ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『スマグラ- おまえの未来を運べ』

2011-10-08 16:16:44 | 新作映画

----“スマグラー”ってどういう意味?
「副題でも推測が付くように”運送屋”。
だけど、これほど思っていたのと違う映画もなかったね。
多額の借金を背おわされた25歳のフリーター・砧涼介(妻夫木聡)が、
返済のため、ヤバいブツを運ぶ運送屋の仕事に就く…。
なんて、これだけ聞くと、ある種の青春映画かと…。
昨年、作られたいくつかの
若手俳優による青春映画を頭に浮かべながらワーナーに向かったら、
なんと朝一の試写だと言うのに助手席も出るほどの超人気。
よくよくプレスを見てみたら、
あらら、これは石井克人監督作品。
なるほどと、すぐに脳内軌道修正…」

----石井克人監督の実写って
『山のあなた 徳市の恋』以来だよね。
「うん。ただ、
この映画は長編デビュー作の
『鮫肌男と桃尻女』やそれに続いて手掛けた『PARTY7』のノリに近い。
ん?いや、そうじゃないな。
その二作の根底に横たわっていたオフビート感を抜いて
エネルギッシュな作品として仕上げている。
だからと言って正統派の作品でもない。
映像のギミックはふんだん。
ただ、その描写一つ一つに手加減がない。
緊張感がずっと持続するんだ。
物語は、涼介が運ぶことになった
拷問リンチ間違いなしの殺し屋・背骨をめぐる裏社会の動きと、
その背骨に逃げられたことから
責任を取って身代わりとなった涼介に加えられる拷問を軸に進んでいく」

----殺し屋なのに背骨って変(笑)。
「実は"背骨"は中国人。
と言っても演じているのは安藤政信
もっともこれは観終わるまで気づかなかったけどね。
なにせ彼の言葉は全編中国語、
武器として使用するヌンチャクもさまになっている。
話はそれるけど、
最近、こういう役作りの日本映画が増えて楽しくなってきたね」

----『探偵はBarにいる』の高島政伸もそうだったよね。
「そう。
そして本作には彼の兄・高島政宏が出演。
パンチパーマにゲジゲジ眉毛で
変態趣味丸出しの狂犬・河島を演じている。
拷問が大好きの彼は、
その一つひとつに応じて自分が着用する服装まで変えていく。
旧日本軍の軍服&紙おむつとか…。
さて、そのゲジゲジ眉毛と対照的なのが
剃ってしまってほとんど眉がない永瀬正敏
彼はこのスマグラ-のリーダー的存在ジョー役。
眉つながりで言えば、石井克人作品には欠かせない我修院達也
なんと眉と眉の間を剃ってジジイ役で出演。
いつもながらにテンションの高い演技を見せてくれるけど、
今回は自分が過去に生きてきた道への悔いを
その目に漂わせるなど、
ホロ苦テイストの心理演技も見せてくれる。
このジョーとジジイの間で
これまで自堕落な生き方をしていた主人公・涼介が
“望まぬ日常に埋もれるカス”からの脱出を遂げる本気(マジ)の瞬間が
この映画のクライマックスだね」

----女優の方はどうニャの?
「これも贅沢。
メガネの金貸しに松雪泰子
殺された組長(島田洋八怪演!)の若妻に満島ひかり
と、キャストの話ばかりしたけど、
この映画の見どころは
ハイスピードカメラからフルCGまで使って演じられる
斬新なアクションの数々。
まるでホラー映画のように、背骨は天井を這い回る。
笑いも随所に取り入れられているし、
これは好きな人にはたまらない映画だろうね」




                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でも残酷シーンは目を開けていられないらしいのニャ」もう寝る


※石井克人作品ならではの濃いキャラとキャスティングだ度

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