国際政治・外交 ブログランキングへ
ロシアで喫煙に続き飲酒を規制する動きが強まっているが、首都モスクワでは近く、売店で夜間、ビール類の販売が禁止されることになった。市当局が31日、市議会に酒類販売規制案を提出したもので、他地域よりもひと足早く首都で「夜間禁酒法」が施行される見通しだ。
モスクワではすでに、ウオツカとワインは午後11時から午前8時までの夜間、売店での販売が禁止されている。ビール類は現在、1日中どこでも購入できるが、今後夜間はすべての売店、自販機での販売が禁止されることになる。
モスクワ市の2025年までの発展戦略によると、酒類の販売箇所数を現在の約10分の1に削減する計画。このため今後2年間に酒類販売業者を毎年20%ずつ削減する方針。さらに、禁止場所での罰金を現在の100-300ルーブルから1000ルーブルに増額することにしている。
ロシア全体では、すでに今年1月1日からアルコール度16.5%以上の酒類は夜間の小売店での販売が禁止されている。ビールもアルコール類と同様とみなされているが、販売禁止は来年、全国一斉に行われることになっている。なお、教育・スポーツ・文化施設での酒類販売はビールも含めてすでに禁止されている。
プーチン大統領が2000年に登場してから、ロシアではタバコへの規制が強化された。政府はさらに禁煙場所を増やすほか、販売への規制を強め、価格も値上げして喫煙者を大幅に減らす方針だが、これに加えて酒類の販売規制も大幅に強化されることになる。規制の推進論者であるプーチン氏が大統領に返り咲いたため、こうした動きに拍車を掛けていることは間違いない。
このことは5月10日のブログでも触れたが、ゴルバチョフ共産党書記長が就任後まもなく音頭をとって始めた「禁酒法」が悪評を買い、国民の人気が急降下した事実を忘れてはいけない。健康面だけでなく、環境面からもロシア政府が酒、タバコの規制にやっきになるのはわかるが、やりすぎると庶民から大きなしっぺ返しを受けることは肝に銘じておいたほうがいい。(この項おわり)