峩々たる岩峰が連なる妙義山の山懐に包まれた雰囲気たっぷりのお蕎麦屋さんを訪ねる。
安中市松井田町行田(おくなだと読む)すぐ近くを上信越道が通過するが、そんな近代的なものとは無縁
な立地。
駐車場からみると、結構立派な石垣に上に見事な枝垂れ桜。明治以前の古い農家の建物。近づくと本格的
な石垣。豪農の館といった雰囲気。その脇を登っていく。
農家にしては立派な門構えの奥に田舎やと書かれた提灯がかかっている。家のつくりはこの地方独特の養蚕
農家だ。入り口を開けると踏み固められた広い三和土の土間があり、靴を脱いで上がり框から座敷へ、昔の
まま。
一番注文の多いという定番のてんぷらそばを注文する。正午に1時間の余裕があったので、しばし家の中を
見物。座敷を見渡せる位置にお仏壇がある。まだ新しい位牌が置いてあり、新鮮な花が供えられ、お線香の
煙がゆったりと漂う。作り付けの仏壇の中は真言宗だった。この一角は仏間だったのか。
開業前は日常の生活に使用されていたのは間違いない。板戸を取っ払ったので広々しているが、もとは田の
字に部屋が配置されていたはずだ。
つなぎを殆ど使っていない8割ソバか? 一本一本が短い。箸で持って目の高さまで上げる感覚がないのが
残念。量はたっぷり。かぼちゃのてんぷらの厚さが印象的、3cmほどあったか。
お座敷は雰囲気があって好ましいが、わが足はすでに正座不能、あぐらも満足にかけない。まだ他の客が来
る前だったので、座布団を4枚重ねにして腰かけるように座る。ああこういう年になったな・・
小渕元総理の揮ごうと写真が掲げてあったり、テレビでよく見る芸能人の色紙もあるので、知る人ぞ知る店
なんだな、こんな目立たぬ場所に風格ある蕎麦屋さんがあったんだと驚く。
金をかけずに近在の隠れ名所を探しながら今年の私の夏は過ぎてゆく。
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