飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ロシアの対日感情が予想以上に悪化している!!

2011年03月02日 11時04分21秒 | Weblog
 毎日新聞の2日付け朝刊国際面に「ロシア、日本『非友好的』、初めて逆転ーー世論調査」の記事が掲載された。モスクワ特派員発の記事で、「北方領土をめぐり日露関係が冷え込む中、ロシア国民の対日感情が悪化している」と書いている。

 その記事によると、ロシアの世論調査機関「世論基金」が2月19-20日に実施した全国調査によると、43%が日本は「(対露関係で)友好的でない国」と答え、「友好的」とする33%を上回ったという。ロシアの対日世論はこれまで比較的良好で、01年調査では「友好的」が56%だったが、低下傾向にあり、今回初めて「友好的でない」が逆転したという。

 この理由について記事は「2月7日に菅直人首相がメドベージェフ大統領の国後島訪問について『許しがたい暴挙』と発言したことが影響したようだ」と分析している。この発言は同日行われた北方領土返還要求全国大会での首相あいさつで出てきたもので、通信社電で直ちにロシア側に打ち返され、ラブロフ外相がその日の会見で反発、モスクワの日本大使館前で日本国旗が焼かれる事件まで起きた。

 大統領の昨年11月の北方領土初訪問は、日本国内で大きな反響を呼び、2月7日の「北方領土の日」を巡る動きの中でさらに増幅されたが、これに輪をかける勢いでロシアの反日感情が高まっているようだ。とくにロシア外務省など国家機関に「日本の脅しに負けるな」などという激励の電話が殺到しているという。

 日本側からすれば、ロシアの大統領が元首として初めて北方領土を訪問してナショナリズムに火をつけたうえ、ロシア軍や省庁を動員して北方領土への実効支配を強化しているわけで、これを「日本がけしからん」と言っているのはおかしい。だが、このように双方で悪感情が高まるのは両国の関係にとって好ましいことではない。

 領土問題は双方の愛国主義やナショナリズムに直結し、感情的になりやすい。とりわけロシアでは、ソ連崩壊後の経済低迷状況から抜け出し、ナショナリズムが高まっているところだ。それに油を注ぐようにロシア指導部が次々に北方領土対策を打ち出しているのはまずいのではないか。まず、ロシア政府側にこの問題での慎重な姿勢を求めたい。

 では、手詰まりが続く北方領土問題は今後どうしたらいいのだろうか。2月11日の前原・ラブロフ外相会談では、日露双方が北方領土の共同開発について前向きに協議することで基本的に一致したという。中国などの第三国を加えず、両国で行う前提で議論を進めていけば道が開けると思う。両国の対話を閉ざさず、冷静に協議を続けることが当面必要なのではないか。