この季節の野草の「ほとけのざ」も集団で咲けば見事な花のじゅうたん
東京都の築地市場とその移転先にとしてほぼ決定していた豊洲新市場の
問題がてんやわんやの騒ぎになってもう半年以上経過した。新聞で論者
がしきりに使う安全と安心について私もとっくりと考えてみた。
慎太郎氏がいわれるまでもなく、科学的知見では豊洲新市場は安全だと
私も思う。だから早く移転を決断しなさいと慎太郎氏は強調する。しか
し果たして安心なのかなと問われると考えてしまう。
比喩としては軽いが、順調に交際を続けてもう一歩というところで片方
の浮気心が浮上した若いカップル。その事実は100%ないと否定して
も相手ははいそうですか。了承しましたとはならないのと同じ。
安心とはとらえどころのないもの。100%安心ということはあり得な
い。日本の新幹線は安全であり、乗って安心が定着するのに半世紀かか
っている。安全は科学で証明されるが、安心は科学だけでなく心理学も
一役買わないと証明できない。今月末に公表される数値が穏やかなもの
ならば移転を決断し、安心が定着するまでの時間のスタートを切る。そ
うしておいて、しかし私は追及の手を緩めるつもりはありませんよ!
と宣言したら小池都知事の評価は一段と上がると思うのだが・・
さて、今週の話題は私の認識では沖縄を除いて日本国内で初めてと思わ
れるオスプレイを使用しての日米共同の軍事訓練が相馬ケ原の陸上自衛
隊第12師団で始まった。30分も車で走れば演習場に着くので野次馬
根性丸出しで見に行ってきた。この演習場は旧陸軍時代からのもの。我
々世代には印象に残る事件があった。まだ米軍が使用していた演習場で
昭和32年に起きたジラード事件。薬莢拾いに演習場内に入った農家の
主婦を在日米軍の兵士ジラードが手招きしておいて射殺した。群馬にも
沖縄のような問題があった。
ヘリ専用の発着場が完備しており、普段からヘリの訓練は日常的に行わ
れている。
近くを通る県道から少し小高くなったヘリポートの上でオスプレイの特
徴ある機体がホバリング状態で浮かんでいた。
別の場所に移動すると、地上から10mほどの高さでホバリングした機
体から垂れたロープを使い降下訓練の最中だった。
県内でも有名な桜並木がここにある。あと1カ月すれば満開の桜が楽し
める。より近づきたいと思って中に入ろうとしても制止される。若い隊
員の制止の言い方がまことに丁寧で感動的ですらある。軍事組織にあり
がちな命令調とは正反対。今日は1機だけか?と聞いても分らないとの
返事。軍事機密だよね。といったらニヤと笑う。話や本で知る旧陸軍と
は全く趣をにする。こんなに写真を撮ったら昔なら憲兵にスパイ容疑で
逮捕されただろう。
災害復旧現場で見慣れたヘリも訓練に参加している。オスプレイはこの
このヘリよりも相当に大きい。航続距離も速度そして積載量も相当に上
回っていると聞く。騒音も大した差はない。オスプレイだとなんで騒ぐ
のか。科学的には安全な機体だろう。しかし安心かと問われて、安心で
すと答えるにはまだ十分な飛行実績がないということなのだろう。
安心がほぼ証明されていたヘリでの墜落事故が長野県でつい最近あった。
日々安全が確認され、それが時間軸に沿って積み上がり安心に繋がる。
安全は2次元の世界だが、安心となるとそれに時間軸が加わった3次元
の世界なのだと思う。
例によって反対派の皆さんがプラカードを掲げて演習場入口に10数人
立っていたが、私を含めて殆どの車が無視して通り過ぎて行った。反対
運動もなにか形骸化しているなと感じる。賛成派も反対派も私のような
野次馬ものどかに演習を眺めている。とげとげした雰囲気は感じない。
パトカー1台を見かけただけ。個人的には沖縄の負担軽減に繋がるのな
らこの程度の訓練を国内でやるのに反対する理由はないと思う。北朝鮮
の暴発が心配される昨今、しっかりと訓練し練度を上げて有事に備えて
欲しいと思いながら現場を離れた。
演習場に入ってすぐの左側に続く桜の下を歩くのが例年の恒例行事。今
年も何事もなく楽しめることを期待したい。
余談だが、見物する人々の中にこんな簡易セグウェイを使う人を見かけ
声をかけてみる。そして試しに乗ってみなさいと言われ恐る恐る乗って
みる。前に重心をかければ前進、バックは逆に。スキーのボーゲンの要
領でカーブする。5分もあれば乗れますよと言われたが、止めておいた。
意外に有効な走具と感じた。