飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

日本政府は福島原発事故でロシアと協力して対策を急げ!!

2011年03月16日 09時18分42秒 | Weblog
 過去史上最大のチェルノブイリ原発事故を起こしたロシアでは、福島原発事故の動向を固唾をのんで見守っている。ロシアのメディアも連日事故について大きく報道、予想以上に関心の高さを示している。

 チェルノブイリ事故は1986年、出力調整テスト中に突然熱出力が急上昇して原子炉が2度爆発、建物などで火災が発生した。事故による直接の死者は消火活動中の消防隊員など31人で、原発から半径30キロ周辺は危険地域に指定され、住民13万人が避難した。爆発による放射性物質の放出を止めるため、ヘリ操縦士などが決死の覚悟で上空から砂や鉛などの材料を投下、最終的にコンクリートの「石棺」で密封した。 

 有力経済紙コメルサントは15日午後8時の電子版で、ロシア原子力研究の権威、クルチャトフ研究所のガガリンスキー顧問のインタビューを掲載。この中で顧問は「日本の原発事故はチェルノブイリ事故の百万分の一の規模で、破滅的ではない」と述べた。原発事故では“先輩”のロシア専門家の発言だけについ信じたくなる。

 一方、中立系の独立新聞は16日付けの電子版で福島原発事故について「専門家は福島第一原発のコントロールが出来なくなっている」との見出しで報道。「もし原子炉の冷却に失敗すれば、原子炉は『放射能に汚染された爆弾』となって爆発する恐れがある」と警告している。

 また、英字新聞モスコー・タイムズの16日付け電子版によると、ロシアがチェルノブイリ原発の洗浄専門家2人を日本へ派遣すると申し入れたが、日本側が航空機乗り入れを拒否したため、ハバロフスク空港で足止めを食っている。日本側が拒否した理由については報じていない。

 さらに、同紙はプーチン首相がロシア原発のチェックと原子力建設計画の見直しを命じたことを伝えている。当初、首相は「原発建設計画を変更する予定はない」と断言していただけに、日本の原発事故の予想以上の広がりに驚いて発言を変更したものとみられる。

 また、ロシアの専門家は日本の原発事故の影響について「最悪のシナリオでもロシアへの危険性はない」と否定しているが、ウラジオストクなどで放射線の数値が上がっており、極東地方では不安感が募っている。

 ロシアは今回の事故で本格的な地震救援隊を派遣、積極的に協力する姿勢を見せている。日本政府はこれを全面的に受け入れ、地震だけでなく原発事故についてもロシアの協力を得て対策をとるべきだ。「遠くの知人より近くの他人」というように、この際、日露は過去のしがらみにとらわれず、大いに協力し合う必要がある。
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