未完成、治安への不安、ドーピング問題等々心配が沢山あったが大
きな混乱もなく無事に終了した。肥大化するオリンピックに一石を
投じたコストを抑えた大会は評価された。
昼間からテレビを見ることができる境遇なので大いに楽しむ。いく
つも印象的な場面をLIVEで見たが、一番良かったなと思ったのはサ
ッカーで開催国ブラジルがPK戦の最後をネイマールで決めて金メダ
ルを獲得したこと。開催国としての意地、面目を世界に示すことが
できて開催に批判的だったという一部の国民も納得したのでは。日
本と縁が深い資源大国がこれを契機に政情を安定させて欲しい。
日本の活躍は言うまでもない。陸上男子400mリレーの銀メダル
獲得は特筆もの。
そのオリンピックも甲子園も終わった。台風9号が関東地方に豪雨
をもたらし北に去った。この週は夏の興奮が一気に萎んでしまった
かのように、台風がもたらした熱帯の空気の中に沈んでいた。台風
一過の秋晴れとはいかなかった。
3年前の台風では「佐野の渡し」の板橋が流失した。
数年前に読んで印象に残っている浅田次郎著「終わらざる夏」を読
返し始める。当時のブログ ↓
http://blog.goo.ne.jp/egikoike/e/cb9e37f3e3ab79e35c3f36fb827f7fb7
まだ上巻の最初の部分。大本営参謀が作り上げた本土決戦戦力を構
築するために召集令状(赤紙)が各地師団や連隊を経由してここ盛
岡市郊外滝沢村役場にも届いた。佐藤金次兵事係は割り当てられた
員数を村民に割り振らなければならない。つらい仕事だ。この年は
冷夏で稲の実りは悪い。兵隊として活躍できそうな若者はあらかた
招集されてしまい、残っているのは平時なら兵隊にとられる心配の
ない男ばかり。この秋の収穫は誰がするのか。女子供だけで飢饉の
予想されるこの冬は越せるのか。村民のほとんどは顔見知りだ。
恨まれるだろう。それでもやるしか御奉公の道はない。冷夏とはい
え晴れば強い日差しの下であぜ道に人影は見えぬ。騒がしいはずの
蝉の声が静けさを際立たせ、森のはるか上に今日も頂を雷雲に隠し
た岩手山の変わらぬ姿・・・
こんなあらすじを読み進めていくと、私のまだ終わりを迎えない人
生の中でこんな時代もあったのだと、改めて生まれた時代と現代の
変化の大きさに唖然とする。浅田氏の著書は随分と読んだ。中で一
番の内容と思っている。反戦を声高に叫んでいるわけでもないが、
戦争の持つ悲劇が胸にジワ~と染みてくる。
自衛隊の駆けつけ警護が法的に整備され動き出した。PKOで海外の
紛争地に派遣された隊員がその事態に直面することが現実の問題と
なった。
それが世界の趨勢だとの意見もわからないではない。発足後演習や
威嚇以外に一発の弾丸も発射した経験がないという事実上の軍隊が
その姿勢を変えた。そのような場面でどう決断するのか? 必要あ
れば武力行使をためらわない組織だと思わせることは強力な抑止力
になるとは思う。「必要」な状態か否かを瞬時に求められる現地指
揮官の判断に日本の命運がかかると思うのは考え過ぎか?
敗戦後70年を経て再び世界でも上位にランクされるまでに強力な
戦闘能力を持つ組織になった。その組織の最高幹部に本質的には武
闘を嫌うはずの女性が登用された。国を守る武力は必要と考えるが、
その行使を封じていたものが開けられどんな未来が展開するのか年
寄りなりに心配する。また70年間他国との戦いがなかったがゆえ
に、起こり得る戦死者にたいしどう向き合うかが私にはわからない。
「自衛隊ついに発砲応戦、2名戦死」こんな新聞の大見出しが頭を
よぎる。国内での警察官の殉職とは明らかに違う。