ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『曲がれ!スプーン』

2009-11-07 17:22:10 | 新作映画
----この映画、本広克行監督作品と聞いたけどほんと?
「うん。そうだよ。
彼は『踊る大捜査線』のようなヒット・シリーズとは別に、
いくつかのプライベートともいえる作品を作っている。
その中でも人気があるのが『サマータイムマシン・ブルース』
これは2005年に劇作家・上田誠(劇団「ヨーロッパ企画」代表) の同名戯曲を映画化したもの。
で、今回の作品は彼の『冬のユリゲラー』を映画化したものなんだ」

----ユリゲラーって超能力者として知られている人だよね?
「うん。スプーン曲げで有名。
実は本作の公開後、
『曲がれ!スプーン』とタイトルを変えて3度目の公演をする予定らしい」

----ということは、映画もお芝居っぽいの?
「そうだね。ほとんどは一つの空間、
喫茶店“カフェ・ドゥ・念力”で進んでいく。
物語はシンプル。
この喫茶店は、1年に一度本物のエスパーたちが集い、
普段ひた隠しにしている自らの超能力を披露するところ。
実は、
店のオーナー(志賀廣太郎)がその昔、
犬に追いかけられてあわやのところをエスパーに助けられ、
その人にもう一度会いたいと作ったという設定なんだ」

----ちょ、ちょっと待って。
なんでひた隠しにしているの?
「それは、ちょっと考えると、自分の身に置き換えるとすぐ分かるよ。
たとえばある人に透視の能力があると分かれば
その人から覗かれているのではないかと不安になるし、
予知能力があると分かれば、
それを使ってお金儲けをするのではないかと疑いたくなる。
そう、エスパーは落ち着いた生活はできないってことだね」

----へぇ~っ。でもそういう超常現象を扱ったTVのバラエティ番組って多いよね。
「それは好奇心の対象としては最高のものだからね。
この映画でも、長澤まさみ扮するヒロイン、桜井米は
その超常現象バラエティ番組のADとして、
日本中をかけずり回っているという設定。
で、彼女がたまたま局に届いた葉書をもとにやってきたのが、
この奇妙なカフェがある町。
彼女は、とある男と待ち合わせをしていたんだけど、
実は彼は、エスパーではなく、単なるビックリ人間。
しかも、彼は他のエスパーたちの秘密を知ってしまっていた。
さあ、そこに自分たちの天敵マスコミが現れたものだから…
というお話だね」

----ニャるほど。となると、これはコメディだね。
「うん。しかもハート・ウォーミングなね。
ヒロインの桜井米は、子供のころにUFOらしきものを観て以来、
超常現象を信じていて、いまでもスプーン曲げに挑戦している」

----ははあ。最後はもうどんな感じか読めちゃうね。
おそらく、なんらかの奇跡が起こって大団円…。
「さすがに、そこはぼくからは言えないけど、
この手の映画に、あるパターンがあるのは確か。
それに浸って、心がホットになって映画館を出る人がいる一方、
またかと思う人もいるかも。
ただ、ぼくの場合、
この映画は、そういう本筋とは別に
喫茶店のセット、それに本広監督の出身地でもある香川の町のロケーションが
目を楽しませてくれたね。
そうそう、キャストも『サマータイムマシン・ブルース』や
『UDON』ともかぶっているんだ。
ユースケ・サンタマリアも出ている。
実は『サマータイムマシン・ブルース』、
ぼくは未見なんだけど、俄然観てみたくなったね。
この作品とのリンク・ネタが多いらしいし…。
レンタル・ショップに、まだ置いてあるかな?」

----あらら、最後になってとんでもない告白(笑)。

         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ファッションもオモシロいらしいのニャ」身を乗り出す


※合言葉はガーリーだ度

blogram投票ボタン

ranking.gif人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

コトリ・ロゴお花屋さんもよろしく。

『ロフト.』

2009-11-05 21:22:08 | 新作映画
(原題:Loft)


----これって同じタイトルの作品が日本映画にもなかった?
「よく覚えているね。それは『LOFT ロフト』
黒沢清監督のホラーだ」

----これもホラーってわけ?
「いや、どちらかというとサスペンス・ミステリー。
お話の方は、こうだ。
新築マンションの最上階のロフトルームを持つ建築家のビンセント。
彼は、友人たちに部屋を提供することを提案。
彼ら男たちは、妻や恋人に内緒でこの部屋で情事を楽しんでいた。
ところがある日の朝、その中の一人ルクが部屋に入ると、
ベッドに手錠を掛けられて血まみれで死んでいる女が…。
あわてて集まった5人の男たちは死体を前にお互いのアリバイを探りながら、
犯人探しを始める…」

----うわあ。これはオモシロそうだ。
どう考えても、犯人はその中にいるってことだよね。
「そうだね。鍵は彼ら5人しか持っていない。
さて、映画は、この5人が部屋を共有するようになったきっかけから、
順に、彼らのその後を追いながら、それを
現在、つまりこの死体の前の部屋にフラッシュバックする形で進んでいく」

----その真相って、読めた?
「いやあ。
まったく読めなかったね。
というのも、ミスリードが実に巧み。
『おっ、真相はこうだな』と思った瞬間、
実は違っていたという別の側面が持ち上がってくる。
しかもご丁寧に、いったん事件が解決したかに見えて、
その奥にある真実がまた現れるという構成。
これは、どうやって観る側をだましてやろうかと、
とにかく、それを一生懸命に考えて作られた脚本だね」

----ニャるほど。
でも、そうなると事件が起きた必然性とかが
薄まるんじゃないの?
「いや。
それに関しても
各自の生きざまが根本にあるから
納得せざるを得なくなってくる」

----えっ。それって事件を起こした人の気持ちに
同調しちゃったってこと?
「いや、そうじゃないよ。
客観的に、なるほどなってうなずけるってこと。
事件が起こった背景にあるのは、
恨みやコンプレックスといった人間の負の感情。
この映画は、そのあたりの描き方が抜群なんだ。
たとえば、こういうシーンがある。
ビンセントをもてあそんでいるつもりで
結局は彼に振られてしまった女性サラ。
そのサラにルクが『ぼくなら、君を泣かせるようなことはしない』と言う」

----それって、女性にとってはうれしい言葉だよね。
「普通、そう思うよね。
ところがこの女性は笑い嘲る。
『私が、あなたのことで泣くなんてこと
あるわけないじゃないの』ってね」

----ひどい女だニャ。
もしかして、その人が犠牲者だったりして…。
「あらら。
それはどうかな…」


         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「これってベルギー映画らしいのニャ」ぱっちり

※ベルギーの男は恐妻家が多いのにも驚く度


blogram投票ボタン

ranking.gif人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

コトリ・ロゴお花屋さんもよろしく。

『理想の彼氏』

2009-11-04 22:22:39 | 新作映画
(原題:The rebound)



----“理想の彼氏”って、この若い男の人?
キャサリン・ゼタ=ジョーンズの相手としては
少し役不足な気もするけど…。
「おっ。キツイこと言うね
彼の名はジャスティン・バーザ
実はこの役と脚本に惚れ込み、
自分をずっと売り込んでいたらしい。
その彼をして、相手役がゼタ=ジョーンズに決まったときは、
これで自分が選ばれる望みはなくなったと思ったらしいからね」

----それほどまでに、彼女は大物だってことだね。
で、物語は年上の女性と若い男の恋っていうのでいいのかニャ。
「うん。これはよくある話。
平穏な生活を送る40歳の主婦サンディが夫の浮気を知って
子ども二人とともに家を飛び出し、ニューヨークへ。
そこで、アパートを見つけ、
長年の夢だったスポーツ・チャンネルへの就職も決まる。
残るは私生活の充実。
そんな彼女の前に現れたのが目下フリーター。
子どものベビーシッターを(ナニー)を引き受けてくれた24歳のアラムという男。
このアラムが、グリーンカード目当てだったフランス人の“妻”に
結婚直後逃げられたばかりで落ち込み中。
でも、離婚はしていないんだね」

----ニャんで離婚しないの?
「だって離婚したら、彼女は国外追放。
それはかわいそう…
と、こういう“いい人”の彼は両親と暮らし、愛読書は『ハリポタ』。
ちょっとのビールで酔っぱらってしまう。
まあ、物語の先は読めると思うけど、
高収入、社会的地位を備えていた夫とは正反対。
定職も人生経験もないこの若いアラムにサンディは惹かれていく…。
さあ、人生にとって本当に大切なのは?
というお話だね」

----確かに、先の読めるお話だニャあ。
「そうなんだよ。
だから、どうしても観ていて緊張の糸が途切れてしまう。
脚本サイドとしては、それを分かっていてか、
映画をオモシロくするためのいくつもの“装置”を用意しているんだけどね」

----装置って?
「ひとつは、モンスター・チャイルド。
特に男の子。
もう、危ない言葉を人前でボンボン使っちゃう」

----日本でも子どもが『おしり』とか『うんち』とか言って大人を困らせては、
それで大人があわてるのがオモシロいのか、どんどんエスカレートしていくよね。
で、もうひとつは?
「二人の周囲のキャラクターかな。
なかでもサンディが第二の“婚活”でデートする相手。
これが一見、ダンディなのに、
突然、路上の工事用か何かの公衆トイレに入り、
そこから外にいるサンディに話をする。
この役を演じたジョン・シュナイダー
彼は『爆発!デューク』というTVシリーズで
ポップ・カルチャー・アイコンだったらしいけど、
これはほんとうに楽しかったね。
他にもアラムの友人役のロブ・カーコビッチ
彼も『ノッティングヒルの恋人』リス・エヴァンスみたいな立ち位置で
演じている本人も楽しそうだった。
そうそう、アート・ガーファンクル
アラムの父親役で出演。
さすがに老けてはいたけどね」

----もう。俳優の話ばかり。
結末はどうなるの?これも読めちゃうの?
「うん。途中シリアスな事態が巻き起こって、
トーンが変わっていくけど、
最後は、こうならなきゃ観客が許さないでしょという風に展開。
やはり、安全すぎる映画だなあ。
悪くはないけど…」




         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「護身クラスの先生もオモシロいらしいのニャ」気持ちいいニャ


※デートにはいいかもだ度



blogram投票ボタン

ranking.gif人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

コトリ・ロゴお花屋さんもよろしく。

『きみに微笑む雨』(@「シネマのすき間」)

2009-11-03 12:03:35 | 新作映画
-----今日は休日ということでフォーンもお寝坊。
一日、出窓でのんびり。
と、思っていたのに、大事なことを忘れていた。
そう、「シネマのすき間」の日。
映画はホ・ジノ監督がチョン・ウソンカオ・ユアンユアンという、
美男美女カップルで描いた、あま~いラブストーリー。
タイトルは『きみに微笑む雨』
“雨”という言葉が入っているのがポイントで、
まるで湯気が立ちそうなくらいにアツアツ。
話を聞いてオモシロいなって思ったのが、
かつての恋人が再会したからって、一気に結ばれるとはいかないってこと。
それぞれ韓国人と中国人で英語を使って話しているからかニャって聞いたら、
「それも確かにそうだけど、
やはり互いの思いの深さを探り合っているというのもあると思うよ」だって。
あと、この映画の特徴ニャんだけど、
それは四川の大地震が物語の背景になっていて、
しかも自転車が小道具としてうまく使われているのだとか。
どうやら、11月のえいの一番のお気に入りらしいよ。
詳しくは「シネマのすき間」を読んでね。

           (byフォーン)

「これは、よくできた脚本なのニャ」2009.4.7フォーン


blogram投票ボタン

ranking.gif人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

コトリ・ロゴお花屋さんもよろしく。