きだった亡父の言葉
またぞろ、組織のトップがカメラの前で頭を下げた。最近こんな光
景が日常的になってしまった。マスゾエ氏のケースが一番問題。
報道されたことが事実とすれば、世界に冠たる大都市のトップの立
場を何と心得る? 秀才マスゾエのやることか?
三菱やスズキの燃費偽装は自分が使っている車のメーカーという身
贔屓もあるが、車自体はなかなか優れた性能で満足している。燃料
消費量が倍になるわけでないし、会社の姿勢としては問題あるにし
ろ、個人が私腹を肥やしたわけではない。信頼回復に努力して欲し
いと思うだけ。マスゾエ氏の場合は説明責任を済ませて辞任しても
らわなければ怒りが納まらない。
他県人にして然り、都民の立腹はさぞや・・・
さて、気持ちを切り替えて気分をリフレッシュしてくれる山奥の滝
の紹介。
東京の喧騒を離れて3時間余りで静寂な緑の中に3つの滝を見るこ
とができる。群馬県西部の長野県と境を接する南牧村は日本一高齢
化率の高い村とされている。上信越道下仁田インターから30分で
村役場に着く時間的な近さにもかかわらず・・
そこから少し車で奥に進み、10分から30分の山道を歩くことを
厭わなければ素晴らしい3つの滝が眼前に飛び込んでくる。どれも
30~50mの落差を持つ。輝く緑の樹々の中で千古の昔から絶え
ることなく落下し続ける水の帯は忙しく動き回る都会人を魅了せず
にはおかない。少し山歩きのテクニック必要とされるが普通の体力
の持ち主であれば問題なくたどり着けるのが三段の滝。
暗い沢沿いの道(村発行のパンフレットには遊歩道とあるが実際は
沢を詰める少々厳しい道)を30分登ると眼前に姿を現す。正面と
右から角度を変えて見ます。水量が少ないので4段に見える。周囲
の緑と岩盤をえぐる滝の調和がまことに素晴らしい。落差や水量を
誇る滝は他にいくつもあるが美しい滝としては上位にくると思う。
駐車場に戻り狭い道を方向を変えて30分ほどたどると象ケ滝。途
中までたどる林道は余地峠に続く。案内板を見て右に10分ほど沢
の右岸を行く。砂防堰堤を過ぎて崩落気味の踏み跡を詰める。
こんな緑の回廊をのんびりと歩き、この標識を右折するとすぐ。
群馬の最奥部。滝の上部から谷に沿って長野県との県境が走る。
最下部が象の鼻のようなのが名前の由来という。渓谷にはカワ
ガラスの幼鳥が姿を現す。母子で数羽が飛び交っていたが撮れ
たのは1羽だけ。
こんな人の住む気配のない家がここそこにある。
駐車場に戻り、少し下って歴史民俗資料館のあるところを左折。渓
谷に沿った道を荒船山方面に進み、車道が終わる地点が線ヶ滝。
日本刀の抜身を感じさせませんか? 飛沫をあげずに滝つぼに吸い
込まれる様はまるで高飛込み選手の着水のようだ。滝にありがちな
轟轟とした音はなく静寂。村内に数ある滝の中で一番個性的。ここ
は歩くことはほとんどなし。らせん状の鉄製の階段を使えば滝壺近
くまで降りられる。
以上南牧村の誇る3名瀑をご紹介しました。村内にはこのほかにも
様々の滝がある。いずれこれらの滝巡りでもしようかと思っている。
村からは田口峠経由で長野県佐久地方に出られるが、曲がりくねっ
た狭く急な車道。人の住む集落に出るのに1時間以上かかるだろう。
事実上村の出口は東方向の下仁田町に通じる県道のみ。本当に袋の
ような村だ。渓谷の底にかろうじて学校の小さな運動場が確保でき
る程度で平地がほとんどない。村でも県でも過疎化対策に頭をひね
るが、この地理的な制約を打破するのは容易でないようだ。それで
も村を愛する老人はここに住み続ける。
逆に都会人が渇望する自然は紹介した滝をはじめ村全体がそれとい
っても過言ではない。この自然に恵まれた村を売り出す方法はない
ものか・・・ 5月23日 記