飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ポロシェンコ・ウクライナ新大統領は「英雄」になれるか?

2014年05月27日 11時12分44秒 | Weblog
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   ウクライナ大統領選は25日の投開票の結果、「チョコレート王」の称号を持つ富豪、ポロシェンコ最高会議議員(48)が当選した。1回目の投票で54%の得票率を獲得、2位のティモシェンコ元首相(13%)らを大差で破った。だが、東部ドネツクの空港で親露派武装集団とウクライナ軍の戦闘が始まるなど、紛争収拾どころか、さらに悪化しかねない情勢となっている。和平派とされる新大統領の政治手腕が早くも問われている。

   ポロシェンコ氏の勝因について、ウクライナの社会学者で「民主的イニシアチブ」基金代表のイリーナ・ベケシキナさんは「今回の候補者は平和派と戦争派に分かれるが、ポロシェンコ氏は平和派の中でも最も明確で、強力な代表である。国民は“革命と戦争”に疲れ、平和な生活に戻りたいとの思いでポロシェンコ氏に投票した」と分析している。

   また、ロシアの保守的政治評論家、セルゲイ・マルコフ氏は「国民は武器によってではなく、投票によって指導者を決める道を選択した。ポロシェンコ氏は新興財閥として狡猾さと如才なさを示し、ロシアと戦わずに交渉し、妥協できると国民は期待している」とみる。

   ポロシェンコ氏は6月中旬に新大統領に就任する予定だが、その前の6月3、4日にワルシャワで開催される東欧初の自由選挙25周年の集いに出席、オバマ米大統領ら欧米諸国の首脳と初めて会談する。さらに、就任式後速やかにモスクワを訪問、プーチン露大統領と会談する計画だが、ロシアとの交渉は一筋縄ではいかないだろう。

   ポロシェンコ氏の当面の課題は、ウクライナ東部で続く親露派勢力との戦闘をどう収拾するかである。ロシア国内で圧倒的な支持を得ているプーチン氏でも、東部の親露派勢力を統制できないのが現実である。ポロシェンコ氏は政治家の経験は乏しいが、清廉な実業家のイメージと現実主義者の眼力で国政運営に当たれば、国家再生の道が開けるかも知れない。

   今回の紛争は、ウクライナを操ろうとする米国と、これを阻もうとするロシアとの代理戦争と言っても過言ではない。そろそろ双方ともホコを収めなければ、取り返しのつかない事態になりかねない。双方の指導者が事態収拾に真剣に取り組むよう求めたい。(この項おわり)
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