toboketaG の春夏秋冬 

雑文、雑感、懐古話そして少しだけ自己主張。
土曜日をベースに週1~2回の更新が続けられればと思っています。

197-261206よせばいいのにといわれながら・・・

2014年12月06日 | 旅行

 退社時にはすっかりと闇に包まれている。

 

冬が迫るこの時期あんこう鍋を食べたくなる。 茨城まで出れば本場のうまいのにありつけ

る。 高速道を使えば3時間で目的地に着いてしまう。 

これは表の理由で、本当の狙いは、数日前に原発事故で遮断されていた国道6号線が全

線開通したとのニュースに接したこと。

あの前代未聞の原発事故から3年半が経過して、廃炉への懸命な努力が続けられている

が、大きな事件が起こるとその影に隠れてしまうことも間々ある。 開通のニュースを聞き事

故現場の周囲で何がどのようになっているか自分の目で確認したいと思った。

北関東道を経由して常磐道に入れば3時間あれば北茨城まで到着する。 五浦岬海岸の

景勝地を散策。 案内人によればこの海岸にも津波は7mの高さで押し寄せ六角堂は消失

してしまったとか。 写っているのは再建されたもの。 そして近くにある岡倉天心の墓。

   

公園の案内人に今宵の宿を紹介してもらう。 あんこう鍋は期待したほどではなかったが、新

鮮な海の幸は味えた。

 

固い枕に良く眠れずに朝を迎える。 原発事故現場に向かう。 何ミリシーベルトを越えると

人体に有害なのかは知らない。 国道が開通したのだから問題ないのだろうと勝手に判断

する。 仮に問題ありとしても、残された人生の長さを考えればまあいいか・・・といった受け

止め方。 物流の大動脈なので国道を走る車は意外に多い。 いよいよ核心部に近付く。

    

 

国道に沿って並ぶ店、家、コンビニ、自動車販売店みんな閉鎖しており、駐車場の枯れ草が目立つ。

大きな揺れで破損したまま放置された民家。 事故当時論議を呼んだ、家畜を放つか、畜舎に閉じ

込めるか? 前者の牛は無人の野を自由に動き回り、後者の豚は餓死したと聞く。いまはどこにも

家畜の姿はない。 飼い主を失い野生化した犬や猫の姿もない。

    

 

美しかったであろう水田は、ススキに完全に覆われてどこまでも枯れ草の風景が続く。 国道から街

に通じる道路はバリケードで封鎖されている。 その奥は家並みあれども人の住む気配はない。 交

通量の多い国道の車の流れが切れるとほかに音がしない。 静寂がぶきみ。 高圧線の鉄塔の向こ

うに第一原発の煙突の一部が見られる。 ここは炉心から10kmほどは離れているのか。

      

  

常磐線の線路は上下線共に雑草に覆われてしまっている。向こうの駅舎は常磐線「夜の森」駅。

鉄路は赤く錆び付いてしまった。 もうレールは使えないのではないか。 撮影した陸橋を通って

向こうに伸びる家並みにも人の気配はない。  

  

 

突然に降りかかった災害。 地震の揺れや津波による物的な被害はここ数年で回復するだろうが

放射能事故による被害の回復には3,40年かかると言われる。 晩秋の穏やかな日差しの下でこ

れから長い間、この地域は眠り続けるのかと思うとやりきれない思いがする。

 

 

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