めている。

  取り締まり当局の体制作りが遅れているのも、世論の反対が根強いからだろう。だが、法律が施行されても実効が上がらなければ、プーチン政権への批判が高まるのは避けられない。ゴルバチョフ時代の反飲酒政策と同様、「プーチン人気」をさらに落とすことにならないとも限らない。(この項終わり)


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