今シーズンはなかなかまとまった積雪がなく、いままで初滑りがのび
のびになってしまった。例年ならばこの時期までには少なくとも2回
は滑っている。先日の大雪でゲレンデ状態が改善されたので、ひいき
の嬬恋村のパルコールスキー場で初滑りを楽しんだ。
後期高齢者入りを1年後にした老体を考えれば満足すべき滑りだった
と納得でき、満たされた気分で帰途についた。
このスキー場が好きな理由は
① ゲレンデが長く(約4km)かつ急斜面が少ない。それでも標
高差は600mほどある。
② 眺望に優れており、踏むとキュキュ鳴る抜群の雪質。
③ 東に開けたゲレンデで追い風になることが多い。
④ 老体には苦手のコブ斜面がほとんどない。
⑤ 高速道路の必要がなく、道路の渋滞がない。
ゲレンデ下部の駅舎
こんなことで一人の時はここで滑ることにしている。
関東甲信越のスキー場では最長のゴンドラでスキー場最上部立つと、
そこは2000mを少し超える世界、前日までの吹雪でシラビソの天
然林が雪をまとう。標高が高く湿気の少ない粉雪なので、八甲田山や
蔵王のようなモンスターにはならないが非日常の世界。百名山の一つ
四阿山へはそこから2時間みれば山頂に立てる。
ゴンドラ頂上駅近くで(この写真は3年前のもの)。今シーズンはま
だここまで成長していなかった。
10年前には4kmのロングコースを一気に滑り下ることができたが、
さすがにもうそうはいかない。途中で2、3回休みを入れて降りる。
途中の景色が素晴らしい。眼下に嬬恋村の高原キャベツ畑が雪をまと
って拡がる。その先に湯の丸山から浅間山、浅間隠山、本白根山、草
津白根山が濃紺の空を背景に競り上がり、志賀高原の山々に連なる。
見通しが良ければさらにその奥に赤城山から日光白根山が望める。
富士山、奥秩父連山や八ヶ岳は浅間山から西に続く山塊がさえぎるの
で見えない、しかしもう充分。
嬬恋村のキャベツ畑と浅間山遠望。ゲレンデには人影が見えず。
浅間山をズームアップする
頂上駅から20分ほど深雪をかき分けて上信国境に登る体力のある壮
年のスキーヤーならば、さらに南北100kmにも連なる北アルプス
の白く輝く峰々の姿にしばし感嘆の言葉を吐くだろう。
国内航空路にあたるのか遥か上空を飛行機雲を引きながら旅客機が東
西に行き交う。
帰路百名山四阿山を望む
平日には数えるほどのスキーヤーやボーダーの若者しかいないゲレン
デ。この日は最初からスキー板にきちんと乗ることができた。乗れさ
さえすれば足への負担も軽微なものになる。大回りと小回りターンを
組み合わせ、スピードよりも滑りの姿勢を意識しながらゆったりと滑
る。外側スキー板から伝わる雪面の反発力を気持ちよく感じて次のタ
ーンに入る。雪面を刻んでいく板から雪煙が吹き上げていれば理論と
おりに滑れている証拠だが、自撮りができないので想像するしかない。
足が疲れたら無理せずに休み周囲の山々を視界に入れながら混じり気
のない冷気を深呼吸する。
今の健康状態が崩れなければあと5年は滑れるかなと思う。至福のひ
と時でした。