飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

2011年の日本外交:「対等な日米関係」の原点を追求せよ!

2011年01月07日 09時58分02秒 | Weblog
 日本外交の中心を占める日米関係をどう立て直すかが今年の大きな課題のひとつだが、菅政権の言動を見ていると「対等な日米関係」を追求する原点を放棄してしまっているとしか思えない。もう一度原点に帰って、日米同盟の深化と対等な日米関係を並行して進めるべきだ。

 民主党はマニフェストで「緊密で対等な日米関係を築く」を打ち出し、「主体的な外交戦略を構築した上で、米国と役割を分担しながら日本の責任を積極的に果たす」ことを目標に掲げていたはずだ。ところが、米軍普天間飛行場移設問題でつまづくと、菅政権は日米重視路線に軸足を移し、マニフェストはなかったかのような言動に終始している。

 日米同盟が日本外交の基軸であることは間違いないが、戦略を立てることから国防予算まですべて米国の言いなりになっているようでは日本外交は成り立たない。安保問題で米国にきちんと意見を言えなければ、中国やロシアに対抗できるわけがない。この間の民主党政権の対応は、完全に中露に見透かされているといえよう。

 普天間問題をめぐる日本政府の迷走が米側の対日不信を招いたことは否定しようはないが、日本政府だけの責任とみるのは酷だろう。米側がかたくなに日米合意の順守を押し付けていることも事態を悪化させている理由のひとつである。日本側は粘り強く普天間飛行場の海外移設を米側に求めていくべきではないか。

 さらに、日本側は朝鮮半島情勢の変化に備えて必要以上に米軍の支援を求める傾向にある。そのため米側に意見を言えない雰囲気になっているように感じられるが、米軍は自己の任務として警戒をしているのであり、日本側が萎縮する理由はない。「米軍に守ってもらっている」というような冷戦時代の発想を早く断ち切るべきだろう。

 菅政権は、在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)削減問題を先送りし、現状維持の水準を向こう5年間変えない方針を打ち出したが、日本は米軍駐留費用の70%以上も負担していて、ドイツの約30%負担に比べても圧倒的に多い。この問題をきちんと見直さなければ、不平等関係は永久に続いてしまうことになる。

 米側がアジア太平洋の安全保障を日本側に押し付けてくるのは目に見えている。その半面、日本側の防衛態勢を米国に依存しなければ出来ないようなシステムにしている。これは明らかに対米従属の関係に他ならない。日米関係が真に対等な関係にならなければ、いつまでも日本は米国の役割の一部を補完する役を押し付けられることになる。

 菅首相は今春にも訪米し、安全保障を巡る日米共同声明を出す方針だ。その前に両国の外務、防衛担当閣僚らによる日米安全保障協議委員会(2プラス2)が行われる予定だが、こういう席で日米同盟を深化する方法論をきちんと議論してほしい。日本側の考えをしっかり伝えて、ボトムアップで新しい日米関係を築いてほしいものだ。

 そのためにも民主党自体がマニフェストの原点に帰って、日米関係の立て直しを図る決意を新たにすることからはじめなければならない。日米関係の立て直しは、生活立て直しとともに有権者が民主党に期待した基本政策だ。それを放棄するようでは有権者が民主党を見限っても仕方ないと腹をすえるべきだ。