ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『赤ちゃんの逆襲』

2005-12-11 00:14:32 | 新作映画
----これってフランス映画なんだよね。
「そう。主役のティエリー・エルミットというのは、
こういう、ちょっとイヤミな役をやるとピッタリ。
何年か前に『奇人たちの晩餐会』(当時は『変人たちの晩餐会』)
という大傑作を抱えて
横浜で行われているフランス映画祭に来日。
ぼくなんか、並んでサインまでもらったもんね」

----イヤミな役って、これどんな話なの?
タイトルからだけじゃ想像がつかないなあ。
「ティエリー・エルミットが演じるのは
建築業界の大物ヴァンサン・ポレル。
一見、何不自由のない暮らしをしている彼に、
ただ一つ欠けていたのが赤ちゃん。
そんな彼もようやく父親になれる日が近づいてきた。
ところが、シモンと言う男から、
彼の会社が建築中の建物は
自分が学生時代に設計したものだと抗議を受ける。
警備員を使って、なんとか追い返したポレルだが、
なんと自分の運転していた車でシモンを轢いてしまう」

----あらら、どうなるんだろう?
「シモンは死んであの世へ・・・と思いきや、
なんとポレルの赤ちゃんとして生まれ変わってしまう。
さあ、そこでシモンは
赤ちゃんとしてポレルに逆襲をする・・・ってお話だ」

----うっわあ。これはオモシロそう。
でも、どんな逆襲をするの?
「最初は飲んでいるミルクを顔に吐いたり、
夜泣きをして眠りを妨げたり、うんちをしたり…。
ところが彼の逆襲はこれくらいでは収まらない。
ついにはポレルを絶望の縁に追いやる、
あるとんでもないことを考えつくんだ」

----う~ん。それって何だろう?
「最愛の赤ちゃん、つまり自分をこの世から消そうと考えるわけだ。
そのために彼は高いところから落ちようとしたり、
お風呂の中で溺れようとしたり・・・」

----信じられない。とんでもなくブラックな話だね。
果たしてそんなこと撮影可能なの?
「フランスでは赤ちゃんを1日1時間以上働かせられない。
そのため1日4時間の労働が認められているマドリッドで撮影したらしい。
それでもアップを除いて10~15人の赤ちゃんが出演しているのだとか。
この映画、最初に驚くのが交通事故のシーン。
そこでは撥ねられたシモンが宙高く空に舞う映像が
ワンショットで映し出される。
もちろんCGなどの特撮が使われているわけだけど、
それに限らず、
この赤ちゃんの『ありえねえ~動き』も3Dアニメーターの参加あってのもの。
アイロンを落とそうとしたり、階段を上ったり、
ぬいぐるみとボクシングしたり、
洗剤のボトルのキャップを開けて飲もうとしたり、
実にスリリングだよ」

----いよいよもってオモシロそうだ。
「実はこの映画、
シモンは恋人と友だちに裏切られ、
ポレルも奥さんに浮気されている。
さらに言えばポレルは設計を盗んでいない。
つまり、本人たちは知らないけど観客は知っていると言う事実が
いくつもスクリーン上に提示される。
さあ、彼らはいつそれらの真実を知るのか?
それらが、すべて巧く落ち着く脚本の妙には
もう脱帽と言うほかない。
そうそう、実はこの赤ちゃん
ボイスオーバーで、心の声をずっと喋っている。
そう、ブルース・ウィリスの『ベイビー・トーク』のようにね」

----ええぇ~~っ。それって映画の核になることじゃない。
もっと早く言ってよ。
「ごめんごめん。
でも、ちょっとシニカルでエスプリが利いたこの映画、
フレンチ・コメディの楽しさを知るにはうってつけ。
フォーンも観てみたら」

                (byえいwithフォーン)

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