----これってタイトルからするとファンタジーみたいだけど、
いわゆるフェアリー・テイルなの?
「ぼくも送られてきた試写状を見たときは、
てっきりそうかと思ったけど、
でもこれが全然違うんだ。
物語は3人の男女によって進められてゆく。
祖国裏切りの罪を着せられて命を落としかけた
フィンランド兵ヴェイッコとロシア兵イワン。
そのふたりを助けたのはラップランドの湖畔に住むアンニ。
ところがそれぞれがフィンランド語、
ロシア語、サーミ語しか理解することができない。
かくして言葉のコミュニケーションが取れないまま、
3人の不思議な暮らしが始まる…というもの。
ファンタジーではないけど、一種の寓話だね」
----サーミ語って初めて聞くニャあ。
「サーミ人と言うのはラップランドの先住民。
スウェーデン人、ノルウェー人よりも古くから、
スカンジナビア北部に住んでいて、
森の中、高原地帯、湖畔、海岸など生活環境に沿って
独自のライフスタイルを送っているんだって。
アンニはラップランドの高原地帯で
トナカイの放牧をして暮らしているんだ」
----ニャるほど。それは分かったけど、
なぜそこにフィンランドとロシアが絡むの?
「うん。1939年のドイツのポーランド侵攻によって第二次世界大戦が始まると、
ソ連がレニングラードの防衛を理由にフィンランドに攻め込み、
第一次ソビエト・フィンランド戦争が勃発。
以後、1941年のドイツの対ソ連侵攻が始まると、
巻き込まれたフィンランドはドイツ軍とともにソ連と戦い、
ラップランドを舞台として第二次ソビエト・フィンランド戦争に。
しかし1944年にソ連と休戦宣言を結ぶと、
怒ったドイツ軍がラップランド地方を焦土作戦に出て徹底的に破壊。
これはその頃のお話なんだ」
----そんなこと、まったく知らなかったニャあ。
その知識、映画に役立つの?
「うん。大いにね。
このフィンランド兵は平和主義的な態度を仲間に咎められた狙撃兵ヴェイッコ。
罰として岩に繋がれたまま置き去りにされるんだけど、
そのとき彼はドイツの軍服を着せられる。
ロシア軍はドイツ兵と見たら、すぐ襲うだろうと言うわけだ。
事実、反体制的な通信文を書いたと言う濡れ衣を着せられ
軍法会議へ連行されるところを味方のロシア軍機に誤爆。
からくも命を拾ったイワンは、
ヴェイッコの軍服を見てずっとファシスト呼ばわり。
この勘違いがクライマックスで大きな意味を持ってくる」
----ふうん。で、このラップランド女性アンニのところで
どんなドラマが起こるの?
「3人が一緒に暮らしているうちに
言葉の壁を越えた繋がりを持つ…だけだと、
あまりにも当たり前すぎるよね。
そこで監督のアレクサンドル・ロゴシュキンは、
このアンニを“男日照り”が続いて欲求不満の女に設定。
夫をフィンランド軍に徴兵されて4年。
彼女はずっと男に飢えている。
そこになんとふたりも男が現れたわけだ(笑)。
ちょっと触られただけでも『濡れる』など、
露骨な言葉を言ってしまう奔放なアンニ。
でも言葉が通じないものだから、
映画は猥褻にはならず、むしろ滑稽な方へと転がってゆく。
アンニはまずフィンランド兵ヴェイッコを誘うわけだけど、
これに嫉妬するのがロシア兵イワン。
アノときの矯声があたり一面に響き渡る。
この声には言葉の違いがないからね(笑)」
----それ言いすぎ(笑)。
しかしこれは昔のロシア映画では考えられないね。
「そうなんだよね。
4月には『ナイト・ウォッチ』という
独創的なビジュアルを伴ったダーク・ファンタジーもやって来る。
韓国、タイの次は意外とロシアかも」
----でもさあ、“ラップランドの妖精”はないんじゃニャいの?
「ところが、なんとこの映画は後半、
あるできごとがきっかけで<呪術的>な展開を見せるんだ。
<妖精>はともかくとして、神話的性格は持っているかも
これから観る人のために詳しくは言えないけどね」
----ふうん。何が起こるんだろう?
でもこの映画ってハリウッドじゃできそうにないね。
「そう。この映画の軸となっているのは、
喋っている言葉をお互いにだれも理解していないこと。
その勘違いが生み出す<笑い>にあるからね。
ハリウッドだったら登場人物みんなが英語。
それじゃあ、作りようがない(笑)」
(byえいwithフォーン)
※かなり可笑しい度
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いわゆるフェアリー・テイルなの?
「ぼくも送られてきた試写状を見たときは、
てっきりそうかと思ったけど、
でもこれが全然違うんだ。
物語は3人の男女によって進められてゆく。
祖国裏切りの罪を着せられて命を落としかけた
フィンランド兵ヴェイッコとロシア兵イワン。
そのふたりを助けたのはラップランドの湖畔に住むアンニ。
ところがそれぞれがフィンランド語、
ロシア語、サーミ語しか理解することができない。
かくして言葉のコミュニケーションが取れないまま、
3人の不思議な暮らしが始まる…というもの。
ファンタジーではないけど、一種の寓話だね」
----サーミ語って初めて聞くニャあ。
「サーミ人と言うのはラップランドの先住民。
スウェーデン人、ノルウェー人よりも古くから、
スカンジナビア北部に住んでいて、
森の中、高原地帯、湖畔、海岸など生活環境に沿って
独自のライフスタイルを送っているんだって。
アンニはラップランドの高原地帯で
トナカイの放牧をして暮らしているんだ」
----ニャるほど。それは分かったけど、
なぜそこにフィンランドとロシアが絡むの?
「うん。1939年のドイツのポーランド侵攻によって第二次世界大戦が始まると、
ソ連がレニングラードの防衛を理由にフィンランドに攻め込み、
第一次ソビエト・フィンランド戦争が勃発。
以後、1941年のドイツの対ソ連侵攻が始まると、
巻き込まれたフィンランドはドイツ軍とともにソ連と戦い、
ラップランドを舞台として第二次ソビエト・フィンランド戦争に。
しかし1944年にソ連と休戦宣言を結ぶと、
怒ったドイツ軍がラップランド地方を焦土作戦に出て徹底的に破壊。
これはその頃のお話なんだ」
----そんなこと、まったく知らなかったニャあ。
その知識、映画に役立つの?
「うん。大いにね。
このフィンランド兵は平和主義的な態度を仲間に咎められた狙撃兵ヴェイッコ。
罰として岩に繋がれたまま置き去りにされるんだけど、
そのとき彼はドイツの軍服を着せられる。
ロシア軍はドイツ兵と見たら、すぐ襲うだろうと言うわけだ。
事実、反体制的な通信文を書いたと言う濡れ衣を着せられ
軍法会議へ連行されるところを味方のロシア軍機に誤爆。
からくも命を拾ったイワンは、
ヴェイッコの軍服を見てずっとファシスト呼ばわり。
この勘違いがクライマックスで大きな意味を持ってくる」
----ふうん。で、このラップランド女性アンニのところで
どんなドラマが起こるの?
「3人が一緒に暮らしているうちに
言葉の壁を越えた繋がりを持つ…だけだと、
あまりにも当たり前すぎるよね。
そこで監督のアレクサンドル・ロゴシュキンは、
このアンニを“男日照り”が続いて欲求不満の女に設定。
夫をフィンランド軍に徴兵されて4年。
彼女はずっと男に飢えている。
そこになんとふたりも男が現れたわけだ(笑)。
ちょっと触られただけでも『濡れる』など、
露骨な言葉を言ってしまう奔放なアンニ。
でも言葉が通じないものだから、
映画は猥褻にはならず、むしろ滑稽な方へと転がってゆく。
アンニはまずフィンランド兵ヴェイッコを誘うわけだけど、
これに嫉妬するのがロシア兵イワン。
アノときの矯声があたり一面に響き渡る。
この声には言葉の違いがないからね(笑)」
----それ言いすぎ(笑)。
しかしこれは昔のロシア映画では考えられないね。
「そうなんだよね。
4月には『ナイト・ウォッチ』という
独創的なビジュアルを伴ったダーク・ファンタジーもやって来る。
韓国、タイの次は意外とロシアかも」
----でもさあ、“ラップランドの妖精”はないんじゃニャいの?
「ところが、なんとこの映画は後半、
あるできごとがきっかけで<呪術的>な展開を見せるんだ。
<妖精>はともかくとして、神話的性格は持っているかも
これから観る人のために詳しくは言えないけどね」
----ふうん。何が起こるんだろう?
でもこの映画ってハリウッドじゃできそうにないね。
「そう。この映画の軸となっているのは、
喋っている言葉をお互いにだれも理解していないこと。
その勘違いが生み出す<笑い>にあるからね。
ハリウッドだったら登場人物みんなが英語。
それじゃあ、作りようがない(笑)」
(byえいwithフォーン)
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