ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『リトル・ランナー』

2005-12-19 19:51:03 | 新作映画
----これはタイトルで想像ついちゃうな。感涙系のスポーツ映画でしょ?
こういうのって難病を克服して走るって言うのが多いよね。
「半分は正解で半分は不正解。
というのもこの主人公、14歳の少年ラルフは健康そのもの。
もっと言えば、彼は好奇心から煙草も吸えば、
この時期ならではの青い性欲もたっぷり。
観ていて少し赤面してしまうような
性的エピソードも随所に織り込まれているよ」

----ふうん。じゃあどこで感動に繋がっていくの?
「彼のお母さんと言うのが入院中なんだけど、
回復不能な昏睡状態に陥ってしまう。
『お母さんは奇跡でも起こらなくては目覚めない』。
これが彼が知った病気の真実。
そんな中、元ボストンマラソンの覇者ヒバート神父の
『君たちがボストンマラソンで優勝したら奇跡だ』という言葉から、
彼は優勝と言う奇跡の実現を決意するわけだ」

----ちょ、ちょっと待って。14歳でそんなこと信じちゃうかなあ?
「ラルフが通っているのがカトリック学校だからね。
やはり<奇跡>を信じるには近いところにあったと思う。
ただ、この映画がオモシロいのは
ラルフが出場したら退学と宣告する校長と
ニーチェを読むことを彼に勧めるヒパート神父というように、
カトリック学校の中を一元的には描いていないところ」

----校長はなぜ彼の出場を止めるんだろう?
「ラルフの普段の行いが悪くて
常に目をつけられていた、
彼の母親が亡くなったら孤児になり、
スクールへの支払いを行なう者がいなくなる……
といった理由の他に、
聖者でもないのに奇跡を行なうと言うのは冒涜……と言ったような
宗教的理由もあるようだけど、
ぼくは宗教は専門外だから詳しくは分からない。
映画は聖人の事績に関連した『聖者歴』に添って進められるから、
本当はここが重要なんだろうけどね」

----そうか、だから原題も『SAINT RALPH』なんだ。
それで映画はどうだったの?
「やはり<走る>映画はそれだけで高揚するね。
『炎のランナー』以来、パターンとなった
<走る>シーンのスローモーション。
そしてそれを情感いっぱいに包み込むテーマ曲。
そういえば、あの映画の主人公の一人エリック・リデルは宣教師。
クライマックスはヴァンゲリスの至上のメロディが流れ、
まるで神の祝福を一身に受けているかのようだった。
今回はレナード・コーエンの『ハレルヤ』。
いやあ、心の琴線に触れたね」

----で、彼は優勝するの?
「そんなこと言えるわけないだろう(笑)。
ただ、これだけは勘違いしないように。
この映画は史実ではないからね」

          (byえいwithフォーン)

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猫ニュー


※画像はオフィシャルのプレスキット・ダウンロードより。
CAMPBELL SCOTT (L) stars as Father George Hibbert with ADAM BUTCHER (R) as Ralph Walker in Michael McGowan’s SAINT RALPH, a Samuel Goldwyn Films’ release.