余地峠にて 5月
新緑の頃と落葉の季節の藪山歩き、回数は減ったが今年もできた。印象
に残った藪山は群馬長野の県境に位置する余地峠。轍はあるが当てにで
きず確実には徒歩でしか越えられない峠だった。武田軍が関東に攻め入
る際に通過した峠とある。狼煙台のあったと言われている小山に登り両
県を跨ぐ。あちこちの山中で趣ある樹々を見たので紹介します。
大地を掴む 11月 榛名山中にて
ブログを始めて1年ほど経った頃の記憶。毎日更新なぞ端からできっこ
ない週一回が精一杯、500回なんて気の遠くなる回数だと思っていた。
継続は力なりとはよく言ったものだ。今さら力が欲しいわけではないが、
東京オリンピックの頃にはその回数を超えるだろう。
それを励みにしながら来年も駄文を書き続けるつもり。引き続きご高覧
いただければ大変嬉しく思います。
再生 同じく11月
峠に生きる 12月 峠の名に惹かれる。真田の騎馬隊に縁がありそうだ
千年を生き抜く 10月 榛名神社の御神木
最近の一ヵ月はその気にならなかったが、今年も時間があれば本を読ん
でいた。相変わらずの乱読だが、30冊ほどは読んだことになる。その
中でのベスト3はこんな感じ。
垣根涼介 信長の原理
角幡唯介 極夜行
松岡圭祐 八月十五日に吹く風
どれも新聞や週刊誌の書評欄で高い評価を受けていた本。
「信長・・」は歴史考証で判明している事実を語りながら、その周囲を
作家の想像力で彩った内容の濃い、現代ビジネスにも通じる内容。山岡
荘八はもちろん司馬遼太郎作品をも超えていると思った。
「極夜・・」現代は地表のどこにいても現在地を知ることができる。
未知の地域もほぼ無くなったので地理的な冒険の時代は終わった。そこ
で著者は24時間闇が支配する世界(冬至前後のカナダ北部の北極圏)
を1ヵ月以上彷徨う。星と月と己の感覚だけで現在地を確かめながら出
発地に帰還する。犬とともに歩くことで現代の冒険を実践して見せた。
著者の作品は殆ど読んだがいずれも期待通り。40歳前半の作家として
は並みはずれた才能。
「八月・・」太平洋戦争中、日本軍はアリューシャン列島の米領アッツ
島や隣のキスカ島を占領したが補給が続かず維持が困難だった。米軍の
攻勢でアッツ島占領軍は玉砕した。一方アッツ玉砕の1月後キスカ占領
軍は濃霧に紛れ、米軍の包囲網をくぐって全員の帰還に成功した。
この顛末を詳細に描いた内容。源氏物語を英訳して有名なドナルド・キ
ーン氏が米海軍の日本人捕虜の通訳として登場する。陸海軍の良識がこ
の作戦を成功に導いた。 終戦2年前のことなのに「八月十五日に吹く風」
という題名の意味が不明。
この3冊に順位はない。
一方志賀直哉著「赤西蠣太」は印象に残る内容だった。それなのに氏の
手になる「暗夜行路」を読もうという気にはならない。刺激の強い現代
小説を読んでいると、往年の名作といえども話の展開が穏やかで起伏が
ないので飽きてしまうのが原因か?
漱石著「こころ」などは読み終わって、さすがと納得する小説なのだが。
今年もご高覧ありがとうございました。 良いお年をお迎えください。