(原題:Mr.BUG GOES TO TOWN)
----このタイトルって、よく聞くよね。
「そうだね。
これはもはやクラシックとなっているアメリカのアニメだからね」
----でもアメリカと言ってもディズニーじゃないんだよね。
「うん。ディズニーに対抗意識を燃やしていたフライシャー兄弟の作品」
----えっ、兄弟ニャの?
「うん。コーエン兄弟みたく分業化。
兄のマックスが製作、弟のデイブが監督。
彼らは、それまでに『ベティ・ブーブ』『ポパイ』『スーパーマン』など、
短編分野で名をあげていた。
その彼らがディズニーの『白雪姫』(1937)に対抗すべく作ったのが『ガリバー旅行記』(1939)。
翌1940年、ディズニーは『ピノキオ』『ファンタジア』を公開。
そしてその翌年、フライシャー兄弟が発表したのが本作『バッタ君 町に行く』。
ところがこの映画、評価は高かったものの興行的に失敗。
結果、彼らは自らが設立したスタジオを去ったという、
いわくつきの作品だ」
----へぇ~っ。どんな作品か興味があるニャあ。
「一言で言えば、この映画は“変”。
これまで観てきたアニメとかなり違う」
----どんなお話?
「都会の真ん中に、虫たちが暮らす草むらがあった。
しかし囲いが壊れたことで人間たちが侵入し、
虫たちは危険にさらされてしまう。
そんなある日、長旅に出ていたバッタのホピティが恋人ハニーの元に帰ってくる。
草むらの惨状に驚いた彼は、安全な土地への引っ越しを提案。
しかし、ホピティとハニーの仲を割こうとする
カブト虫のビートルと部下である蚊のスマック、ハエのスワットの悪巧みのせいで、
虫たちの引っ越しはなかなか進まず…」
----そんなに珍しい話にも見えないけど…?
「そう。話自体はね。
むしろ陳腐といってもいいかもしれない。
悪役のビートルはいかにもって存在だし…。
問題はむしろ、主人公ホピティ。
この人、いやバッタ、どこが主人公なのか?
男らしさはまったくない。
なぜ、ハニーが彼に惹かれているか皆目分からないし、その説明もない。
しかも、彼のやることなすこと裏目に出てばかり。
途中、彼はビートルたちにつかまり、封筒の中に閉じ込められてしまう。
かくしてビートルの姦計で、ハニーは自らが犠牲になり、
ビートルと結婚することに…」
----あらら。
「で、驚くのがその時に歌われる歌。
『お金と結婚するハニー
あなたのお式で踊るわ』。
それ以前にも、ナイトクラブのシーンでこういう歌が出てくる。
『銀行家の息子を射止めて 5万ポンドを手にしたのは誰?
命を賭けてもいい。ケイティに決まってる』」
----とんでもない歌だね。
ディズニーだったら、ありえない。
「とにかく、何よりもお金というのがこの映画のキーワード。
ここには映画が製作された1941年当時の
ユダヤ系移民の置かれている現状が反映されているということのようだ。
まあ、高層ビルの上へ上へと引っ越しするクライマックスの有無を言わせぬ迫力、
ナイトクラブでホピティが見せる感電=電気踊りのギャグ、
眼鏡を外したスワットの小さな目など、
ほかにもいろいろ見どころはあるけど、
この“お金がすべて”を前面に出したアニメというのが、なによりも驚きだったね」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「バッタ君が都会に行かないのも驚きなのニャ」
※三鷹の森ジブリ美術館が配給するアニメは見ごたえある度
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☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)
お花屋さんもよろしく。
----このタイトルって、よく聞くよね。
「そうだね。
これはもはやクラシックとなっているアメリカのアニメだからね」
----でもアメリカと言ってもディズニーじゃないんだよね。
「うん。ディズニーに対抗意識を燃やしていたフライシャー兄弟の作品」
----えっ、兄弟ニャの?
「うん。コーエン兄弟みたく分業化。
兄のマックスが製作、弟のデイブが監督。
彼らは、それまでに『ベティ・ブーブ』『ポパイ』『スーパーマン』など、
短編分野で名をあげていた。
その彼らがディズニーの『白雪姫』(1937)に対抗すべく作ったのが『ガリバー旅行記』(1939)。
翌1940年、ディズニーは『ピノキオ』『ファンタジア』を公開。
そしてその翌年、フライシャー兄弟が発表したのが本作『バッタ君 町に行く』。
ところがこの映画、評価は高かったものの興行的に失敗。
結果、彼らは自らが設立したスタジオを去ったという、
いわくつきの作品だ」
----へぇ~っ。どんな作品か興味があるニャあ。
「一言で言えば、この映画は“変”。
これまで観てきたアニメとかなり違う」
----どんなお話?
「都会の真ん中に、虫たちが暮らす草むらがあった。
しかし囲いが壊れたことで人間たちが侵入し、
虫たちは危険にさらされてしまう。
そんなある日、長旅に出ていたバッタのホピティが恋人ハニーの元に帰ってくる。
草むらの惨状に驚いた彼は、安全な土地への引っ越しを提案。
しかし、ホピティとハニーの仲を割こうとする
カブト虫のビートルと部下である蚊のスマック、ハエのスワットの悪巧みのせいで、
虫たちの引っ越しはなかなか進まず…」
----そんなに珍しい話にも見えないけど…?
「そう。話自体はね。
むしろ陳腐といってもいいかもしれない。
悪役のビートルはいかにもって存在だし…。
問題はむしろ、主人公ホピティ。
この人、いやバッタ、どこが主人公なのか?
男らしさはまったくない。
なぜ、ハニーが彼に惹かれているか皆目分からないし、その説明もない。
しかも、彼のやることなすこと裏目に出てばかり。
途中、彼はビートルたちにつかまり、封筒の中に閉じ込められてしまう。
かくしてビートルの姦計で、ハニーは自らが犠牲になり、
ビートルと結婚することに…」
----あらら。
「で、驚くのがその時に歌われる歌。
『お金と結婚するハニー
あなたのお式で踊るわ』。
それ以前にも、ナイトクラブのシーンでこういう歌が出てくる。
『銀行家の息子を射止めて 5万ポンドを手にしたのは誰?
命を賭けてもいい。ケイティに決まってる』」
----とんでもない歌だね。
ディズニーだったら、ありえない。
「とにかく、何よりもお金というのがこの映画のキーワード。
ここには映画が製作された1941年当時の
ユダヤ系移民の置かれている現状が反映されているということのようだ。
まあ、高層ビルの上へ上へと引っ越しするクライマックスの有無を言わせぬ迫力、
ナイトクラブでホピティが見せる感電=電気踊りのギャグ、
眼鏡を外したスワットの小さな目など、
ほかにもいろいろ見どころはあるけど、
この“お金がすべて”を前面に出したアニメというのが、なによりも驚きだったね」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「バッタ君が都会に行かないのも驚きなのニャ」
※三鷹の森ジブリ美術館が配給するアニメは見ごたえある度
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