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toboketaG の春夏秋冬 

雑文、雑感、懐古話そして少しだけ自己主張。
土曜日をベースに週1~2回の更新が続けられればと思っています。

372-300224普通には見られないところ(防衛省)を見学

2018年02月24日 | もろもろ

 

地元選出の代議士が防衛政務官の要職にある。この伝手で防衛省を見学する機会

があった。東京市ヶ谷の旧陸軍士官学校やその移転後は大本営や陸軍省あった場

所に防衛省が建つ。こんなことがなければ見学することもない所だ。

親切に案内してくれたのが、3人いるという政務官付き副官のひとり。大柄で体

つきは少しいかついが我々に見せる側面は普通のお役人。まだ初々しい。気にな

っていた階級を帰り際に聞いてみた。三佐、旧軍で言えば少佐だ。何年か先には

将軍になる人材。小説で知るその階級の印象と初々しさの残った顔とが妙にちぐ

はぐ。バスに乗る我々に向かって庁内で初めて見た直立不動に敬礼で見送ってく

れた。

廊下ですれ違う制服組や背広組の一朝事あれば国を守るために命をかける逸材

(?)が妙に幼く見える。偶々お昼時だったせいもあるが。こちらが年を重ね

た紛れもない証左なのだろう。

 

このお誘いがあったときすぐに応じたのは、勝者である連合軍側の一方的な裁

判だととかく批判がある極東軍事法廷が開かれた大講堂を見られることだった。

その建物は一旦取り壊し、元の場所から今のところにできるだけ忠実に再現し

たとの説明。現代史で何度も触れた裁判の歴史的な場所に立っていると思うと

厳粛な気持ちになる。

絞首刑に処せらた東条英機大将他6人のA級戦犯もこの薄暗い講堂の床油のし

み込んだ木の床を歩き、木製のイスに座った。そして今に至るまですっきりし

た解決策のない靖国神社の微妙な立場の発端になったのだ。

この建物は三島事件の現場も残されている。難解な文章を駆使する作家三島由

紀夫はあまり好きではないのでちょっと覗いただけでひとり大講堂に戻る。靖

国神社の遊就館ほどではないが日露戦争から太平洋戦争を経て戦後までの資料

が展示されている。旧軍賛美は遊就館に比べればずっと控えめ。

 

今週はオリンピックの話題で他のニュースは隅っこに追いやられた。日本人選手の

活躍に素直に拍手を送る。女子スキージャンプをメジャー種目にした高梨沙羅選手

の銅メダル獲得から始まった。特に印象的だったのはスピードスケート女子団体パ

シュートでの金メダル獲得。個人種目の多い冬季オリンピックの中で、4人のチー

ムワークの素晴らしさで勝ち取った金メダルはもっとも価値あるものと思う。滑走

する3人の手足の動きや頭や腰の位置が見事に揃い、先頭を交代しながら流れるよ

うにコーナーを回る。そのスマート感、スピード感に酔う。正面と向う正面で集団

が反対方向にラインを通過する。その瞬間どちらがリードしているか瞬間的に判る。

 

長年楽しんでいるロード自転車で走るとき似た感じを私も経験する。仲間と数名で

秋間梅林の峠から後閑へ下る滑らかな舗装路を1~2mの間隔を維持しながら

繋がって走る。カーブに差し掛かる。先頭と同じ姿勢、角度、そしてスピードで後

続が通過していく。最後尾から見ると電車がカーブを少し傾きながら遠心力に抗し

て走り抜けるあの感じ。その爽快感がたまらない。もっともそんな気分を味わえる

緩やかな下りカーブであって、急な下りまして登り坂ではそんなゆとりはないのが

現実。

 

 

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371-300217松本清張と浅田次郎

2018年02月17日 | 小説・映画・など

典型的凡人たる私が著名なお二人について論じるのは恐れ多いが、好みに関するこ

となのでしばらくお付き合いいただければ嬉しい限りです。

先週図書館の予約本の谷間に入ってしまい、手元に読む本が無くなってしまった。

Kindleで以前購入しそのままだったものに松本清張の推理小説「Dの複合」があっ

たので読み始める。

著者の推理小説は遥か昔読んだ「ゼロの焦点」、「点と線」や「砂の器」以来。

数字の35が関係する場所で事件が起きる。鉄路で行けば京都から135km離れ

た駅や東経135度や北緯35度線上の地点で事件が起きる。入り組んだ筋書きな

のでここで概略を書くこともできないが、2日で読み終わる予定だったが1週間か

かり、読み終わってある種の虚脱状態を味わってしまった。

時間が経つのも忘れて引き込まれる魅力が松本清張の作品と思っていたが、ストー

リーが複雑に絡み合い過ぎて作為過多を感じてしまう。これに輪をかけて実在の地

名が数多く登場する。これは私の性格なのだが、地図上で確認しないと気が済まな

い。最近はGoogle Mapのstreet viewなるものを簡単に見られるので、地名確認

のついでにどんな街なのかと深入りしてしまう。手持ちのパソコンやタブレット、

スマホ総動員での読書となる。そういう読み方も原因なのだろうが非常に疲れてし

まう。先に挙げた氏の初期の傑作はこれほどのややこしい筋書きではなかったと思

う。清張氏と言えどもネタが尽きてしまい無理やりに作り上げたのではないかとも

思った。

一時は推理小説にのめりこんだこともあった。一番印象に残っているのは? と問

われれば、即座に水上勉著「飢餓海峡」を挙げる。稚拙ブログにお目を通していた

だく諸兄諸姉は何を挙げられるだろうか? 現在のように情報が一瞬にして世界中

に広まる社会では靴底をすり減らしながら犯人を追い詰めていくような筋書きでは

もう傑作は出ないのではないか。 

 

そして予約本の順番が回ってきた。

浅田次郎著「神坐ます山の物語」。東京都青梅市の奥、御嶽山のある宿坊を舞台に

した短編小説が7編。まだ4編の途中までしか読み終わっていない。

最近は若いころ半年かかって読んだ本の数を1月で読んでしまう。多くの作家の小

説やノンフィクションに接した。それなりに目が肥えたかもしれない。

特に派手な部分や盛り上がりがあるわけでもないが、日本古来の民話をも取入れた

荘厳な神の世界が著者自身の生い立ちを縦軸にしながら展開する。評判になり映画

化もされた「鉄道員」は氏の傑作短編だが、今読みつつある短編もみなしっとりと

心に沁みる。

両氏のどちらが好きか? 問われれば文句なしに浅田次郎氏の作風が好きと答える

だろう。

 

今週も絶好の日和があったのでスキーに行く。ホームゲレンデだと勝手に思ってい

る湯ノ丸スキー場。前回の迷いを是正すべく、ただ一つ、スキー板と足の接点から

膝頭を結ぶ線の延長に頭を置く意識を心がけたらスキー板が安定して気持ち良い滑

走が終盤まで続き大満足。今シーズン4回目となる。春が近いがあと2回は滑ってシ

ーズンの納めとしよう。

スキー場への途中、いつもながら白く輝く北アルプス表銀座と言われる山々が印象

的だった。向かって右に鹿島槍ヶ岳、五竜岳が連なる。

長野県小諸市付近の高みからの眺め。

 

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370-300210この写真を見てため息が・・

2018年02月10日 | もろもろ

1週間前に新聞でこの写真に接し、思わずため息が漏れた。ご存知スキージャンプ

の女子のトップアスリート高梨沙羅選手。まだ中学生のころから可愛い女の子の印

象と普通の人間なら膝がふるえるようなジャンプ台から鳥のように飛び出していく

姿のあまりの隔たりに衝撃を受けたことを覚えている。その後もその可憐な容姿に

磨きがかかり、同時に世界のトップ選手に成長した。私はひそかな応援者を自認。

通常、ため息は届かぬ高みに接したときに出る。どちらかと言えばネガティブな単

語。すなわちこの写真に批判的なのだ。彼女の顔は五輪真弓系で可愛いのだがアイ

ドルの顔とはふた味も違う。そのままでも幼さの中に大人の雰囲気を感じる。話し

方もしっかりしている。数年経過すればいやでもこの写真の顔になるだろうに、メ

イクテクニックを駆使して、なぜ今こんなに変身する必要があるのだろうか?

  

女性にとってお化粧は優れて個人的な問題であり、外野がとやかく言うのはどうか

とも思うが沙羅ちゃんのファンなのでお許しあれ。平昌冬季オリンピックは昨夜始

まった。顔がどうあれ本番の舞台で本人も悔いのない納得のジャンプが出てくれる

ことを期待しましょう。

改めて撮影者の名前を見ると蜷川実花とある。亡くなった高名な演出家蜷川幸雄氏

のお嬢さんらしい。 プロの写真家だ。この場面だけでも数百枚撮影した中の一枚が

予想外に大人びて撮れた。プロの直感でこの一枚を選択したのだろう。そう思うこ

とにした。

 

 

移動性高気圧の勢力下に入り晴天が確実、金曜日はシニアサービスデーでリフト

代1000円、そして平昌オリンピック開幕と好条件がみんな揃ったのでスキーに出

かける。最初の数本は納得の滑りができたが、午後に入ったら何か感覚が違う。

気が緩んでしまったか。おまけにスキー板が交差してしまい今シーズン最初の転

倒。転倒は3シーズン振りだ。転び方が良かったのか痛めた箇所はなかった。午前

の滑りで十分なので午後は3本でお終い。時間があったので旧鹿沢、新鹿沢を経て

嬬恋村の雪に覆われたキャベツ畑の間を抜ける。鬼押し出しを通ったので浅間山を

撮影する。

東斜面は滑らかな山肌の氷化した雪が午後の太陽光線を反射してテカテカ。転んだ

ら1000mを一気に滑落してしまう。普段家から見える山容は穏やかものだが、

まじかで見る姿は迫力満点。右の小さな写真は少し手を加えてその感じを強調して

みたのでクリックしてみてください。

 

北斜面もかっては東面同様に滑らかな山肌だったと想像する。天明の大噴火の溶

岩流で様相が一変している。

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369-300203活火山に向き合う

2018年02月03日 | スポーツや趣味

年が改まって初めてのスキーをパルコ―ルスキー場で楽しむ。年末に湯ノ丸で今シ

ーズンも滑れる体力に問題ないことは確認済み。前日の榛名山麓の藪山徘徊の疲れ

が残っていたが、この好天を逃すとまた冬型が続く予報が出ていたので思い切って

出かけた。

藪くぐりの疲労はかなり残っていた。イメージ通りに滑れない。長年のキャリアで

ごまかしスキーで滑ることはできるが自分はごまかせない。スキー板と足を通して

の身体の重心位置関係が微妙にずれている。その分普段なら緊張しない筋肉に負担

がかかっているようだ。大腿四頭筋あたりに痛みを感じて一気に下まで滑走できな

い。前日の疲労か、いやこれが年相応ということか。10時に滑り始めて納得できな

いまま12時で終わりにした。前のシーズン最後に、あと5年は滑れる体力を維持す

ることを目標とした。その1年目は不満ながらも普通には滑れることが確認できた。

でも本来スキーが持つワクワク感があまり感じなくなっているのが気がかりだ。

 

いつもより足の疲労がきついので、スキー板を外して浅間山としばし対峙する。往

時のゲレンデの賑わいを知っている世代としては、いくら平日とはいえこのゲレン

デの状況では貸し切り状態で申し訳ない気持ち。リフトの鉄塔に設置されたスピー

カーから流れる喧しい若向きの音楽もここまでは届かない。レンズの視界に人影は

ない。山頂から湧き上がる小さな白い噴煙の形の変化を見つめる。先日噴火した本

白根山が反対側にくっきりと見えている。早くも終息したのか青空をバックに我関

せずと鎮座する。静かだ。鼻腔を拡げ冷えた空気胸いっぱいに吸い込む 。気のせい

か酸素が街中よりも余計に含まれているようだ。

 

某大学の学生グループとゴンドラで一緒になる。頂上に着くまで彼らのお喋りが勝

手に耳に入ってくる。3人の学生が若者の代表だとは思わないが、私たちがこの年

代で抱いていたスキーに対するワクワク感や幸福感が感じられない。上手になろう

という気持ちは殆どないようだ。偶々ゼミのスキー旅行があったから来たという感

じ。彼等にとっては面白いことは他にあるんだ。

 

昭和35年から40年頃までの青春の楽しみはスキーの他に何だったろうかと思いだ

してみる。訳もわからないのに安保反対のデモに加わってエネルギーを発散した、

歌声喫茶があった、横長の大きなキスリングを背負って今考えると随分いい加減な

服装装備で山に登った、タバコはどこでも心ゆくまで吸えた、運転免許取っても自

由に運転する車を持つ余裕はなかったが、「いつかはクラウン」のキャチコピーの

ように先に希望があった。楽しみは有り余るほどにはなくそれに飢えていた。

戦争に負けて国家存亡の危機レベルがスタートで、食べ物探しから始まった。日本

人の勤勉さや良質な労働力も合わせて考えれば当然なのだが、なによりも生活が年

ごとに向上していく実感をみんなと共有できた時代だった。その意味では面白い時

代に生まれ合わせたことと感謝している。

 

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