飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

麻生首相は北方領土問題で本音を話せ!

2009年04月18日 09時37分07秒 | Weblog
 前外務次官で現在政府代表を務める谷内正太郎さんが毎日新聞に語った北方領土問題についての発言が話題を呼んでいる。四島返還を建前にしている政府の方針に対し、個人的な意見といいながら「3・5島(返還)でもいいのではないか」と発言したためだが、麻生首相は以前から「面積等分解決案」を述べており、谷内発言は首相の意向を受けたものともいえる。ところが、この発言が問題になると、政府はまたしても「個人的見解で政府方針に変わりはない」(河村官房長官)という逃げを打って火消しに努めている。この際首相は本音を国民の前に明らかにすべきではないか。

 そもそも「面積等分解決案」は首相が外相のときに国会答弁で述べたもので、いわば首相の持論とも言うべきものだ。もっともこの知恵を授けたのは外務省の官僚だろうから、外務省自身もこの解決案を選択肢として持っていることは間違いない。この案は、ロシア側の2島返還論と日本側の4島返還論の妥協策としては一番わかりやすい考え方で、ロシア側も十分検討していると思われる。

 なぜこの案がいいかというと、4島といっても島によって大きさが違い、ロシアが返してもいいと言っている歯舞、色丹島は面積では全体の7%に過ぎない。これでは日本側としても到底納得できない。ところが、4島全体の面積を二等分すると択捉島の真ん中に線を引くことになり、日本側としては3・5島返還となる。ロシアも中国との国境紛争では面積等分の形で解決した経緯があり、むげには否定できない。日本側が交渉でこの線を押していけば解決の糸口が開ける可能性は十分ある。しかも、最終場面で日本側が3島で手を打つこともできる。いわば交渉の”のりしろ”があるというわけだ。

 戦後60数年たっても日露平和条約が締結できないのは異常であり、両国の関係発展を大きく阻害している。今こそ領土問題で双方とも良識ある解決方法を真剣に探るべきだ。日本側が4島返還を主張するのは当然だが、4島に固執していてはいつまでも解決できない。4島を返還させたいなら、千島列島全体の返還要求をするくらいでないと4島は返ってこない。


 領土問題を本当に解決したいなら首相が国民にきちんと解決案を説明して理解を得るべきだ。いつまでも逃げていては、解決が先送りされるだけだ。5月のプーチン首相来日は解決の道筋をつける絶好の機会だ。この機を逃すべきではない。

 
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