ロシアの西シベリアで重いがんを患っていた女性(54)が日露の医療協力で来日し、愛知県と東京の医療機関で高度の治療を受け、先月下旬、ロシアに帰国したことが分かった。米国の専門病院が治療を断ったほどの重いガンだったが、日本の医師・看護師の献身的な治療が功を奏し、延命に成功した。
この女性は西シベリア・クラスノヤルスク市に住んでいて、胃がんを患っていたが、がんが悪化して地元の病院で今春「あと2週間の余命しかない」と診断された。このため家族が手を尽くして治療を行ってくれる医療機関を探した。ロシア国内には見つからなかったので、ロシア外務省を通じ、各国に高度の延命治療を要請した。米国の医療機関などは「手の打ち様がない」として断ったが、日本外務省を通して愛知県のがんセンターが受け入れを表明した。患者はジェット機で愛知県に到着、入院した。
その後、東京の慈恵医大付属病院に移り、特別室で高度医療を受けた。医師、看護師が全面協力して治療した結果、容態は持ち直し、先月下旬、ロシアに帰国することができた。患者や家族は「日本の高度医療のおかげで命が延びた」と感謝していたという。
今回の日露医療協力が成功した裏には、「六本木の赤ひげ」と呼ばれる白系ロシア人のアクショーノフ医師の尽力があった。患者の日本受け入れに立会い、患者と日本人医師との間に立って環境づくりに努めた。最後は自分の母校である慈恵医大の協力を得て目的を果たした。
アクショーノフ医師は「日露の協力がうまくいったケースだ。こうした協力が進めば日露間の友好関係がますます強まるでしょう」と話している。ロシアは近くて遠い国といわれるが、こうした協力の積み重ねが両国を近づけていくことは間違いない。麻生首相も「医者には社会的常識がない人が多い」などと、見当違いの発言ばかりしていないで、もっと現実をみて日本の首相として恥ずかしくない行動をしてほしいものだ。