飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ロシア紙、鳩山首相の早期辞任で領土問題先送りを懸念!

2010年06月03日 09時58分52秒 | Weblog
 ロシア紙は3日朝刊で鳩山由紀夫首相の辞任を大きく伝え、首相が約束していた北方領土問題の早期解決ができなかったことをそろって強調していた。ロシア側は親露派の鳩山首相に期待していただけに、解決が先送りされたことを残念がる気持ちがにじみ出ていた。

 ロシアの有力紙コメルサントはタス通信東京支局長のワシーリー・ゴロブニン氏の特別寄稿文を掲載した。その中でゴロブニン氏は、鳩山内閣の支持率が参院選を控え急激に下がったためで、その第一の理由は米軍普天間基地移設の公約を守れなかったことだと指摘した。その上で、鳩山首相の辞任により、もう一つの公約であるロシアとの平和条約交渉早期解決を責任を持って実行する人がいなくなったことを強調した。

 さらにゴロブニン氏は次期首相には菅直人副総理兼財務相が選出される見通しだが、今の状況では日露間の平和条約交渉は再び停滞を余儀なくされるだろうとの悲観的な見方を示した。そして、鳩山首相が昨年9月の就任時に「半年か1年後」に北方領土問題を解決させると熱っぽく語ったことを引用し「しかし、領土問題は米軍基地問題ほど前進しなかった」と残念そうに述べている。

 また、中立系の独立新聞はコンスタンチン・サルキーソフ山梨学院大学教授の寄稿文を掲載。「もし鳩山首相が辞任しなければ、首相自身が考えていたように、ロシアとの領土問題解決に向け前進できたかもしれない」と書いている。

 どちらも鳩山首相に好意的な論調だが、今後の領土問題交渉については不透明感や否定的な見通しがにじみ出ている。これは、日ソ間の戦争状態に終止符を打った日ソ共同宣言(1956年)の日本側責任者だった鳩山一郎氏の孫である由紀夫氏への期待感の裏返しとも言えよう。

 民主党は4日に新代表を選出し、同日中に組閣を終える予定だが、新代表はすみやかに鳩山氏の北方領土問題に関する公約を継承すると宣言すべきだ。せっかく盛り上がっているロシア側の期待感に応えなければ、この問題は再びお蔵入りされてしまう。すでにメドベージェフ大統領との間で年内に3回首脳同士の交渉を行うことで合意しており、できるだけ早く本格交渉に入るべきだ。
 
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