ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ロフト.』

2009-11-05 21:22:08 | 新作映画
(原題:Loft)


----これって同じタイトルの作品が日本映画にもなかった?
「よく覚えているね。それは『LOFT ロフト』
黒沢清監督のホラーだ」

----これもホラーってわけ?
「いや、どちらかというとサスペンス・ミステリー。
お話の方は、こうだ。
新築マンションの最上階のロフトルームを持つ建築家のビンセント。
彼は、友人たちに部屋を提供することを提案。
彼ら男たちは、妻や恋人に内緒でこの部屋で情事を楽しんでいた。
ところがある日の朝、その中の一人ルクが部屋に入ると、
ベッドに手錠を掛けられて血まみれで死んでいる女が…。
あわてて集まった5人の男たちは死体を前にお互いのアリバイを探りながら、
犯人探しを始める…」

----うわあ。これはオモシロそうだ。
どう考えても、犯人はその中にいるってことだよね。
「そうだね。鍵は彼ら5人しか持っていない。
さて、映画は、この5人が部屋を共有するようになったきっかけから、
順に、彼らのその後を追いながら、それを
現在、つまりこの死体の前の部屋にフラッシュバックする形で進んでいく」

----その真相って、読めた?
「いやあ。
まったく読めなかったね。
というのも、ミスリードが実に巧み。
『おっ、真相はこうだな』と思った瞬間、
実は違っていたという別の側面が持ち上がってくる。
しかもご丁寧に、いったん事件が解決したかに見えて、
その奥にある真実がまた現れるという構成。
これは、どうやって観る側をだましてやろうかと、
とにかく、それを一生懸命に考えて作られた脚本だね」

----ニャるほど。
でも、そうなると事件が起きた必然性とかが
薄まるんじゃないの?
「いや。
それに関しても
各自の生きざまが根本にあるから
納得せざるを得なくなってくる」

----えっ。それって事件を起こした人の気持ちに
同調しちゃったってこと?
「いや、そうじゃないよ。
客観的に、なるほどなってうなずけるってこと。
事件が起こった背景にあるのは、
恨みやコンプレックスといった人間の負の感情。
この映画は、そのあたりの描き方が抜群なんだ。
たとえば、こういうシーンがある。
ビンセントをもてあそんでいるつもりで
結局は彼に振られてしまった女性サラ。
そのサラにルクが『ぼくなら、君を泣かせるようなことはしない』と言う」

----それって、女性にとってはうれしい言葉だよね。
「普通、そう思うよね。
ところがこの女性は笑い嘲る。
『私が、あなたのことで泣くなんてこと
あるわけないじゃないの』ってね」

----ひどい女だニャ。
もしかして、その人が犠牲者だったりして…。
「あらら。
それはどうかな…」


         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「これってベルギー映画らしいのニャ」ぱっちり

※ベルギーの男は恐妻家が多いのにも驚く度


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