ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ワイルド7』

2011-10-25 20:12:50 | 新作映画
「結論から先に言うね。この映画はオモシロい」
----あれれ、いきなりだニャ。
確か、この原作、そんなに好きじゃなかったのでは?
「イヤ、好きも嫌いも、
連載が『少年キング』。
あの頃、マンガが好きで
マガジン、サンデー、チャンピオンは読んでいたけど、
さすがにキングまでは…。
つまり、あまり馴染みがなかったってワケ。
でも、その内容が
凶悪犯罪壊滅のため、その場で犯人を消去できる権限を持つ
元犯罪者7人(瑛太、椎名桔平、丸山隆平、阿部力、宇梶剛士、平山祐介、松本実)の集団の物語…というくらいは知っていたけど…。
そこへきて、監督が
申しわけないけど、これまであまり“映画”の匂いを感じたことがなかった羽住英一郎
まあ、あまり期待しないで臨んだわけ。
ところが、これが冒頭から目がパッチリ。
いきなりの銀行強盗にカ―アクション。
普通、カ―アクションと言うだけで、
ぼくは腰が引けちゃう方なんだけど、
これが従来の日本映画の枠を超える切れのよさ。
しかも、そのアクション・レベルはずっとキープされていて、
途中のターミナルでのガンアクションには
思わず目を疑ったものね」

----へぇ~っ。ニャにが起こるの?
「ここは、
ワイルド7のメンバーが敵の一味を発見するシークエンス。
流れから銃撃戦へと至ることは必至。
期待は高まる一方だけど、
周囲に一般の人(?)が多すぎる。
これじゃ、撮影は無理でしょ・・・と持ったら、
なんと、それが全員エキストラだったんだね。
一斉にパニックに陥るさまを見事に演出してくれた」

----へぇ~っ。よく日本でそんな撮影できたよね。
どこでロケしたの?
「エンドクレジットで分かったんだけど、
下関、そして北九州。
東京に比べて、車止めや人の整理がしやすかっただろうね。
もっとも、冒頭で、
赤レンガ風のこれまであまり映画ではお目にかかったことのない建物が
銀行強盗の舞台に使われていたことからも、
それは早く察しなくてはいけなかったんだけど…」

----物語はどういうものニャの?
「大規模な凶悪犯罪を繰り返してきた集団が
次は殺人ウイルスを東京中に散布すると予告。
ワイルド7は、これを間一髪で食い止める(正直言うと、彼らを捜し出すまでは
タイムリミットが迫っている割には緊迫感に欠けた気が・・・)。
さて、事件は無事解決したかに見えるものの、
ワイルド7を発案・組織した草波勝(中井貴一)は、
その裏に、法務省公安調査庁(PSU)の情報部門分析統括・桐生圭吾(吉田鋼太郎)の存在を嗅ぎつける。
今回に限らず、桐生は情報をいち早くつかんでいたにもかかわらず、
それを周囲に知らせるまでに常にタイムラグがある」

----どういうこと?
「なんと、桐生はそのタイムラグを利用して株価を操作。
私腹を肥やしていたというわけだ。
桐生の悪事を嗅ぎつけるワイルド7の面々。
だが、桐生はこれまで秘密組織であった彼らを脱獄者として全国指名手配という非情な手段に出る。
今や追われる身となったワイルド7は、
四面楚歌の中、PSUへ向う…というもの」

----へぇ~っ。確かによくできたストーリーだ。
「でしょ。
そこに、彼らワイルド7の行く先々に必ず姿を現す謎のライダー、
そしてワイルド7の存在をいち早くキャッチした新聞記者・藤堂政志(要潤)と、
その助手・岩下こずえ(本仮屋ユカ)のエピソードも絡んでくる。
実は、このライダーの正体は、かつて爆弾テロで
家族を皆殺しにされた本間ユキ(深田恭子)。
彼女は復讐のため、彼らを追ってワイルド7より先に狙撃を繰り返したという設定。
一方、藤堂とユキは桐生に捕われの身に。
これもお約束の展開だけど、昔のテレビっぽさが
かえってこの映画のテイストにはあっていた」

----そういえば、ワイルド7には
女性メンバーがいなかったっけ。確か名前はユキ…。
あっ。
「そういうこと。
これは女性メンバーのユキが生まれる前、
いわば“ワイルド7前史”。
さて、ぼくがこの映画に引かれたのは、
いままで喋ったことがすべてじゃない。
絶対権力を手中にしている桐生の理念、
それは
『由らしむべし知らしむべからず』。
自分たちエリートの考えが絶対的に正しく
愚かな一般市民には知らせる必要がないということ。
彼は、それが国家の安泰のためと吹聴する。
そしてそのためなら何をやっても許される。
桐生は、経済界はもちろんのこと、
内外の暴力団、裏組織ともつながりがあり、
情報をすべて握っている彼には、
周りは絶対に手を出せないんだ。
なんだかこれって、まるで3.11以降にあきらかになった日本そっくり。
世の中のこういう壁に風穴をあけることの難しさを
エンターテイメントの中に見せてくれた映画だったね」



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ある意味、怖い映画なののニャ」ちょっと怒るニャ


※これはヒットしてほしい映画だ度

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