飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

モスクワ市の“汚職市長”をそのままにしておいていいのか!

2009年11月26日 14時43分42秒 | Weblog
 17年間にわたってモスクワ市長の座に居座っているルシコフ氏と、エリツィン初代ロシア大統領時代に第一副首相を務めた改革派のネムツォフ氏が全面対決!!そんな大見出しが新聞紙上をにぎわす民事訴訟が25日、モスクワ地区裁判所で始まった。

 二人の対決となったのは、ネムツォフ氏がルシコフ市長とその妻で実業家のエレーナ・バトゥーリナさんの“汚職”を調べ上げ、その調査報告書「ルシコフ・総括」を刊行したのがきっかけ。同氏はこの報告書を元に記者会見を開き、市長の辞任を要求している。

 対するルシコフ市長も黙ってはいない。「汚職云々は事実無根」としてネムツォフ氏を名誉毀損などで民事訴訟を起こした。市長側は調査報告書の中で事実と違う部分が6箇所あると反論している。その箇所は「モスクワでの汚職は市民生活のすべての分野に及んでいて、市職員の腐敗のモデルはルシコフ氏とその妻である」と書いてある部分など計6箇所で、ネムツォフ氏に対して250万ルーブル(約750万円)の賠償を要求している。

 この日の法廷には、ルシコフ市長は姿を現さず、主に双方の代理人同士で質疑などをやり取りした。その後、ネムツォフ氏が発言し「どの裁判所も、ルシコフ市長が泥棒であり、買収された政治家であるとの私の確信を覆すことはできない」と述べた。

 私はネムツォフ氏が刊行した調査報告書を9月にモスクワを訪れた際、入手した。27ページの小冊子だが、17年間の市長在職中に増加した財産や妻エレーナさんの蓄財ぶりを様々な資料を集めて告発している。とくに2人が結婚した91年にエレーナさんが立ち上げた日用品販売会社「インテコ」がその後、事業を拡大し莫大な利益を上げ、エレーナさんが億万長者の常連となる経過を詳しく書いている。結論として市長の早期辞任と妻の事業活動とそれに絡む市長の役割を究明するよう求めている。

 モスクワ市長の汚職問題は、すでに国民周知の事実になりつつある。汚職防止を最大のスローガンにしているメドベージェフ大統領が、首都のトップの腐敗を放置しておいてはだれも信用しない。共和国やモスクワ市長の解任権を持つ大統領が決断すべき時である。

 


 
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