もう40年ちかい昔になってしまった夏のあまりの悲惨さゆえにいまだに記憶に新しい日航機墜落事故。この
現場になった上野村を訪ねる。
目的は東京電力の神流川揚水発電所の見学ツアー。村が主催するもので何年も前から実施されている。近いか
らいつでもいけると思っていて時が経過してしまった。
地下500mに作られた大空間。東京ドームを容積を変えずに左右に引っ張り横長にしたと考えればよいか?
エレベーターの着いた先のドアを開けた途端に圧倒的な地下空間が目に飛び込んできた。思わず出てしまった
感嘆の声。この中に一基47万kwh(30万人の市をの電力需要を賄えるほどの電力生み出す)の発電機が
2基稼働している。(あと4台設置のスペースが確保されている)
撮影禁止ではないがセキュリティー保持のために写真をSNS上に掲載はしないことを求められたのは当然だ。
皮肉にも人物との対比でその空間の広さをうまく撮影できたのにここに掲示できないのは残念だが・・
まだ発電所下部のダム湖の水位はゼロ。これから夜にかけて水位が上昇する
とのこと。
見学中にリアルかつ非常に稀な体験をした。
地下空間に響きわたるアラームの次の瞬間、説明を聞いている目の前の停止中の47万kwhの発電機が唸り
始めた。回転音が次第に高まってくる。1分ほどで規定の回転数になったのかこれまた地下空間に響き渡る大
音響とともにスイッチが入いる。首都圏への送電線に繋がったようだ。
その後も回転音は更に高まり、首都圏が必要とする電気を送り始める臨場感が音と微かに感じる振動で伝わっ
てくる。この日はどこまで出力を上げるのか? 遠く離れた指揮所では電力需給バランスを見ながら落下する
水量を回線を通じて細かく制御しているのだろう。
午後1時半前後だったと思う。気温が上がり首都圏の電力需要が増大すると判断したのだ。この時間首都圏は
曇天で太陽光発電が期待できない割には温度湿度共に高いようだとは説明員の解説。
エネルギー供給のなんとも頼もしい設備の存在とそのリアルな立ち上がりに立ち会えた。「首都圏の皆さん!
私の横の発電機がそちらに電気を送りはじめましたよ、安心してください!」と関係もないのに誇らしい気持
ちになってしまった。
ツアー参加者と同行された3名の説明者の他、関係者の姿は一人も見られなかったこと、こんな山奥に作られ
た巨大な設備が東京から遠隔操作で管理されていることにも驚いた。
午前中は村が運営している木材チップの製造工場と大規模シイタケ栽培の施設を見学する。昨今市場ではシイタ
ケはクヌギの原木にシイタケ菌を植え付ける古来からの製法によるものでなく、こうした人工培地を利用しての
大量生産の製品にとってかわっているとの説明があった。ちなみに古来からの製品に比べると人工培地利用の物
はまだ味や風味に若干劣るようだ。私の舌ではその微妙な差異は解らないだろう。
ツアーの目玉として、渡された袋に入るだけのシイタケを自由に採取持ち帰ってよろしいとのこと。十数人の参
加者が一斉に採取を始める。誰もが袋がはちきれるほどにゲットしていたくご満足の様子。
我が家も当分シイタケづくしの夕食が続くことだろう。
6.22 のツアーのひとこまでした。