遠くに谷川岳を望むこんにゃく玉植え付け前の耕地
もう年が年なので名だたる山へ登ることはできない。百名山なん
て夢のまた夢(それでも10山位は登ったか)。「山高きがゆえ
に尊うとからず」だよね、と一人納得して手の届く範囲の低山を
徘徊している。連れ合いは一人で出かけ何かあったらどうするの?
と心配する。しかし藪山に登ろうなぞというもの好きは周りには
いなくなってしまった。私も先日長寿会員のなったからな・・
標高の低い藪山とはいえ、私なりの計画書は家と入山口に駐車し
た車のフロントガラスに置いておく。何かあってもどこを登った
のかわからなければ捜索のしようがない。そして基本的に携帯電
話の通話ができる範囲としている。高いのか安いのかドコモしか
使ったことがないのでわからないが、電波の届く範囲は一番広い
といわれていた。スマホの時代になって更に範囲が拡がったよう
に感じる。更に笛や目立つ赤い布切れ、35mの8㎜のザイル等
もリュックに入れる。岩場ではない。私が這いずり回る所は急斜
面でも樹木がたくさん生えていてザイルをかける場所には苦労し
ない。これだけで15mの降下は安全かつ楽になる。好き好んで
そんな場所を歩く訳ではないが、持っている安心感が安全に繋が
ると思っている。
さて今日の本題。
歩いた軌跡が表示される機能をスマホに持たせることができるら
しいことは前から知っていた。しかし数あるアプリのどれがそう
なのかわからずにいた。GPS機能で今どこにいるかはスマホで知
ることができる。しかし辿ってきた経路までは解らなかった。
今までは帰宅してから手書きで歩行軌跡を書き入れた。
先日ついにそのアプリを探し当てた。Geographica という。
インストール(基本的には無料)を完了したが使い方がよく解ら
ない。いじくりまわしているうちに何とかなってきた。まずは近
所のいつものお散歩コースで使ってみた。誤差が5~10m出る
点もあるがほぼ歩いたコースが忠実に表示された。いたく満足す
る。
次は本番の山の中でどうなるか? 大型連休のある日賑わう赤城
自然園を通り過ぎ更に奥に入った。比較的穏やかな地形を選び、
そこに記載されている破線を辿ることにした。地形図に表示され
た私の歩行軌跡は、結論から言えば実に満足できる精度だった。
小さな方のクリックで拡大します。
往路は破線に添って歩く。入山口付近は予想通りに藪の中を分け
入る道と言われれば道、言われなければ樹々のただの隙間。
30分も登るとこんな溝状の道に出た。何なんだ、このタイヤの
跡は? 信じられないがこんなところを走る車があるのだ。
溝の底を進んでいく。更に登るとまだ芽吹きには早い雑木林の中
を歩くようになる。溝は浅くなってきた。ここまで来る途中でタ
イヤが空転して泥がこねくりまわされた場所があった。
日本鹿の食害はこの辺りでもひどいようだ。
地図の破線と軌跡が少しずれるが問題があるほどではない。
1162.9mの三等三角点を発見し、復路は西に向かう尾根を辿る。
途中のポイントマークした辺りまで広い尾根をほぼ真西にのんび
り下る。登山道の上の方から3人の若者の乗るオフロードバイク
が降りてきた。狐につままれた感じ。さっきのタイヤ跡と言い、
この若者たちと言いここはいったい何なんだ。
マーカーをしたところから北東に下る尾根に続く踏み跡がある。
この方向は出発地点の方向ではない。慎重に確認して真西に向か
う。そしてまもなく往路に合する(950m地点)。さらに少し
下って地図上に記載はないが現地は明らかに道と思われるのを辿
って出発地点に戻る。
山菜取りの方に会って話を聞く。ここはオフロードバイクや4輪駆
動車が休日ともなれば走り回るコースなのだという。どうりで山道
としては立派すぎると思った。この日は平日だったので静かな山旅
が味わえた。赤城自然園まで戻ったとろこで艶やかな色彩の組み合
わせが変人を迎えてくれ、皆が良いというところはやはりいいな、
と思う常識人に戻った次第。
万一救助を要請する事態が起こっても、通話範囲内で予備電源を用
意していればばきっと連絡が付く。そして現在地の緯度と経度の数
値を連絡すれば救助隊はピンポイントで遭難場所を特定できる。
こんな素晴らしい機能を利用させてもらいながら歩けるうちは、安
全第一で藪の中の未知の道を探す小さな小さなアドベンチャーを楽
しみたい。このアプリは素晴らしい。しかし地形図から地形を読み
取る力が衰える可能性あり。現在位置は確実にわかるので、周囲を
見渡して地図上の表現と現地の状況を照らし合わせる訓練をしない
といけないなと思った。