ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ルート225』

2006-01-25 23:59:53 | 新作映画
----この映画、青梅街道の練馬区関町が舞台だよね。
でもあれって国道411号線じゃなかった?
「いや、それは撮影場所の話」。
この場合の『ルート225』には別の意味があるんだ。
ルート225=15。
つまり14歳の主人公の15歳へのルート、
それと映画のストーリーと絡んでくる“家へのルート”。
このダブル・ミーニングになっているんだ」

----ふうん。家へのルートって?
迷子にでもなるの?
「いいところに気づいたね。
この映画では主人公の中学生・田中エリ子と
その弟・ダイゴのふたりが
パラレルワールドに迷い込んでしまうんだ。
傘を持ってダイゴを迎えに行ったエリ子は、
公園のブランコでランニングシャツ姿の弟に会う。
シャツに落書きされた弟を気遣いながら家へ帰る姉と弟。
ところがあるはずの国道はなくなり、
なんと二人は海に出てしまう。
気合いを入れてどうにか家へ帰れたものの、
今度は両親がいなくなっている。
果たして彼らは………?というお話だ」

----ふうん。オモシロそうじゃない。
「そうだね。
SFジュブナイルって感じ。
ちょっと『NHK少年ドラマシリーズ』を思わせる。
ただ、この映画の主人公たちはもっと現代的。
多部未華子(『HINOKIO(ヒノキオ)』)演じるエリ子が実にいい。
弟・ダイゴをいたわる気持ちがありながらも、
逆にツッコミ、いじってしまう。
いわゆるありきたりな
<やさしいお姉さん>には描かれていないんだ」

----へぇ~っ、珍しいね。
「でも、それはそうだよなと思った。
この年頃って、友達との関係や、
クラスの中での生き方など、自分のことで精一杯のはず」

-----だけど年下の弟からしてみると、それって不安だよね。
「そう、年上の人の気持ちなんてまだ推し量れない。
この映画のオモシロさは、
そんな二人が力を合わせて元の世界に戻ろうとするところにあるんだ」

----本来ならばこんな状況に追い込まれたわけだから、
もっとパニックになってもいいはずだけど
「う~ん。でも両親がいないこと以外は、
友だちの自分たちへの接し方が少し違うくらいで大きくは変わらない。
ただ、もう死んでいるはずの女の子が生きていたりとかはあるけどね」

----それってゾクっだね。
「うん。
でも二人はその新しい環境を通して自分たちを見つめなおす。
その中にとても印象的なセリフがあった。
『どこにいても誰かいないんじゃないかって気がする』-------
これはエリ子が言うんだけどね」

----それはまた深い言葉だね。
「監督の中村義洋は
『空気を撮るのか。創るのか。』で悩んだらしい。
こういうことを考える監督ってぼくは好きなんだけど、
結果、彼は『空気を創ろうとして、撮った』と見るね」

----どういう意味?
「それはキャスティングに、そしてロケに表れている。
主演の二人とも監督いわく<まぶたが重い>少年少女。
つまり監督は<特別な空気を創る>ことを狙ったのだと思う。
そしてそんな彼らを映画ずれしていない街中に放ったとき、
さらに濃い映画的な空気が立ち上がってきたんだと思う。
そう、この映画はキャスティングの勝利と言う気がするな」

          (byえいwithフォーン)

※ういういしい度
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