飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ポリトコフスカヤ記者の同志だった人権擁護活動家が殺害!

2009年07月16日 17時15分32秒 | Weblog
 06年に殺害されたモスクワの女性記者、アンナ・ポリトコフスカヤさんとともにチェチェン共和国の不正と闘ってきた人権擁護活動家、ナターリア・エステミーロワさんが15日、死体で発見された。

 ナターリアさんは1959年、ボルガ河沿岸のサラトフで生まれた。大学で歴史学を学び、学校で歴史を教えた後、人権擁護センター「メモリアル」(覚書)の職員になった。15日朝、チェチェンの首都グローズヌイの自宅から事務所に行く途中誘拐され、隣のイングーシ共和国で午後、死体で見つかった。この日朝、モスクワから来るジャーナリストと面会する約束だったが、約束の時間が来ても事務所に現れなかったため同僚が探していた。頭部と胸部に凶弾を受けていた。

 同僚の一人は「彼女は何者も恐れず、人々のために働いてきた。人権擁護活動のために殺されたのは明らかです」と語っている。また、同じ人権擁護運動をしている「ヒューマン・ウオッチ」の職員によると、ナターリアさんは最近、チェチェンで起きた軍人らによる拉致やリンチ殺害事件を調査しており、しばしばチェチェン当局の神経を逆なでするような「危険な調査」だったという。

 チェチェンの人権擁護担当者によると、ナターリアさんとポリトコフスカヤ記者、それに今年1月殺害されたマルケロフ弁護士の3人は同じ目的を持った同志で、なかでもチェチェン紛争当時、ロシア軍大佐らによって誘拐・殺害されたチェチェン人少女の事件を積極的に調べていたという。

 ロシアで頻発している不条理な殺人やジャーナリスト殺害は、民族紛争が続いているチェチェン共和国のカディロフ政権に絡んだものが多い。今回の事件でメドベージェフ大統領も「人権擁護活動に関係する犯罪だ」との異例のコメントを出し、真相究明を指示した。チェチェンの「闇の世界」を徹底的に解明しなければ、ロシアの民主化はいつまでたっても進展しない。
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