飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

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プーチン大統領の対ウクライナ政策に厳しい批判相次ぐ!

2014年09月15日 15時14分06秒 | Weblog
 
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  プーチン・ロシア大統領はウクライナ紛争で停戦に応じたものの、東部では依然戦闘が続き、欧米側は追加の対露経済制裁に踏み切った。こうしたプーチン大統領に対し、国内の反プーチン派から厳しい批判が相次いでいる。プーチン大統領はこの紛争をどう決着させようとしているのだろうか。

   プーチン大統領に批判的な英字紙モスコー・タイムズ(電子版)は、このところ大統領を批判する寄稿文を連日のように掲載している。その中からまず、リベラル派の論客として知られる元下院議員、ウラジーミル・ルシコフ氏の意見をご紹介したい。

   同氏の寄稿文は「ウクライナ紛争はロシアに災難を招く」とのタイトルを付けて掲載された。それによると、プーチン政権はウクライナ東部のドネツクとルハンスク「人民共和国」を支持し、兵器や施設ばかりでなく、正規軍まで派遣している。その結果、双方に数千人の犠牲者を出す戦争に発展したと批判。「これは終わりの兆候がない戦争であり、西側はロシアを交戦国の一員とみなしている」と決めつけている。

   さらに、軍隊を使って外国の領土を占領し、参加者に勲章を贈る行為は国連総会の決議に基づく侵略の典型であるばかりでなく、ロシア憲法によっても侵略を決定した個人の責任問題が生じると断罪している。

   また、国際紛争に詳しいジャーナリストのイワン・スホフ氏は「プーチンのナショナリズムと拡張戦略は失敗が運命づけられている」とのタイトルの文章を寄稿している。その中で、ロシアが4百年にわたって1日当たり50平方キロの割合で領土を拡張してきたとの西側歴史家の試算を公表し、こうした歴史的記憶がロシア人のアイデンティティー構築を助け、クリミア半島を併合する際、プーチン大統領に利用されたと指摘している。

   だが現在、国内のロシア人の割合が減り続けていることから、国家を拡張・発展させるためにロシア人のナショナリズムを利用することが難しくなっている。そこでプーチン大統領はロシア人とその他の民族グループの利益のバランスをとろうとしているようだが、ウクライナ紛争勃発後はこうした手法も取れなくなっている。このため、プーチン大統領の戦略も失敗する運命にあると結論づけている。

   プーチン大統領が今回の紛争で何を狙い、どこで決着させるつもりなのかはまだはっきり見えてこない。だが、相次ぐ欧米の経済制裁でロシアの経済力は相当ダメージを受けている。ロシア国民の忍耐力も我慢の瀬戸際に近づいており、大統領が決断するまでに残された時間はそう長くはないだろう。(この項おわり)