わたらせ渓谷鉄道について書いた前回のブログで列車の先頭から撮影し
た動画を掲載したかったのですが、方法がよく解らずに宿題としました。
山歩きから帰宅してじっくりと研究してようやくやり方が解かったので、
番外編として掲載します。コンパクトデジカメを動画モードにしての撮
影だったので画質が落ちているところと、明暗の変化にカメラの方がつ
いていけないところが頻出しますがご容赦を。大間々駅から次の上神梅
駅までの4分程度の動画です。
ローカル鉄道はどこも、経営はなかなか大変と聞く。今回乗車したわた
らせ渓谷鉄道はあちこちに工夫の跡がみられて好感が持てる。四季おり
おりの光景が楽しめそうだ。
さて、私の山歩きは佳境に入っている
3月から始まり入梅までの2カ月余の期間、もっぱら近郊の藪山歩きに
励んでいる。もっとも桜が散り始める辺りまでは花粉症で山歩きどころ
でない日が続くので、本格的には4月中旬以降となる。この時期、何よ
りも芽吹き、新緑、深緑変わってゆく樹々の生命力に感動する。こんな
緑の空間を時間を気にせずに思う存分歩き回れるのは無上の楽しみ。
上信国境は山並みに添っているので当然いくつもの峠がある。国土地理
院の地図で調べたのを下に掲げる。中でも有名なのは碓氷峠。奈良朝の
昔から東山道が通り人の往来が激しかった。
現代でも北陸新幹線、上信越道、国道18号が近くを走り、かっては信
越本線も通過した交通の要衝。明治期まで使われていた碓氷峠は今歩い
てみると意外にも山登りといっても良いほどの急峻な峠道。往時の旅人
の健脚に驚かされる。地形的には群馬県側は急峻、長野県に入ると緩や
かに高度を下げる。ここを通過するために鉄道も街道もいろいろな工夫
がされているのはご存知のとおり。
赤で示した18の峠のうち、角間、星尾、余地、矢沢と栂峠以外は車で
簡単に通過できる。徒歩で越えるしかない5つの峠のうち、星尾峠は荒
船山登山の際に、角間峠は湯ノ丸山登山の際に通ったので、余地峠を踏
んでみることにした。碓氷峠以南の峠は武田信玄の軍勢が頻繁に越えた
峠だと言われている。
車はこの先1kmほど入れるが、今日は落石でここまで。
暗い杉の造成林の急斜面の登り切ると、こんな道が峠に導いてくれる。
通ってきたスギの造成林の道は武田軍勢が通過したとは思えない獣道に
近いものだったが、これならば頷ける道。スギの植林は幹回りから見て
戦後だと思うので、400年前はこういう感じで下まで通じていたのだ
ろうか。これも世にいう信玄の棒道の一つなのかもしれない。
途中からジムニーなら走れる林道に合流した。それを辿ると余地峠に着く。
季節が秋なら人恋しくなるような淋しい場所だった。かろうじて峠である
ことが読み取れる。他に古びた小さな馬頭観音の石像。
翠岩(左)と烏帽子岳(右)
今日も新緑囲まれての快適な山歩きだった。
南牧村最奥の熊倉はこんな見捨てられた家があちこちにあった。
余地峠の南に十石峠やブドウ峠がある。今は車で簡単に通過できる。
昭和15年8月、30才の父親は上野村から2泊3日で歩いてブドウ峠
を越えて小海町まで歩いた。日本山岳会版の山日記にその記録として書
かれたものが遺品として手許にある。当時の光景を浮かべながら80年
後70才半ばになった息子が同じ上信国境の峠を越えた。