飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

北方領土交渉は今後2島プラスアルファが基軸に!

2009年11月16日 09時48分41秒 | Weblog
 鳩山由紀夫首相とメドベージェフ大統領との日露首脳会談が15日、シンガポールで行われた。北方領土問題で鳩山首相は「日本側は2島返還では国民の理解も得られない」と発言、ロシア側の2島返還での決着論を明確に否定する一方、日本側も四島返還に固執しない姿勢を示した。

 北方領土交渉は、日本側の四島返還要求に対し、ロシア側が2島返還での決着を示唆して対立する構図が基本的に続いている。だが、日本側はこのところ四島一括返還を主張したかと思えば、3・5島でもいいという発言をするなど基軸がぶれている印象を与えていた。今回の鳩山首相の発言は2島返還プラスアルファでの解決案を示唆したもので、今後はロシア側の言う「独創的なアプローチ」の具体案を詰め、アルファ部分をはっきりさせる交渉になっていくとみられる。

 交渉の基本線をめぐっては、日本外務省にも様々な考え方があり、過去のポツダム宣言やヤルタ協定などから「四島返還要求には国際法上、無理がある」との見解を持っている外交官も少なくない。それでも外務省ロシアスクールを中心に「四島返還要求を維持し、気長に国際情勢の変化を待つ」戦略を取り続けてきた経緯がある。

 だが、中露が面積等分原則によって中国東北部の領土問題を解決してから外務省内で北方四島の面積を2等分する解決案が検討されてきた。四島を2等分すると択捉島の真ん中に境界線が引かれることから「3・5島」解決案が浮上した。双方が妥協するウイン・ウイン方式で、ロシア側も乗れる可能性が高いからだ。この考え方は、谷内正太郎元外務次官が毎日新聞のインタビューで示唆したが、報道されると政府は否定した。

 今回の会談ではメドベージェフ大統領も「ロシア国内に厳しい見方や世論がある」と釈明しつつ、鳩山政権の任期中に交渉を進展させたいとの意欲を示した。双方ともようやく安定政権が誕生し、戦後残された重要問題解決の基盤が整いつつある。今こそ双方の首脳が真剣に交渉し、懸案を解決する好機である。この千載一遇のチャンスを逃してはならない。