飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ロシア側、菅首相の“門外漢ぶり”に早くも失望感!

2010年06月09日 23時17分38秒 | Weblog
 民主党政権は鳩山内閣から菅内閣に引き継がれた。だが、日露間の懸案である北方領土問題は引き継がれたとはいえないうえ、菅首相はこれまで外交・安保問題に携わったことのない“門外漢”とあって、早くもロシア側から失望感が流れている。

 ロシアのマスメディアは今回の菅内閣の誕生をほとんど報じていない。大々的に伝えられた親露派の鳩山前首相との違いは明らかだ。8日の新内閣組閣を伝えたロシアの有力紙ロシースカヤ・ガゼータも、首相会見での北方領土問題に関するやり取りの報道にとどまっている。

 同紙によると、菅首相は記者会見で北方領土問題への今後の対応を聞かれ、「正直に言えば鳩山前首相がメドベージェフ大統領に何を約束したのか、またどういう文脈の中で(年内に3度会談するという)約束ができたのか詳しく知らない。(ロシアとの平和条約の)問題は非常に重要であり、長い歴史もある重要な課題だ。鳩山前首相とメドベージェフ大統領との合意事項を含むすべての事柄を検討した上で、この問題への対応を決めたい」と答えた。

 この記事の最後に、「日本の新首相はこれまで外交と安保の問題に携わってこなかった上、ロシアに関係する問題について何も発言していない」とのタス通信のコメントを引用している。この記事からは、日露関係に対する新首相への期待感がまるで感じられない。

 菅内閣が北方領土問題に対し、どういう立場を取るかについて在日ロシア人ジャーナリストは「小泉政権に近い立場、つまり問題棚上げか先送りにするのではないかと思う。今この問題を取り上げても得点するのは難しいと考えているからだろう」と話している。小泉政権当時、領土交渉は凍結状態で、両国の外相が会談しても領土問題について協議もしなかったという状態に戻るとみているのだ。

 確かに北方領土交渉は長い間袋小路に入っており、両国政府が歩み寄らない限り、進展する状況ではない。菅内閣は参院選を目前に控え、政治と金の問題や日米同盟にからむ普天間問題で手一杯という状態に違いない。だが、年内に3度首脳会談を行うという前首相当時の約束を反故にするようでは、日露関係の今後の発展は望めない。近隣の大国であるロシアの指導者と領土問題だけでなく、今後の両国関係について丁々発止のやり取りをして、菅首相が会見で強調した「奇兵隊内閣」の意気込みを外交面でも見せてほしい。

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